「自分費」はいくらが目安になるか
「自分費」とは、美容・洋服・趣味・推し活など、自分のために自由に使うお金のことです。いくらが正解かは家庭によって違いますが、判断の物差しになる数字はありますよ。
手取りに対する割合で考える
自分費の目安は、世帯の手取りに対して「ひとり分で3〜5%」と考えるのがおすすめです。金額で決めると「隣の家より多い・少ない」で迷いますが、割合なら収入が変わっても物差しがブレません。

たとえば世帯の手取りが月25万円ならひとり分は7,500〜1万2,500円、30万円なら9,000〜1万5,000円、40万円なら1万2,000〜2万円、50万円なら1万5,000〜2万5,000円が目安です。
夫婦2人分なら、この2倍。手取り30万円なら、2人合わせて1.8万〜3万円というイメージですね。
実際の平均像も、そう遠くありません。総務省の家計調査によると、2025年の二人以上の世帯では、洋服や靴などの「被服および履物」と「こづかい」を合わせて月に約1万6,000円になっています。
世帯の手取り(勤労者世帯の平均で53万2,408円)のおよそ3%です。
参考:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」
家族構成・年収で目安は変わる
同じ「3〜5%」でも、実際に使える金額は家庭ごとに変わります。子どもの年齢と人数で、削れない支出の量が違うからです。
たとえば未就学児が2人いる家庭は、保育料やおむつ代で固定費が重くなりがちです。一方で小学校高学年になると、習い事や塾の費用が一気に増えます。
文部科学省の調査では、公立小学校に通う子ども1人あたりの学習費は年間で約33万6,000円。月に直すと約2万8,000円です。
つまり「自分費は月1万円が正解」といった、全家庭に当てはまる金額はありません。大事なのは他人の平均に合わせることではなく、いまの収入と支出の中で自分の枠を何%に置くかを決めることです。
金額より「先に枠を決める」ことが大事
罪悪感の正体は、金額の大きさではありません。「使っていい範囲がわからない」ことです。枠が決まっていないと、3,000円のトリートメントでも「これ、使ってよかったのかな」と後から不安になります。
逆に「今月の自分費は1万円」と先に決めてあれば、何に使っても後ろめたさは生じにくくなりますよ。
家計簿アプリで「自分費」の項目を作るだけでも効果があります。いくらが正解かを探すより、枠を決める仕組みを作るほうが、早く気持ちがラクになります。
「自分費」に罪悪感を持つママが多い理由
「自分にお金を使うのは、なんとなく悪いこと」
この感覚は性格の問題ではありません。いまの家計の状況が、そう思わせている面が大きいです。
教育費・将来不安が「我慢」を選ばせる
物価が上がり続けるなかで、教育費の不安は年々大きくなっています。家計調査では、2025年の二人以上の世帯の消費支出は月平均31万4,001円で、前年より4.6%増えました。食費も光熱費も上がっている実感がありますよね。
そこに教育費が重なります。公立中学校では年間約54万円。この先を思うと、自分の美容代に1万円使うことが「贅沢」に見えてきます。
そして削る順番を考えたとき、真っ先に候補に挙がるのが自分のためのお金です。我慢を選ぶのは、家族を大事に思っているからこそですよね。
我慢を続けると家計より心が先に苦しくなる
教育費や将来のためとはいえ、自分費を削りすぎると家計管理そのものが苦しくなります。たとえば、次のような楽しみまで我慢していないでしょうか。
- 美容院に行く
- 好きな服を買う
- 推しのライブに行く
どれも生活に必須ではないからこそ、家計が苦しいと真っ先に削りがちな支出です。しかし、すべて我慢する必要はありません。大切なのは、家計に無理のない範囲で「自分のために使っていいお金」を確保することです。
月3,000円でも5,000円でも、自分費の枠があれば罪悪感なく楽しみやすくなります。自分費はムダ遣いではなく、無理なく家計管理を続けるための「余白」と考えてみましょう。
自分費を削りすぎることのデメリット
自分費を削れば、その分だけ家計が良くなる。そう思いたくなりますが、逆に転ぶことがあります。

