思考の整理を促す片付けのスペシャリスト、ライフオーガナイザー鈴木尚子さんに「片付け」術を連載で教えて頂いています。
第1回・2回では、人には片付けのクセがあり、それは〝利き脳〟を調べると分かるというお話。
あなたの〝利き脳〟はどっち?早速、調べてみて!
第3回目の今回は、〝片付けをする本当の意味〟について伺いました。
「ライフオーガナイズ」とは?
初めに、筆者が提案する片づけは、アメリカ発祥の片付け術である「ライフオーガナイズ」です。
ライフオーガナイズとは、“もの“だけではなく、あなた自身と家族を主役にして、生活や人生、空間やもの、「暮らしを最適化」する片付け術のこと。
単にものを捨てたり、収納グッズを揃えるのではなく、思考や、行動の傾向、時間の使い方や家族との関係性など多方面から整える手法です。
片付けとは、何を意味するのか?
片付けという言葉を聞くとみなさんはどのような思いが先立つでしょうか?
やらなきゃ……
面倒臭い……
いつか時間ができたら……
そんな思いが交錯するのではないでしょうか?
私自身、汚部屋(おべや)出身ですので、自ら体感しています。
確かに片付けは面倒臭く感じましたし、時間もかかりました。捨てるのには痛みも伴いました。でも、それ以上に得られることがあることをみなさんにも知っていただきたいと思っています!
そもそもみなさんはお子さんに「片付けなさい!!」と日々伝えて(叫んで?)いると思いますが、片付けとはなんでしょうか?
片付けとは?
片付け=使ったものを元の場所に戻す行為。
つまり、元の場所が決まっていないものは、そもそも片付けられないということになります!
片付けようと思っても、場所が決まっていないものが身の回りにあるのであれば、片付けられなくて当然なのです。
【Aさん宅例】
Aさん宅は、下記の写真のように片づけ場所が決まっているとは言えない状況でした。
これでは、子どももどこに何を入れたらいいのか分かりませんし、入れることすらなかなか難しい状態です。大人も、片付けなければと、隙間に押し込んでみたり、突っ込んで隠してみたりしただけ!
これは、片付けとは言いません(笑)。
また、100円ショップなどで収納用品を買って収納しても、中のものがはみ出てもっとひどい状態になってしまったり、すぐにリバウンドなんてことがあるかもしれません。
リバウンドしないためには
下記の表をご覧ください。
①オーガナイズ=自分に合った方法で、空間のみならずもの、人、生活や人生、をバランスよく整える方法
②整理=必要なものといらないものを分けること
③収納=整理されたものを適正な場所に適切な方法で収めること
④片付け(整頓)=使ったものを整えて元の場所に戻すこと
①から順番に【オーガナイズ→整理→収納→片付け(整頓)】の順番でなければ、うまくいかず、すぐにリバウンドしてしまうんです。
日々の片付けができるようになるためには、全てのものに元に戻る場所が必要なのです。
片付けをする前に、大切な2つのこと
私たちは、お客様の家に片付けに伺い、すぐにものを棚から出して作業をするわけではありません。その前に実はとっても大切な事を確認させていただきます。
“自分の今の暮らしの不満・不便・不快を知ること”
“これからの理想の暮らしを知ること”
これはオーガナイズの一部なのですが、みなさんにも少し時間を取って一緒に考えて頂ければと思います。
片づける前は、ペンとメモを用意して考えてから!
ペンとメモ用紙をご用意ください。書くという行為が脳内に刺激を加えますので、ぜひ書いてみましょう。
Q1.みなさんは家が片付いていないことでどんな不便、不満、不快が生じているでしょうか?
例えば
・子どもに「片付けなさい」と叱ってばかりだが、そもそも一番散らかっているのは自分のもの……。
・子供の友達に遊びに来てもらえない。
・休みの日に片付ける事から始めなければいけない……。本当は少しでも子どもや家族と過ごしたいのに。
・いつも探し物ばかり、子どもの提出物を出し忘れることも多々。
・ものの住所が決まっておらず、家族に「あれどこ?これどこ?」と聞かれる度に手を止めなければならない。
・買ってきたものを入れる場所がない。
実はこれらは、片付けることで全て解決することができるのです!!
ですので、まずはこのようなストレスをしっかり把握することが大切。
自分が何に困っているのかが分からなければ、片付けをしてもこれらの悩みは解決しませんので、片付けても成果を感じられません。
また、みなさんの少し先の未来を見てみましょう。
Q2.1年後、3年後のみなさんの理想の暮らしを考えてみてください。
例えば
・子育て、仕事、家事に加え、自分の趣味の時間や学びの時間が欲しい。
・仕事で海外出張も行けるような、家庭内の仕組みが欲しい。
・友達と飲みに行ったり、自分時間も楽しみたい。
・家事代行を入れたい。
このような理想、目的は、実は片付けという手段で叶えることができます!
片付けの本当の理由
面倒臭く感じるこれらの行為は、片付いたその先の暮らしをお見せすると、片付けの理由を理解してもらえるでしょう。
では、ビフォー&アフターをご覧ください。
【Bさん宅の例】
「子どもが自分で自分のことができるようになって欲しい」
この状態では自分で準備や支度はできなさそうですよね?子供部屋ですが、ママパパのものも入り込んでいます。
こちらならどうでしょうか?
実際にお子さんは様々な準備や管理を自分自身でできるようになり、ママの願いが叶いました。ママはダブルワークもこなせるようになって、ライフワークまで手に入りました。
【Cさん宅の例】
「いつでも気軽に友達を呼べるようにしたい」
「ルンバを使いたい!」
こちらのお家では、お子様も多く、ママが疲弊してしまいそうでしたが……。
こちらのお部屋なら心穏やかに過ごせそうですよね!
ママはお仕事と同時に習い事や自分磨きまでできるようになり。
ママの憧れだった、ルンバが掃除をできるようになり!
子どものお友達を招いてホームパーティーも可能になりました!!
いかがでしたでしょうか?
そう、片付けるという行為は、誰かが来るからとか、片付けられないと恥ずかしいからなどの理由で行うのではなく、みなさんにとって理想の生活を手に入れる手段だと心得てください。つまり、これが、片付けをする本当の理由なんです。
少しの間は片付けに時間も労力も使いかもしれませんが、その後みなさん口々に
「子どもたちが自分で考えて行動するようになった」
「夫がキッチンに入るようになり休みの日にご飯をつくるようになった」
「罪悪感を感じずに出かけられるようになった」
など。そこに住まう人の暮らしが明らかに変わるのです!ぜひ、次回から詳しい手順を見て、片付けを一緒に進めていきましょう。
記事執筆
片付けに悩む中、独学で生活を改善し、片づけとパーソナルスタイリングの仕事を開始。
メソッドを公開したブログが人気を呼びパワーブロガーに。2011年にSMART STORAGE!を創業し、現在は株式会社となる。日本初のクローゼットオーガナイザー認定講師として人材育成にも携わっている。
また、義母を看取った経験をもとに、人生折り返し地点からのライフマネジメント術AgeWellLiving を立ち上げ、活動の場を広げている