生きていて、「な…なんだ、この迷惑な人は!!」と二度見してしまうこと、ありませんか? そんな、自然に世の中と共存する迷惑な行動をする人を、「動物」や「古生物」にみたてて紹介するユニークな一冊をご紹介します。
この本を読めば、そんなストレスに思えていた世の中の「トンデモ行動」を笑いに変えてくれたり、少しは理解ができたりするかも⁉ いや、理解なんかできやしないのですが、少なくともクスっと笑えてスッキリすることは間違いなしです!
身近に、こういう人いませんか?
迷惑な行為で周りの人を困らせているのに、気付いていない人のことを、この本では「絶滅希望種」として紹介しています。
絶滅しろ!「カサウシロフルス」
いるいる~!
元気いっぱいカサ振って駅で行進する人いますよねー!
あと、カサ持ったままつり革につかまって、座っている人の膝にしずくをポタポタさせる生き物もいますよね。「カサウシロフルス」と親戚種なのかも……!?全力で納得できます、この生物(笑)。
絶滅しろ!「デモササウルス」
そうそう、絶対納得してくれないのですよね、この種の人は。
「デモサ」でかぶせて、その上から自分語りしてきたりするものだから、「あれ、何の話をしていましたっけ?」ってなるのですよね。
こちらが話しているのに、もう喉のところまで「デモサ」が出かかっているのが見えると、そっちがその気なら、「デモサ」を出す隙を与えないくらいしゃべり続けたい(苦笑)!
相当な数、生息しているはずだから、「withデモサ」を決意するしかない!?
楽しく学べる!
本の中では、「絶滅希望種」の言い分とともに、「今日の学び」として、正しくはどうすれば気持ちよく過ごせるかも書かれているので、大人から子どもまで楽しめるようになっています。
子どもが大爆笑した「絶滅希望種」は?
子どもたちにも読ませてみたところ、イラストも大きく読みやすいことから、4年生の娘が食いつきました。
娘が特に大爆笑したのは、こちら。
絶滅しろ!「ウンコウモリ」
自分の生きる世界での「あるある」は子どもの心をつかむもよう(笑)。
「いるいる~!迷惑だよねーこういう人!」と大ウケ。
子どもにもわかりやすいマナー学
困ったなぁと思う行動をする人がいても、なぜだめなのか、どうしたらいいのか、なかなかゆっくり子どもと話す機会がなかったので、ユーモアにあふれた文章や解説、ネーミングで、子どもたちもスッと理解できた様子。
子どもと一緒に読んでみると、マナーについて考えるのにピッタリな本でした!
我が家にもいた! 身近に潜む「絶滅希望種」
我が家の「絶滅希望種」を探してみました。すると、 数えきれないほどの「絶滅希望種」を発見! ほんの一例(!)をご紹介します。
絶滅しろ! 「アリクル」(筆者命名)
「あ~おいしかった。やっぱり暑いと冷たくて甘いものが一番。え?捨てないのって? だって、それお母さんの仕事でしょ~。子どもは元気におやつを食べて、ゲームして、健康が一番!アリが来たっていいんじゃない?ついでに、アリの観察をして夏休みの宿題にしちゃうから~」
【今日の学び】
「何がお母さんの仕事じゃ。しばくぞ。
夏休みのお母さんは忙しいのです。一晩放置したら本当にアリがきちゃうからね!自分で食べたものは、自分ですぐに片付けなさい!!
あっ! それ、プラゴミだからね。
だから!何度言ったらわかるの。プラは右じゃなくて左のゴミ箱!!」
絶滅しろ! 「バタフロイ」(筆者命名)
「蝶の成長過程って、知っている? サナギが脱皮して、キレイな蝶になるらしいよ。ぼくらも脱皮してお風呂に入ったら、こんなにキレイな蝶になりました! 脱皮は成長過程だから、怒らないで~! そして、この抜け殻、裏返しのままだけれど洗濯よろしくね。ヒラヒラ~。風呂上りの麦茶はうまい。今日も生きている~!」
【今日の学び】
「こんなに自分の行き先の目印を残しながら移動していると、外敵に見つかってやられてしまうよ。
ほら、実際、鬼のような顔をしたお母さんカマキリが、あなたの行き先を見つけたよ……。(シャーーー!!)
その羽を広げて楽しく生きたければ、脱いだものは表に直して洗濯籠に入れなさい!!
え?なに?蝶のように舞い、蜂のように刺す?やかましいわ!」
絶滅しろ! 「電気ケサズ」(筆者命名)
「ピカピカー。暗くなったら家中の電気をつけて歩きます。我が家のライト、スイッチオン。トイレも階段も、お風呂の電気も、もちろんつけっぱなし~。テレビも見てないけど、つけながらゲームしちゃいます。電気代がもったいない?そんなケチ臭いこと言わないで。ずっとつけておけば、つける手間が省けていいじゃない」
【今日の学び】
「ひとりひとりが使う電気は少しでも、たくさんの人が気を付ければたくさんの電力量を減らすことができるはず。使わない電気は切る。これは基本中の基本。電気は限りある資源だということに気づきなさい。
いっちょ、自転車こいで発電してみる?電気のありがたみもわかるし、なまった体もスリムになって一石二鳥かもね。」
子どもに効果絶大!
ちょっと気を付けただけでも我が家にもウジャウジャいる「絶滅希望種」。この本を参考にして、子どもたちに「ほら!ここ!『アリクル』が現れたよ!!絶滅希望種は誰!!」
「むぅ!『バタフロイ』 お母さんカマキリに食べられたい蝶はどこのどいつじゃ!」
など、「絶滅希望種」でユーモラスに例えていると、家の空気が悪くならずに、子どもたちに効き目がでるようになりました。「家庭編」をぜひ期待したいです(笑)
自分の行動をふと見つめなおすきっかけにも
この本を読んで思うことは、そうはいっても、「時に自分が絶滅希望種になっていることもあるかもしれない⁉ 」ということ。自分がまったく悪気なくとっている行動も他人からしてみると迷惑な行動だったりすることがあるかもしれません。
何が良くて、何がNGなのか。
それはその時の状況によってもかわったりするもの。大切なことは、相手の立場に立ってみたらどうだろうか、今この状況でこの行動は迷惑にならないだろうか。ほんのちょっとずつ、みんなが想像力を働かせるだけで、「絶滅希望種」はうんと減るような気がします。自分が「絶滅希望種」にならないよう「人の振り見て我が振り直せ」のきっかけとしても、老若男女にオススメの一冊です。
迷惑な振る舞いや古い慣習を、古生物や動物と組み合わせて、キャラクターをつくりました。史上初、「絶滅してほしい」生物の図鑑です。子どもから大人まで、マナーや共生について考えるきっかけに!
文・構成/ふじおなおこ