トイレトレーニングは根気よく。待つことで子どもの自律心が育まれます【子育ての道を照らす佐々木正美さんの教え】

2歳前後の子どもにとって、自分のうんちは、自分の身体の一部。汚いとは思っていません

おむつを早く卒業させたいのに、トイレトレーニングが思うようにいかないと悩まれるお母さんは多いと思います。お母さんが躍起になることで、かえってトイレに行くことが苦痛になってしまうお子さんもいますね。

そもそも、2歳前後の子どもというのは、自分の排せつ物を大事なものだと思っているのです。自分の体内にあるものを、不潔なものとか汚いものとは決して思っていません。それどころか、自分の体の一部であり、自分の所有物だと思っていて、愛着さえ感じているんです。

 よく、鼻水をなめている子がいますよね。このころの子どもというのは、たいてい鼻水をペロペロなめていて、几帳面にふいている子なんていません。でも、おいしいと思ってなめているのではありません。それは、「自分のもの」だからです。

ですから、お子さんとトイレトレーニングを始めるときは、そのことを頭に留めたうえで始めてください。

 

トイレトレーニングは子どもが「できる」を待つのが基本。失敗しても叱るのは禁物です

 トイレトレーニングを始めるときに、大事なのは、お母さんやお父さんが子どもに排せつのしかたを根気よく、繰り返し教えてあげることです。

 「あなたにここでうんちをしてほしい」「ここでおしっこをしてほしいのよ」と繰り返し伝えてあげてください。

 そして、それができたら喜び、ほめてあげる。これが基本です。

 

失敗しても叱らずに繰り返しきちんと願いを伝えて、できるのを「待つ」姿勢で臨みましょう。なぜなら、子どもにとって排せつ物は、最初に述べたようにとても大事なものだからです。

子どもが「おもらし」をしてしまったら

 

たとえば、1歳数か月の子どもがうっかりおしっこをもらしてしまって、床の上に水たまりをつくったとしたら、きっとその子は必ずそのおしっこの水たまりのそばに座りますよ。そして、たいていおしっこをパシャパシャと手で叩く。最後にはおしっこを両手でまき散らして、もう誰にもあげないというようなこともします。

 うんちをもらしてしまったときも同じです。たとえば、便器に座るのが間に合わず、パンツの脇からポロっとうんちが床に落ちてしまった場合、たいていの子どもは立ち止まり、そのうんちを手で拾います。

 そして、その姿を見て、親が「大変、くちゃいくちゃい。」といってかたづけようとしようものなら、子どもというのはたいてい「嫌だ」と言うでしょう。

 なぜなら、それは愛着のあったおもちゃを大人に捨てられてしまうことと同じ気持ちだからです。

 だから、お子さんが排せつを失敗してしまっても、まずは落ち着いて見守って、「本当はあそこでおしっこをしてほしかったんだよね」とお母さんの願いを伝えてあげてください。

 そして、「〇〇ちゃん、いつからできるようになるかな。お母さんもみんなも楽しみにしているんだよ」と言って、処理をしてあげてください。

 お母さんの「楽しみに待っている」という気持ちと、「できる時期は任せているから、その時期は自分で決めなさいね」という気持ちを伝えてあげることが重要です。

 

 子どもは本能的に親やみんなから受容されたいと思っています

 

そうして、周りの大人たちから見守られながら、繰り返ししつけをされていると、子どもは、やがておのずと努力して、自らきちんと排せつをするようになります。

 

大人に認めてもらえるようになることは、それはある意味子どもの喜びになります。本来、子どもは誰もが向上心を持っています。できることなら、どんなことにも頑張りたい。頑張る自分を確かめて安心したいと思っているのです。それは、運動会があれば一等賞になりたい。お絵描きをしたら上手に描きたいという気持ちといっしょです。

「ありのままのあなたでいい」という態度で子どもを見守ってください

子どもは本能的に親やみんなから受け入れられたい、ほめられたいと思っているんですね。そして、そうしてしつけられる経験を通して、子どもは自分で自分の衝動をコントロールして、自分で自分を管理することができる力、「自律心」を身につけていくことに喜びを感じるようになるのです。

 

ですから、しつけをするときは、よほどのことがない限り、こちらの願いを繰り返し伝えつつ、あくまでも、ありのままの子どもでいいのだという態度で見守っていてあげればいいのです。

 

強制的なしつけは、子どもの自律心の育ちを妨げます

 

間違っても「出るまでここに座っていなさい」とか、「もううんちが出る時間なんだから、あなたは出るまで立っちゃいけない」などという言葉かけはしないでくださいね。

 

そういったことを言って、うまくその場で排せつができたとしても、それは他人からコントロールされてしたことで、子どもが自律してやったことにはならないからです。

 むしろ、それは自律心の発達の最大の妨げになると私は思います。

 

精神科医として私の臨床経験から思うのですが、近年、他人にコントロールされすぎて、思春期に爆発するという子どもが目立つんですよね。そういった子どもたちは、そのほとんどが親や大人の顔色ばかりを見て育ったところが多く、自らを律する力が育っていないのです。

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育児を失敗しないコツは「急がず、根気よく、見守ること」です。

 

しつけをするときのコツは、繰り返しきちんと教えて、それらが実行できる時期はゆっくりと見守ってあげながら、できるだけ子ども任せにしてあげることです。

 

お父さんやお母さんは、あせらず、苛立たずに、お子さんができるのをじっと待ってあげてください。

 

そうして育てられることで、私は親や保護者に対する信頼感や尊敬の気持ちも育てられるのではないかと思います。そして、それが人を信じ、尊敬し、自分に誇りや自信を持つための感情の育成につながり、やがて、この基本的感情が、自分の感情や衝動を抑制する機能=「自律性」を発達させるのです。

 

育児に失敗があるとしたら、その多くは急ぎすぎによるものだと思いますね。「急がず、根気よく、見守る姿勢で」これが育児を失敗しないコツです。

 

教えてくれたのは

佐々木正美|児童精神科医

1935年、群馬県生まれ。新潟大学医学部卒業後、東京大学で精神医学を学び、ブリティッシュ・コロンビア大学で児童精神医学の臨床訓練を受ける。帰国後、国立秩父学園や東京女子医科大学などで多数の臨床に携わる傍ら、全国の保育園、幼稚園、学校、児童相談所などで勉強会、講演会を40年以上続けた。『子どもへのまなざし』(福音館書店)、『育てたように子は育つ——相田みつをいのちのことば』『ひとり親でも子どもは健全に育ちます』(小学館)など著書多数。2017年逝去。半世紀にわたる臨床経験から著したこれら数多くの育児書は、今も多くの母親たちの厚い信頼と支持を得ている。

構成/山津京子   写真/山本彩乃

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