ニュースなどで報じられることが多い子どもの転落事故。東京消防庁の「救急搬送データ*1」によると、5歳以下の子どもが住居などの窓やベランダから転落し、救急搬送される事故は9~10月が70件中21件と最も多いことがわかっています。ウィズコロナで、おうちで過ごす時間が増えている今、乳幼児をもつママやパパはより注意が必要です。消費者庁も注意を呼びかけています。
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転落による死亡事故は1~4歳が62%、2階からの転落で死亡するケースも
厚生労働省「人口動態調査*2」によると、年齢別の建物からの転落による死亡事故件数(n=37)が多いのは3歳、4歳、1歳の順。1~4歳が全体の62%を占めています。
また東京消防庁「救急搬送データ*1」によると、窓やベランダからの転落事故における年齢別の救急搬送件数(n=70)は、4歳が最も多く30%(21人)、次いで3歳が22%(16人)、2歳が18%(13人)、1歳が17%(12人)でした。全体で見ると、窓からの転落が多いものの、4歳はベランダからの転落が目立ちました。
前述の厚生労働省「人口動態調査*2」でも、転落場所はベランダがトップ。死亡事故が発生した階数を調べたところ(n=29)、10階以上が31%(9人)、8階が17%(5人)、3階が13%(4人)、7階・2階が10%(3人)の順でした。
子どものベランダからの転落死亡事故は、高層階特有と思われがちですが、2階や3階から落ちても死亡事故につながるケースがあるので注意が必要です。
転落事故は、窓枠に座る・網戸によりかかって落下がトップ
医療機関ネットワーク事業が「事故発生時の状況*3」(n=30)を調べたところ、「窓枠に座る・網戸に寄りかかる」23%、「家具、ダンボール、台などの足場にのぼる」17%、「保護者外出中」13%、「窓が開いていた」10%などの状況で転落事故が発生していました。
なかには次のようなケースも。
【1歳】自宅2階のソファによじ登ったところ、窓から網戸を突き破って3m下の芝生に網戸ごと落下。明らかな外傷は見られなかったものの、経過観察のため入院。
【4歳】親が1階のキッチンで夕食の支度をしていたところ、子どもが2階のベランダから転落。全身打撲で3日間入院。ベランドの窓は開けて網戸にしていた。ベランダには高さ90cmの柵があるものの、床から50cmの位置に足かけとなる飾りがあった。
【5歳】ベランダから家族を見送っていたところ、ベランダの手すりを鉄棒の前回りのようにつかんでいたため、前のめりになって1階の自転車置き場のコンクリートに転落。
【7歳】掃除中、子どもがいる部屋の窓を開けて網戸にしていたら、子どもが窓枠に座って網戸に寄りかかったため、網戸がはずれてそのまま落下。5m下のコンクリートに落ちて、全身打撲。2日間入院。
家庭内での子どもの転落事故を防ぐためのチェックポイント
子どもの転落事故を防ぐには、安全対策の見直しが必須です。次のポイントをチェックしてみましょう。
【ベランダ】
□エアコンの室外機は、手すりから離して設置している
□遊具、ごみ箱、プランターなど踏み台になるものを置いていない
□手すりが劣化してグラついたり、ネジがはずれそうになったりしていない
【窓】
□窓のまわりにソファ、ベッド、棚など、子どもがよじ登るものを置いていない
□窓や手すりが劣化して、はずれそうになっていない
□網戸がすぐにはずれたり、破けたりしていない
□子どもの手の届かない場所に補助キーをつけている
□普段から窓枠や出窓には座らせない、窓や網戸に寄りかからないように注意している
また「ちょっと、そこまで」「お昼寝しているから」と思っても、子どもだけで留守番させないことも大切です。家事などで目を離すときは、窓を開けた部屋やベランダで遊ばせないように注意しましょう。
消費者庁公式Twitter 「子どもを事故から守る!」で情報活用を
消費者庁では「子どもを事故から守る! 公式ツイッター」も開設しています。さまざまな事故の例の情報も発信。ぜひ参考にしてください。
https://twitter.com/caa_kodomo
*1 東京消防庁「救急搬送データ」平成27年から令和元年調べ
*2 厚生労働省「人口動態調査」平成26年から平成30年調べ
*3 医療機関ネットワーク事業「事故発生時の状況」平成27年7月から令和2年6月まで調べ(「医療機関ネットワーク事業」は、参画する医療機関(令和2年8月末時点で27 機関)から事故情報を収集し、再発防止にいかすことを目的とした、消費者庁と独立行政法人国民生活センターとの共同事業。)
構成/麻生珠恵