小学校受験とはどんなもの?
まずは、そもそも小学校受験とはどのようなものなのか、概要とメリット・デメリットを把握しておきましょう。
小学校受験とは?
小学校受験(お受験)とは、国立や私立の小学校に入学するための受験のことを指します。
受験をくぐり抜けてようやく入学できるような学校は、特色ある教育に取り組んでいるため、子どもの教育に高い意識を持っている家庭ほど、お受験を検討する傾向にあるとも考えられます。
しかしながら、国立・私立の小学校の数は非常に少なく、難易度も高いため、「狭き門」と言っても過言ではありません。
小学校受験では、筆記試験のほかにも、行動観察や面接などの試験が用意されます。子どもだけでなく保護者も一緒に面接を受けたり、作文等の提出を求められる場合が多いです。
小学校受験をするメリット
全国で等しい教育の機会を与えている公立小学校に対して、受験が用意されている国立や私立の小学校では、その学校独自の教育が行われています。公立小学校にはない独自の教育を受けられることが、お受験をくぐり抜けることの一番のメリットではないでしょうか。
また、付属校の場合は、付属中・付属高、さらには大学へ内部進学できる場合が多いこともメリットとして挙げられます。
たとえ受験をして受からなかった場合でも、小学校受験での勉強はその後も役に立つものが多いです。頑張った経験も無駄にはなりません。
小学校受験をするデメリット
小学校受験をして(特に私立の小学校に)入学するデメリットとしては、教育費が公立よりも高いことが挙げられます。文部科学省『平成28年度子供の学習費調査』によれば、公立の小学校の場合、6年間の教育費は平均193.2万円とされているのに対し、私立小学校では平均916.8万円(学校教育費、学校給食費、学校外活動費)かかり、教育費の総額は5倍近くの差。
国が運営する国立小学校は、基本的な学費は公立と変わりませんが、入学時の諸費用(指定の制服・ランドセル等)や学校後援会の費用が必要となる場合があります。
また、受験をする場合は、塾に通ったりしながら、長期にわたって根気強く対策に取り組んでいく必要があるため、この経済的・時間的・精神的負担も、考え方によってはひとつのデメリットといえるのではないでしょうか。
準備はいつから?
では、小学校受験の準備はいつ頃から始めれば良いのでしょうか? 一般的な小学校受験の日程とともに解説していきます。
受験日程は毎年10〜11月ごろ
地域や学校によって差はありますが、多くの場合、小学校受験は毎年10~11月ごろに行われています。
関東の場合は東京以外の私立学校が9月・10月に試験を行うケースが多く、都内の私立小学校は11月などと少し遅れる傾向があります。
逆に、関西の私立小学校の受験日は早めで、なかには8月末から選考が行われる学校も。学校によっては、二次募集、三次募集の考査が11〜12月以降に行われることもあります。
準備期間は本番の1年前を目安に
一般的に、お受験本番の一年前から準備を始められるのが理想的とされています。つまり、年中の10〜11月には準備を開始しましょう。
一年も時間をかける理由としては、小学校受験では家庭でのしつけや生活習慣の定着、季節や年中行事についての体験的な知識が問われることがあるからです。
マナーや生活習慣のほか、四季のイベントは、座学で詰め込んだ知識よりも、実際に体験したほうが子どもの頭に定着しやすいと考えられます。そのため、一年を通して身をもって体験しておくことが重要になります。当面のゴールとなる志望校の受験日は、早々に確認しておきましょう。
小学校受験の内容・流れ
学校によって、受験の内容・流れは異なる場合がありますが、多くの場合共通して行われるのが「行動観察」「ペーパーテスト」「面接」です。ここでは、この3つの一般的な内容と流れについてを解説していきます。
行動観察
「行動観察」とは、他の受験生の子どもたちと共に、ゲームやグループ行動をするというもの。この試験を通して、協調性やリーダーシップなど、その子の特性がチェックされます。あわせて、あいさつがどのくらいできるか、言葉遣いはきれいかなど、生活習慣やマナー、態度も見られます。
ペーパーテスト
「ペーパーテスト」とは、筆記試験のことを指します。主に、以下のような問題が頻出傾向にあります。
