「ママのせい!」に身に覚えなし。子どもの不機嫌を受け止める「掃除機作戦」《モンテッソーリ教師の子育てエッセイ》vol.9

子どもとの毎日は、カラフルで鮮やかな瞬間だけでなく、大変なことや葛藤も含めてさまざまな色(感情や体験)に満ちていますよね。時には、喜怒哀楽をうまく言葉にできない気持ちが、脳内をぐるぐるすることも。モンテッソーリ教師・杉浦あきえさんの連載「今日は何色?子どもと紡ぐ彩りデイズ」では、あきえさんご自身の子育て中の脳内をそのままエッセイとしてつづります。

連載9話目のテーマは「子どもの不機嫌」。「ママのせい!」と八つ当たりしてくること、ありますよね。

・杉浦あきえ:モンテッソーリ教師


・夫:同じ年で多趣味
・長女:10歳(2016年生まれ)、何かを考えたり言葉にしたりすることが大好き
・次女:4歳(2021年生まれ)、天真爛漫でおしゃべりが止まらない

「もう!」「やだ!」子どもの不機嫌や八つ当たり

「歩けないから、抱っこして」
「もう!ママがやったからこうなっちゃったじゃん!」

いつもなら怒らないところで、次女が怒っている。「どうしたの?」と聞いてみるが、返答はない。ぷんすかお顔で怒ってる。口も少しとがっている。

夏のお休みも終わり、通常運転に戻っていくと、少しずつ子どもにも疲れが出てくる。そんなときは、子どもの不機嫌や甘えが増えることがあります。

集団生活で、精神的にも身体的にも、いつもより少し負荷がかかる。運動会などの行事に向けた練習が始まる園や学校もあるでしょう。それを楽しいと感じる子もいれば、同じ活動でも強く疲れる子もいる。

大人なら、「今日は疲れているな」と気づいて、ご飯を簡単にしたり、後回しにできることを減らしたりできる。でも、子どもは、自分が疲れていることに気づくことも、そこから自分を立て直すのも、まだまだできるようになっていく最中。

子どもも、自分ですら理由はよくわからないけれど、なんだか嫌だ。むかむかする。そんな気持ちは、自分を受け入れてくれるとわかっている人や場所で表現される。

家に帰って急にイヤイヤが始まったり、「ママのせい」と怒ったり、きょうだいにちょっかいを出したり。外でがんばっていた分が、不機嫌や八つ当たりになって表れることがある。冒頭の次女の声はまさにそんな姿。

一人が怒っているならまだしも、どちらかがイライラして姉妹に八つ当たりし、八つ当たりされたほうが今度は私にぶつけてくる、ということがある。感情が巡って、最後に私のところへやってくる。大人も疲れていてコンディションが崩れているときには、もう最悪で、まさにカオスになる。

そんなとき、まず心がけているのは、起きてからのことではなく、起きる前のこと。疲れやすい時期は、「今日はそういう姿を見せるかもしれない」と予測をしておく。いつ、その日が来てもいいように。

ただ、その予想の斜め上をいくのが、子どもとの彩りデイズ!

予想を超えてくると、つい大人も反応して、「もう、いい加減にして」などと言いたくなってしまう。そんなとき、私が頭に浮かべているのは、「掃除機」! それも、ただの掃除機ではなく、吸引力が高く、キュイーン! と吸い込める掃除機。

疲れているから出ている子どもの感情や姿、自分では処理しきれなくてあふれ出たものを、代わりにキュイーン! と吸い込むイメージ。

「疲れているんだよね」
「今日、がんばったもんね」

表に出ている言葉や態度だけを見て反応せず、その奥にある気持ちに寄り添ってみる。

もちろん、不機嫌でもしてはいけないこともある。誰かを叩いたり、傷つけるような言葉をぶつけたり、物を壊したりはできない。どんなに不機嫌でもしてはいけないことは、「してはいけない」と伝えていくことも大切。

