思考の整理を促す片付けのスペシャリスト、鈴木尚子さん(ライフオーガナイザー)に片付けにくい場所No.1クローゼットの収納について伺いました。
「クローゼットがぐちゃぐちゃだ、と嘆く人は大変多いです。クローゼットはとてもプライベートな空間ですよね。だからこそ、自分の現在の生き様そのものを指すと言われる場所なんです。もしも、相手にどんな印象を持たれているのかを知りたければ、“自分のクローゼットを見れば良い”といわれるほど自分を表す場所なんですよ」
なるほど、冒頭からドキッとするお言葉。でも、大丈夫。鈴木さんが、片付かないクローゼットの理由と解決方法をを教えてくれましたので、ご紹介します。
目次
「ライフオーガナイズ」とは?
筆者が提案したいのは、アメリカ発祥の片付け術である「ライフオーガナイズ」です。ライフオーガナイズとは、“もの”だけではなく、あなた自身と家族を主役にして、生活や人生、空間やもの、「暮らしを最適化」する片付け術です。
ライフオーガナイズの手法
単にものを捨てたり、収納グッズを揃えるのではなく、思考や、行動の傾向、時間の使い方や家族との関係性など多方面から整える手法であり、筆者はファッションのプロだった経歴をいかし、クローゼットオーガナイザーの育成にも携わっています。
クローゼットには、「過去・現在・未来」が詰まっている
たいていの場合は、「過去」がどんなだったのかがわかるほど昔の服が残されています。
また、「現在」着ている服はもちろんのこと、その現在の印象がこれからの「未来」を作るわけですから、過去、現在、「未来」のわかる場所でもあるのです。
だからこそ、クローゼットを片付けることは人生の棚卸しと伝えています。
クローゼットの片付け方に迷う人は、どうしたらいいのか
クローゼットの片付けに迷っている人は、たいてい毎日が忙しすぎて考える暇がない、これからの自分に不安を感じているケースが多く、迷いが露呈しています。
では、どうしたらいいのか?
まず、俯瞰したり、自分を客観的に見たりすることが必要です。
そのためにも、服を片付けることをおすすめします。すると、見えなかった自分の気持ちや、考えないようにしていた本当の思いや願望などが顔を出すのです。
クローゼットの片付けには、2つの大問題がある
片付かない場所はどこかリサーチした結果、クローゼットがトップにランクインします。
それは、クローゼットには、2つの問題が存在する場所だからなのでしょう。
●クローゼットが片付かない2つの問題とは?
【1】どう片付けていいか、わからない
【2】何を着たらいいか、わからない
【1】どう片付けていいか、わからない場合は、兎にも角にも、「いるもの」と「いらないもの」を分けること。
「いるもの」とは、これからの自分を表現するにふさわしい服を選ぶことです。
しかし、このように伝えると【2】の「で、何を着たらいいの?」という悩みも存在することから、どうしたらいいのか余計わかり辛くさせてしまうようです。
そこで、筆者がクローゼットオーガナイズをするときにはいくつかの質問をさせていただいています。
クローゼットを片付ける前にやること
皆さん、メモとペンを用意して、「思考の整理から」してみましょう。
クローゼットの片付けの前に行う、思考の整理
まず、下記の5つの質問の答えを、紙に書いてみてください。
- 3年後あなたはどうなっていたいですか?
- どうありたい、どう見られたいと思っていますか?
- 理想の女性はいますか?その方のどんなところが好きですか?
- よく手に取る服を5枚取り出してみましょう。その上で理由を考えて見てください。
- すっかり手に取らなくなった服はどれでしょうか?その理由はなんですか?
「1. 3年後あなたはどうなっていたいですか?」とは
今は子どもが小さいからとか、仕事が忙しいからなど、いろんな理由で考えないようにしましょう。
少し先に思考を飛ばし、自分のあり方、3年後どうなっていたいかを考えてください。
(回答例)
「もっとキャリアを積んでいたい」
「役職についていたい」
「仕事に就きたい」
「ママも自分も楽しんでいたい!」
「2. どうありたい、どう見られたいと思っていますか?」とは
このとき、「そんなあなたが着ている服はどんなイメージでしょうか?」も合わせて、考えてみてください。
(回答例)
「しっかり見られたい」
「優しく見られたい」
「しっかり見られたい」とおっしゃるのに、ふわふわの妖精のような服ばかりだった方もいらっしゃいました。
「優しく見られたい」というのに、カチカチに堅苦しさを感じるスーツと黒やネイビーの服ばかりの方もいらっしゃいました。
このように、見られたい自分を紙に書き出すと、服が見合っているかを客観的に眺めることができます。
「3. 理想の女性はいますか?その方のどんなところが好きですか?」とは
マネることは、学ぶことです。
自分がなりたいと思っている、その理想の女性はかけ離れた素敵さを持っているかもしれませんが、どこが好きなのか?言語化してみてください。
(回答例)
「●●さん。女性らしいところが好き。●●さんのように、髪の毛を伸ばしてみたり、着こなしに女性らしいニュアンスを取り入れたい。メイクを習ってみたい」
上記のように、●●さんに近づくために何をしたらよいかまで具体的に考えてみることが大切なのです。
4. 「よく手に取る服を5枚取り出してみましょう。その上で理由を考えて見てください」とは
ここでは、実際に、よく手に取る服を5枚取り出して考えてみましょう。その上で理由を考えてください。
人はクローゼットにある服の20%ほどで暮らしの80%ほどを賄えているといいます。確かによく着ている服は一部ではないでしょうか?
したがって、その20%の服の理由をしっかり考え、自分にとっての便利さを知ることも重要なのです。
「5.すっかり手に取らなくなった服はどれでしょうか?その理由はなんですか?」とは
いくら理想的な形であっても、「家で洗えないものは着ない」とか、「アイロンはかける余裕がない」などの理由もわかっておくことで買い足し方が変わってきます。このように何が嫌なのか?もしっかり感じてみてください。
(回答例)※着ない服の理由
「痩せたら着ようと思っていた……」→痩せたらもっと素敵な服が着たくなります!
「なんか変だなと感じる」→なんか変な服を着て出かけても1日憂鬱です!
「着心地が悪い」→着心地の悪い服を着て1日過ごしたら疲れ倍増です!
収納は、一足飛びにはいかない
「クローゼットの中に何があるか分からないほどぎゅうぎゅう」「クローゼットの中はパンパンなのに着る服がない」そんな方は、すぐに片付け作業に着手する前に、まず「思考の整理」を。自分を客観的に見ることができ、これからの自分を表現するにふさわしい服の選び方ができるでしょう。
服を整えることは、自分を整えることにつながっています。次回からは、実際に洋服の片付けのポイントを見ていきます。
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記事執筆
片付けに悩む中、独学で生活を改善し、片づけとパーソナルスタイリングの仕事を開始。
メソッドを公開したブログが人気を呼びパワーブロガーに。2011年にSMART STORAGE!を創業し、現在は株式会社となる。日本初のクローゼットオーガナイザー認定講師として人材育成にも携わっている。
また、義母を看取った経験をもとに、人生折り返し地点からのライフマネジメント術AgeWellLiving を立ち上げ、活動の場を広げている