天体観測やプラネタリウム体験から、子どもが宇宙に興味を持ったという家庭もあるのではないでしょうか。宇宙についての基礎と、楽しく学べる絵本や体験スポットなどを紹介します。無限に広がる宇宙の魅力を親子で楽しく学んでいきましょう。
目次
宇宙と地球の歴史
宇宙には、数え切れないほどの星が存在します。
NASAの発表によると、銀河系全体には2兆個を超える星があるとされ、私たちがくらす地球のある「天の川銀河」においても、星の数は数千億個にも及ぶといわれています。
それほど膨大な数の星がある宇宙が、私たちの頭上には広がっているのです。
そんな宇宙に関してテレビや本、あるいは家族で行ったプラネタリウムなどで興味を持ったという子どももいることでしょう。
宇宙についての理解を深めるためにも、まずは「宇宙」、そして「地球の始まり」について簡単に知っておきましょう。
始まりは約138億年前のビッグバン
宇宙の始まりを知るには、およそ138億年という長い年月を遡ってみましょう。
人間のまばたきよりも短い時間の中で起こった超・高エネルギーの爆発が、宇宙の始まりだといわれており、この爆発が「ビッグバン」です。
ビッグバンにより、小さな物質同士が結合し合い、星の素となるチリやガスが生まれました。さらに、それらの物質がくっつき合い、恒星や惑星といった星々が生まれたのです。
誕生以来、宇宙は膨張を続けており、その膨張は加速し続けているといわれています。そのため、宇宙の大きさは現在の科学でも解明できていません。
地球誕生は約46億年前
地球の誕生は約46億年前です。直径10キロほどの小さな固まり(微惑星)が衝突を繰り返し、徐々に大きな固まりへと成長していきました。これが「惑星」の素です。
地球も、このように微惑星の衝突を繰り返しながら、現在の大きさになっていったといわれています。
また、海が誕生したのは約44億年前です。当初、高温でドロドロしたマグマが地表を覆っており、それが数億年かけて冷やされました。
そうして地球の温度が下がってくると、大気中の水蒸気が雨となって地上に降りそそぎ、1000年近くも降り注いだといわれています。これが海の始まりです。
海は、さらに長い時間をかけて酸性から中性へと変質していきます。そして、約40憶年前に最初の生命が生まれたといわれています。
小さな子どもには「絵本」で楽しく読み聞かせ
科学と神秘の固まりである宇宙は、大人でも理解するのが難しいテーマです。
そのような宇宙を小さな子どもに知ってもらうためには、絵本のような親しみやすいものからはじめてみてはいかがでしょうか。
宇宙をテーマにした絵本を3冊、紹介します。
やさしい絵と言葉で伝える 「ぼくはうちゅうじん」
子どもの頃、星を見上げながら親と空について話した経験は誰しもあるのではないでしょうか。
この話では、子どもと親がキャンプを訪れて、夜空を見ながら宇宙について語り合います。星座の数や、月と太陽、そして遠い遠い宇宙の果てにまで話が広がっていきます。
やさしい絵で描かれたイラストを見ながら語られる宇宙の話は、子どもの心をあっというまに引き込んでしまうでしょう。宇宙について触れるきっかけとして、ぴったりの本です。
宇宙は意外と近かった!? 「うちゅうはきみのすぐそばに」
宇宙は、直線距離で見るとそれほど遠いところにはありません。
地球から100kmを超えたあたりから大気がなくなり、そこから「宇宙」と呼ばれる場所が始まります。東京から大阪までが約400kmなので、宇宙までの距離はその1/4ほどしかないのです。
この本のおもしろいところは、少しずつ視線が上空に上がっていくところです。地上から始まって、屋根の上、飛行機が飛ぶあたり、雲の上、そして宇宙へと上がっていきます。
それぞれの高さに合わせてどんなものが見えるのか、子どもはもちろん大人の目線から見てもおもしろい話になっています。
無重力の日常はどんな感じ?「もしも宇宙でくらしたら」
実際に宇宙で過ごすとしたら、どんな生活を送ることになるのでしょうか?