・常識…季節ごとの行事に関するものや、複数の中から仲間外れを探す問題、電車のマナーなど生活常識を問う問題など
・数量…数を数える、足し引き、どちらが多いか比べたりする問題など
・図形…同じ図形を探す問題など
・言語…しりとりをはじめ、動物・植物の名前を問う問題など
面接
多くの小学校受験では、面接が行われます。子どもだけで受ける場合と、両親共に受ける場合があり、どちらが行われるかは学校によって異なります。
子どもへの質問は、好き・嫌いな食べもののような簡単な受け答えを見られる場合もあれば、「お友だちと喧嘩をしたらどうする?」「何をしたら叱られると思う?」といった、コミュニケーション能力をチェックされたり、家庭のことを聞かれるような質問もあります。
保護者に対する質問は、志望理由や教育方針に関するものが中心です。子どもだけの面接の場合は、複数人のお子さんが集められ、グループ面接で行われるパターンも。
なかには、運動能力や手先の器用さをみる試験が行われる学校もあります。詳しくは、各校の公式情報をご確認ください。
受験準備の進め方・スケジュール例
ここからは、受験準備の進め方を具体的なスケジュール例とともに見ていきましょう。
情報収集・志望校選び(本番1年前の11月~2月)
試験本番の一年ほど前から、情報収集をしっかりしながら、志望校を決めていきましょう。志望校のスケジュールを把握し、スケジュール作成・学習計画もこの段階で立てるようにしましょう。
クリスマス、年末年始、節分のような季節行事の多い時期でもあります。しっかり楽しみながら、お子さんに学んでもらうようにしましょう。
学校説明会や行事に出席・模試受験・受験用衣服の準備・応用問題チャレンジ(3~7月)
3月には塾や幼児教室では春期講習が始まります。4月から学校別でクラス分けされる塾も多いので、春は塾に通いはじめる時期としておすすめです。5月以降は月に1回程度のペースで模試が行われます。
6月になると学校説明会が始まるので、スケジュールをチェックしておく必要があります。受験用品や面接時に着用する洋服、願書に添付する写真の用意もこの辺りに済ませておくのが理想的です。
毎月の行事、ひなまつりや子どもの日、母の日、父の日などのイベントを体験しつつ、模試を受けながら応用問題にもチャレンジしていきましょう。
出願・学校説明会、入試説明会に参加。面接練習、講習や模試の受験、過去問のチャンレジなどの総まとめ(8~10月)
入試説明会・学校説明会ほか、願書提出など、盛りだくさんの時期。夏には夏期講習を受講するお子さんも多いのではないでしょうか。面接の練習や、模試の受験・過去問のチャンレジをしつつ、総まとめをしていきましょう。
試験が近づいてきたら、当日の身だしなみをチェックし、体調管理をして備えます。
小学校受験に向き不向きはある?
ここまで、小学校受験の基本的な内容や流れをお伝えしてきました。盛りだくさんな試験内容と、怒涛のスケジュール感に、「我が子は果たしてお受験に向いているだろうか…」と不安になるご家庭も多いのではないでしょうか。
受験で見られるのは「学校が求める能力・知識を備えているかどうか」
コミュニケーション能力が問われる問題があったり、試験本番では緊張するシーンも多かったり……もちろん、小学校受験に向き不向きがないとは言えません。ですが、受験で見られるのはあくまでも「その小学校が求める能力・知識を備えているかどうか」です。
性質的な向き不向きよりも、一年間という長期にわたって、計画的な受験対策に取り組み続けられるかどうかが重要となってくるのではないでしょうか。
親の努力がなによりも重要
そして、幼いお子さんが継続的かつ計画的に受験対策に取り組み続けるためには、なんといっても親の努力が必要になります。無理強いはせず、お子さんが楽しく取り組んでいけるように、環境や体制を整える工夫を凝らしていくことが大切です。
受験はかけがえのない親子コミュニケーションの機会にも
「親の受験」ともいわれる小学校受験。狭き門を目指すのは大変なことではありますが、家族が一丸となって一緒に学び、思い切り遊ぶといったかけがえのないコミュニケーションの機会でもあります。しんどい…と思い詰めすぎずに、充実した時間であることを意識しながらポジティブに取り組んでいけると良いですね。
こちらの記事もおすすめ
文/羽吹理美 構成/HugKum編集部