先日も、保育園へ次女を迎えに行くと、さよならをするまでは元気だったのに、私と二人きりになった瞬間、ぐだぐだと崩れて怒り始めた。

「歩けないから、抱っこして」

抱っこをして、車に乗ろうとしたら、「ママがやったから、あたったじゃん!」と身もふたもない因縁をつけられる(笑)。(いやいや、あたってないでしょ…(笑))と内心思いつつ、「疲れたよね!早く帰ってご飯食べよう!」と返しながら、頭の中では掃除機で吸い込むイメージ。

でも、私の掃除機もダストの容量は決まっている。無限に吸い込めるわけではない。たまってしまうと、吸い込めない。

だから、定期的にダストにたまったゴミを捨てるかのように、自分をケアすることを忘れないようにしている。

「こういうことがあって、不機嫌だったのよ」と夫に話したり、
「いやいや、あそこで対応できた自分、グッジョブ!」と自分を認めたり、
「今日もお疲れ〜!」と大好きなアロマで自分を癒したりする。

もちろんいつも対応できるときばかりではなく、「ああ、もうごめんね! ママ、もうお腹空いていて、その願い今は聞いてあげられない」「ちょっと先にご飯食べさせて」と、腹が減っては戦はできぬということで、まずは対応できる状態にまで自分をもっていくこともある。

機械でも壊れることがあるのだから、私たちだって無理をし続けては不調が起きる。子どもの不機嫌を掃除機で吸いつつも、ダストにたまったものはしっかり捨てる。

子どもをケアすることは決して気楽なことではないからこそ、私たち自身のケアも忘れたくないなと思う、そんな子どもとの彩りデイズ。

前回の話はこちら

「ねえ! やめて!」寝る前に今日も始まる喧嘩。親はどこまで入る? 私が“裁判官”ではなく“交通整理”をする理由《モンテッソーリ教師の子育てエッセイ》vol.8
・杉浦あきえ:モンテッソーリ教師 ・夫:同じ年で多趣味・長女:10歳(2016年生まれ)、何かを考えたり言葉にしたりする...

最新著書『子育ての“イラッ”“モヤッ”を手放す本』

HugKumで人気を博した連載「あきえの子育てROOM」をもとに、大幅に加筆修正を加えた1冊。「泣き」「ぐずぐず」/「やってほしくないこと」/「ワガママ」「イヤイヤ」/「食」/「しつけ」「将来」/「パートナー」と大きく6つのパートにわけて、“イラッ”“モヤッ”を解決するためのメッセージを届けています。

モンテッソーリ教師あきえ 小学館 1,760円(税込)

子どもが泣きわめいていて手がつけられない…、パートナーに大変さを訴えても流される…、子育てをしていると、どうしても出てきてしまう、「イラッ」「モヤッ」な気持ち。でもそれは、自分のマインドセットと子どもへの見方を少し変えるだけで、手放すことができるんです。

子育て中のママパパから高い支持を得ている著者が、「イラッ」「モヤッ」を感じる具体的なシーンに対してどのようにしたらいいか、マンガ付きでわかりやすくお伝えします。

プロフィール

杉浦あきえ モンテッソーリ教師

国際モンテッソーリ教師(AMI)

幼稚園教諭、保育士、小学校教諭。二児の母。

 

幼い頃から夢見た保育職に期待が溢れる思いとは裏腹に、現実は「大人主導」の環境で、行事に追われる日々。そのような教育現場に「もっと一人ひとりを尊重し、『個』を大切にする教育が必要なのではないか」とショックと疑問を感じる。その後、自身の出産を機に「日本の教育は本当にこのままでよいのか」というさらなる強い疑問を感じ、退職してモンテッソーリ教育を学び、モンテッソーリ教師となる。「子育てのためにモンテッソーリ教育を学べるオンラインスクール Montessori Parents」創設、オンラインコミュニティ”Park”主宰。著書に『モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て』(すばる舎)、『モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック』(宝島社)、『子育ての「引き算」』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『子育ての“イラッ”“モヤッ”を手放す本』(小学館)。

Instagram @montessori_akie

Voicy モンテッソーリ子育てラジオ

公式HPは>>こちら

イラスト/カラシソエル

あきえ先生のお悩み相談連載はこちら

編集部おすすめ

関連記事