この絵本は、少し先の未来に訪れるかもしれない「宇宙ステーション」でくらす小学生ひかるの日常について描かれています。
地球との最大の違いは「重力」です。朝起きて朝ご飯を食べる、学校に行く、遊ぶなど日常の全てが無重力下での出来事になります。
無重力下での生活を通して、宇宙空間での生活を子どもに想像させることのできる1冊です。
小学生には知識が広がる「図鑑」がおすすめ
学校の授業で天体について学び始める小学生は、イメージで語られる宇宙よりも実際の知識を求める時期になります。
知識を得るには「図鑑」がおすすめです。イラストや写真、動画などが付属されていて、小学生でも学びやすいおすすめの図鑑を紹介します。
DVD付きで分かりやすい「小学館の図鑑NEO〔新版〕宇宙」
3歳~小学生を学習対象にした「小学館の図鑑NEOシリーズ」の1冊です。
天体の基本情報はもちろん、この図鑑でしか見られない新しい切り口と美しいビジュアルで、宇宙のなぞにせまります。好奇心を刺激する「もしもコラム」「なぜ?コラム」や科学者たちの功績・人柄を楽しめる「人物コラム」も充実しています。
太陽系の最新情報から、地球外生命が見つかるかもしれない系外惑星、夜空にかがやく美しい恒星や銀河、今わかっている宇宙の姿、宇宙の観測や開発の現状と将来の計画まで深く知ることができます。
また、特典DVDは、95分収録!ドラえもんとのび太といっしょに太陽系から宇宙のかなたまで大ぼうけん。さらに、宇宙のなぞにせまる望遠鏡や天文学者、大人気の宇宙飛行士のひみつにせまる独占インタビューなど、宇宙を楽しく学べる大迫力の内容です。
楽しいイラストで学ぶ「宇宙について知っておくべき100のこと」
「宇宙でいちばん冷たい場所が、実は地球にあることを知っていますか?」「火星に降る雪が四角いのはなぜでしょう?」などなど、宇宙に関するさまざまな疑問・知識について100のトピックにまとめられているのが、この図鑑です。
宇宙に関する複雑なデータを「インフォグラフィックス(言葉だけで伝わりにくいものをシンプルな形を用いて表現する)」の手法で表した、新しいタイプの図鑑です。
分かりやすいイラストがたくさん付いていて、子どもの好奇心をかき立てます。じっくり読み進めていくうちに、大人でも知らない宇宙の知識が身に付くでしょう。
小学生にとっての宇宙の入門書としてはもちろん、親子で一緒に読んでも楽しめる内容です。
きれいな宇宙写真が500以上「世界で一番美しい深宇宙図鑑」
この図鑑の内容は、太陽系の外にまで及んでいます。
星団・星雲・銀河・ブラックホールなど、学校の授業では教えてくれない範囲の話ですが、宇宙を理解するには不可欠な要素について学ぶことが可能です。
500枚以上に及ぶ写真と想像図、そして全天の星座や主な天体を網羅した14枚の星図が付いた本書からは、宇宙の隅々まで深く知ることができるでしょう。
銀河系よりもはるか先にある、果てしない宇宙について描かれる「ヴィジュアルサイエンス」の集大成です。
天文学の知識がなくても十分に楽しめるので、宇宙について興味を持ったばかりの子どもへのプレゼントにもぴったりです。
実際に見て触れて学べる宇宙センターも人気
3D映像で立体的に宇宙を見たり、宇宙食を食べたり、宇宙船の活動を疑似体験できたりする宇宙センターも、宇宙を学ぶ上でとても魅力的なスポットです。
実際に宇宙に関する展示を見て・触れて・学べる、人気の宇宙センターを紹介します。
茨城県「JAXA 筑波宇宙センター」
1972年に茨城県筑波研究学園都市の一画に開設された「筑波宇宙センター」は、つくば駅から車で約10分、最寄りのバス停からも徒歩1分と利便性のよい位置にあります。
2003年に宇宙開発・研究事業を行う三つの機関が統合し、今の「JAXA」という名前が付きました。
予約なし、無料で見学もできますが、宇宙について詳しく知りたいなら「見学ツアー」がおすすめです。自由見学では入れないスポットまで入ることができる上に、ガイドが宇宙のことや宇宙船について説明してくれます。
スペースドームの中にある、実際の宇宙船内と同じ実験室に入ることができるほか、実物大の人工衛星や本物のロケットエンジンを間近で見ることも可能です。
キーホルダーや宇宙食など、おみやげも充実しています。親子で宇宙体験にはぴったりのスポットといえるでしょう。
- 施設名:JAXA 筑波宇宙センター
- 住所:茨城県つくば市千現2-1-1
- 電話番号:029-868-5000