家計管理が続かなくなる
強すぎる我慢は、どこかで反動を生みます。
「ずっと我慢してきたし、これくらいいいよね」とセール品をまとめ買いして、結果的に月の支出が増える。心当たりのある方も多いのではないでしょうか?
しかも反動で使ったお金は、事前に決めていない支出です。家計簿が予定と合わなくなり、「もう記録しても意味がない」と家計管理そのものをやめてしまいます。
いちばんもったいないのは、続かなくなることです。月1万円を削って3か月でやめるより、月5,000円を残して3年続けるほうが、貯まる金額は大きくなりますよ。自分費は、家計管理を続けるためのガス抜き弁だと考えてみてください。
自己投資が長期的な家計にもプラスになる
自分にかけるお金は、消えて終わるとは限りません。
清潔感のある服装や整えた髪型は、職場での印象や人との関わりに返ってきます。資格の勉強や本の購入は、そのまま収入につながる可能性もありますよね。
家計調査でも、二人以上の世帯の「教養娯楽」は月平均3万2,125円で、前年から実質3.7%増えました。趣味や学びにお金を使う家庭は、じわじわ増えています。
もちろん、自己投資と名前をつければ何でも許されるわけではありません。ただ、「必要か・ムダか」の2択で判断すると、心を支える支出まで削ってしまいます。「将来の自分に返ってくるか」という3つ目の物差しを持つと、判断がラクになりますよ。
今日からできる「自分費」の決め方
自分費は、余ったお金でまかなうものではありません。決め方には順番があります。
先取りで自分費の予算を決める

自分費は、貯蓄や投資と同じように「先取り」で確保します。手順は次の3ステップです。
- 手取り収入から、家賃・保険・通信費などの固定費を引く
- 残りから、貯蓄・投資に回す金額を先に取り分ける
- さらにその残りから、自分費の枠(ひとり分で手取りの3〜5%)を取り分ける
3番目まで終わってから、食費や日用品などの変動費を組みましょう。順番が大事です。余ったら使おうと考えると、お金が余る月はほとんど来ません。先取りにしておけば、使い切っても貯蓄計画は崩れません。だからこそ、罪悪感なしで使えるようになります。
家計が苦しい月は、自分費を減らしても構いません。ただしゼロにはせず、金額を下げてでも枠は残しておきましょう。
夫婦で自分費について話し合う

自分費の悩みは、ママだけが我慢を引き受ける構造から生まれます。夫のお小遣いは決まっているのに、妻の自分費だけ「余ったら」になっている。こうしたケースは意外と多いのです。
SBI新生銀行の調査では、2024年の会社員のお小遣い額は男性が月3万9,081円、女性が月3万4,921円でした。話し合いは、次の順番で進めるとスムーズです。
- お互いが「自分のために使っているお金」の現状を書き出す
- 世帯の手取りに対する割合を計算して見比べる
- 夫婦それぞれの枠を、同じ基準で決め直す
ポイントは、責め合わないこと。目的は、2人とも罪悪感なく使える状態を作ることですよね。
「私も月1万円もらっていい?」と切り出すより、「2人とも手取りの4%にしない?」と基準の話にするほうが、まとまりやすいですよ。
まとめ|自分費はムダ遣いではなく家計の一部
自分にお金を使うことは、ムダ遣いではありません。家計を続けるために必要な支出項目です。
目安は、世帯の手取りに対してひとり分で3〜5%。手取り30万円なら9,000〜1万5,000円、手取り40万円なら1万2,000〜2万円が一つの基準です。
そして金額そのものより、先取りで枠を決めるほうが大事でした。枠があれば、何に使っても後ろめたさは残りません。
まずは今月、家計簿に「自分費」という項目を1つ作ってみませんか? 金額は3,000円からでも大丈夫。「使っていいお金」が目に見えるだけで、気持ちはずいぶん軽くなりますよ。
そのうえで、パートナーとも話してみてくださいね。
↓↓こちらの連載もおすすめ↓↓
※画像は全て著者提供
記事執筆
ミライズFPオフィス代表を務める独立系ファイナンシャルプランナー(FP)。2児の父親でもあり、自身の子育て経験を活かし、子育て世帯の家計管理や資産形成をわかりやすく伝えることを得意としている。金融メディアでの執筆・監修など、活動の幅は多岐にわたる。