- 開館時間:10:00~16:30
- 定休日:不定休、年末年始(12/29~1/3)、施設点検日等
- 公式サイト
鹿児島県「種子島宇宙センター」
鹿児島県南部、日本最大のロケット発射場がある施設です。
鹿児島空港から飛行機で種子島空港へ向かい、そこからタクシーで50分、もしくは鹿児島から種子島までフェリーで向かい、そこからタクシーに乗り換え、計5時間近くの長旅となります。
自然も豊かなので、観光目的で訪れるのもよいでしょう。
目玉となるのは「宇宙科学技術館」です。ロケットや人工衛星などの技術、地球や宇宙のなぞについて学べる場所で、入場料は無料です。ゲームで遊びながら楽しく親子で学べるコーナーもあります。
施設案内バスツアーは本物のロケットを間近で見ることができ、貴重な体験を得られます。こちらも無料ですが、定員制なので予約しておくことをおすすめします。
おみやげショップでは宇宙食が人気で、話題作りとしてもイチオシです。
- 施設名:JAXA種子島宇宙センター
- 住所:鹿児島県熊毛郡南種子町大字茎永字麻津
- 電話番号:0997-26-9244
- 開館時間:9:30~16:30
- 定休日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日。8月は第1月曜日及び第5月曜日のみ休館)、年末年始(12/28~1/2)
- 公式サイト
東京都「調布航空宇宙センター」
東京都の調布市にあるJAXAの宇宙センターです。三鷹市役所から徒歩5分の場所にあるので、関東圏の人にとっては行きやすい場所です。
航空宇宙の研究活動を紹介している展示室では、実際に使用された期待や模型、パネル展示がされています。
小型超音速実験機や宇宙往還機による飛行・操縦を体験できる「スペース・ミッション・シミュレーター」など見所が満載です。
事前予約は不要ですが、しばらくは営業時間が11:00~16:00と短縮されているため、見学時間には注意しましょう。
- 施設名:調布航空宇宙センター
- 住所:東京都調布市深大寺東町7-44-1
- 電話番号:050-3362-2600
- 開館時間:11:00~16:00(当面の間)
- 定休日:土・日・祝日、年末年始
- 公式サイト
親子で一緒に楽しめる宇宙体験スポット
プラネタリウムで宇宙空間にいる気分を味わえるスペースや、宇宙にちなんだオリジナルメニューを飲食できるカフェがある楽しい施設も、親子で楽しむにはぴったりです。
そんな宇宙体験スポットを紹介します。
東京都「日本科学未来館 」
東京都お台場にある「日本科学未来館」は、科学・宇宙について学ぶだけではなく、お台場から東京タワーを見渡せるレストランなど、魅力的な風景や食事を体験できるスポットも用意されています。
館内に入ってすぐの場所には、直径6mの巨大な地球ディスプレイが目を引き、6階にある「ドームシアターガイア」は全天周の立体視映像で、迫力満載の映像から科学や宇宙を体験できます。
3階の常設展は、50年後の未来がどんな姿になっているのかをゲーム形式でアクティブに体験できるため、子どもからも人気を集めています。
入館には事前予約が必要なので注意しましょう。
- 施設名:日本科学未来館
- 住所:東京都江東区青海2-3-6
- 電話番号:03-3570-9151
- 開館時間:10:00~17:00
- 定休日:火曜日(祝日の場合は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)
- 公式サイト
岐阜県「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」
岐阜にある「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」の見所は、世界に1台のみ現存している三式戦闘機二型「飛燕(ひえん)」をはじめとした飛行機です。
また、「はやぶさ2」などの人工衛星の模型など、さまざまなものが展示されている点も見逃せないポイントでしょう。
そのほかにも、航空・宇宙について学芸員が解説してくれる「スポットガイド」や「ガイドツアー」もおすすめです。
コンスタントにいろいろなイベントが開催されているので、興味のあるイベントを目当てに訪れてもよいでしょう。
年間パスポートを購入すれば、何度でも気軽に訪れて楽しめます。
- 施設名:岐阜かかみがはら航空宇宙博物館
- 住所:岐阜県各務原市下切町5-1
- 電話番号:058-386-8500
- 開館時間:10:00~17:00、土日祝:10:00~18:00
- 定休日:毎月第一火曜日(祝日の場合、翌平日。7月、8月の第一火曜日は開館)、年末年始(12月28日~1月2日)、その他臨時休館あり
- 公式サイト
愛知県「名古屋市科学館」
愛知県名古屋市にある「名古屋市科学館」は地下2階~6階まで、室内から屋外まで全てがイベントフロアとなっていて、バラエティーあふれる体験を楽しむことができます。1日では回りきれないほど、見所満載です。
「Brother Earth プラネタリウム」は、ドーム内径35mという世界一の大きさを誇っています。プラネタリウム「ユニバーサリウムIX型プラネタリウム」と、コンピュータで計算されたプロジェクターによって、未来や過去の星空・宇宙旅行まで体験が可能です。
マイナス30度の世界が体験できる「極寒ラボ」や、9mの竜巻を見ることができる「竜巻ラボ」など、変わった体験ができる施設も多くあります。
宇宙だけでなく科学の不思議も体験できる魅力のスポットが満載で、親子が思い出を作るにはぴったりの施設です。
- 施設名:名古屋市科学館
- 住所:愛知県名古屋市中区栄2-17-1 芸術と科学の杜・白川公園内
- 電話番号:052-201-4486
- 開館時間:9:30~17:00
- 定休日:月曜日(祝日の場合翌平日に休館)・第3金曜日(祝日の場合は第4金曜日に休館)・12/29~1/3
- 公式サイト
自宅やキャンプで天体観測してみよう
自宅やキャンプなどの、より身近なイベントを通じて天体観測をしてみるのも、親子の思い出作りにはおすすめです。天体望遠鏡をはじめとした観測グッズを紹介します。
初心者におすすめ 池田レンズ工業「レグルス60 スマホ撮影セット」
天体望遠鏡は、光軸を合わせたり持ち運びが大変だったりと、初心者には扱いが難しく、敬遠されてしまうことも少なくありません。
この商品は、初心者にとって扱いやすいようさまざまな工夫がされています。
「素通しファインダー」は、肉眼で見える星であれば、素通し穴からのぞくことで簡単に星を捉えることができます。
また、「スマホアダプター」が付属されており、天体望遠鏡で見た景色をそのまま撮影・録画ができる機能もあります。
重量も鏡筒と三脚を合わせて1.6kgほどしかないので、持ち運びしやすいのもうれしいポイントです。組み立て方やピントの合わせ方もシンプルで、初心者でも安心して扱える望遠鏡です。
軽量サイズで扱いやすい スコープテック「ラプトル50」
国立天文台・JAXA・日本天文学会などで構成される世界天文年日本委員会より、「世界天文年セレクション」を受賞した天体望遠鏡です。
天文愛好家から高い評価を受けているだけでなく、初心者から子どもまで扱いやすいと評判です。
接眼レンズは、30倍と75倍の2本付属されています。低倍率(30倍)では月の全体像や主要な銀河・星雲などを、高倍率(75倍)では土星の輪や木星の縞などを見ることができます。
総重量1.5kgで扱いやすいのも魅力です。その軽さから、子どもが使えるように理科の授業や公民館に置かれていることもあります。
操作が簡単 ビクセン「天体望遠鏡 ポルタII A80Mf」
架台部と三脚は、ハンドルネジ一つで取り付け・取り外しができ、収納も片付けも簡単な商品です。
フリーストップ式の鏡筒は見たい方向に簡単固定が可能で、微動ハンドルで望遠鏡の細かな調整も楽に行えます。
付属の「正立天頂プリズム」を使えば日中の地上風景も観られるほか、別売りのオプションパーツで月面写真撮影も可能です。
最大5年保証なので、何かあればすぐにメーカーに相談できる点から安心感もあります。
宇宙の不思議や魅力に触れてみよう
航空宇宙分野は、今後も飛躍的に発展するといわれています。将来的には、一般の人も宇宙に旅行できる日が来るかもしれません。
子どものうちから、宇宙を身近なものとして捉えられるような知識や体験は、知的好奇心や想像力を育むことにもつながります。
絵本や図鑑での学習、そして宇宙センターや科学館の訪問は、子どもの成長の助けとなることに限らず、親子の思い出としても、家族に貴重な体験と財産を与えてくれるでしょう。
※おすすめしたスポットは開館時間など変更している場合があります。詳しくは公式サイトを確認してください。
文・構成/HugKum編集部