名付けで人気の漢字「仁」。明治安田生命が発表した2020年版名前ランキングのなかでは人気の漢字ランキング(男の子)22位にランクインするなど、男の子の名付けで人気の高い「仁」ですが、女の子の名前でも素敵な名前がたくさんあります。
今回は、「仁」の豆知識とともに「仁」を使ったおすすめの名前をご紹介します。名付けでお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「仁」の成り立ちと由来
仁は「亻(にんべん)」と漢数字の「二」を組み合わせた漢字で、音読みで「に」「にん」「じん」と読みます。もともとは人が親しげに会話する様子などをあらわした文字で、それが長じて思いやりや慈しみの心、親しみなどを意味するようになりました。
中国の古い学問である儒教では、人の生きる姿勢を説く「五常(五徳)」を説いている。仁・義・礼・智・信からなる「五常」のなかで仁は最も重要であるとされています。
ことわざから分かる仁のイメージ
中国発祥の「論語」や仏教関係の用語で用いられてきた仁。漢字の成り立ちだけでなく、どのように用いられてきた言葉なのかを知り、仁にまつわるイメージを感じてみましょう。ここでは、仁が使われていることわざの一例をご紹介します。
仁王立ち(におうだち)
お寺の門の両脇を守るように険しい顔をして立っている金剛力士像をご覧になったことがあるでしょうか。一対の金剛力士は、仁王とも呼ばれている仏の守り神。仏敵を払う頼もしい存在です。
このことから、仁王立ちは、金剛力士像のように大地にしっかりと立つさまをあらわしています。どちらかといえば穏やかで優しい意味を持つ仁ですが、仁王という言葉のように邪を寄せ付けない凛としたイメージもあります。
仁者は山を楽しむ(じんしゃはやまをたのしむ)
中国の古典「論語」から抜粋されたこのことわざには、仁徳のある人は穏やかな心を持っているので、山の自然を楽しむことができるという意味があります。そのほかにも、山のような動じない穏やかな心を持っているという解釈も。
このことから、仁には周囲に振り回されることのない、静かな心を持つというイメージがあります。
剛毅木訥、仁に近し(ごうきぼくとつ、じんにちかし)
こちらも「論語」由来のことわざ。口数少なく寡黙だが、実は意思の強さを秘めた人こそ五常のなかで最高の徳である仁の持ち主であるという意味があります。
このことから仁には、一見地味でも心の強さを持った人、虚飾を避け豊かな内面を持つ人のイメージがあるといえるでしょう。
名前における仁の意味
長い歴史のなかで、人の生きる姿勢や心のありかたを語るときに用いられてきた仁。名前に使うと、どんな意味を持つのでしょうか。
愛のある人に
思いやりや親しさをあらわす仁は、名前に用いれば人を慈しむ心を持つ、愛のある人という意味になります。人に尽くし、人から必要とされる人になってほしいという願いをあらわすことができますよ。
どんなことにも動じない、器の大きな人に
先ほどご紹介した「論語」のなかの「五常」や、ことわざの意味から、高いレベルの徳を持つ人はどんなことが降りかかっても動揺しないというエピソードをピックアップしてみましょう。仁を使った名前には、いつも平静な心を保つ、器の大きな人という意味を込めることができます。
移り変わりの早い世の中でも、しっかりと落ち着いて生きていけますようにと願う方におすすめです。
仁を使った人気の名前10選!
男の子の名前
瑛仁(あきと、あきひと)
「玉」の意味も持つ王と英を組み合わせた瑛は、宝石の放つ美しい光を意味する漢字です。瑛仁という名前には、宝石のような美しく優しい心を持つ人という意味が込められます。
一仁(いちと、いちひと)
物事の始まりや、唯一無二、最高を意味する一は、第1子の名前や一月生まれの赤ちゃんの名付けにも好んで用いられます。
一仁という名前には、物事に始めからじっくりと動じずに取り組める人、大成する人という意味が込められます。
海仁(かいと)
果てしなく続く海原がイメージされる海は、名付けではスケールの大きさや豊かさの意味が込められます。
海仁という名前には、海のように広く愛のある心を持てますようにという願いが込められます。
礼仁郎(れいじろう)
礼節、礼儀などの熟語にもあるように、礼儀正しさを意味する礼。また郎という漢字は古くから男の子の名前に好んで用いられる、清らかさや爽やかさ、男らしさを意味します。
礼仁郎は、人への思いやりや礼節を重んじる心の清らかさを持つ人という意味が込められる名前です。
理仁(りと、りひと)
道理、理知などの熟語のように、筋の通ったありようを意味する理。理仁という名前には、物事をきちんと筋道立てて考える賢さや、器の広さを願うことができます。
女の子の名前
仁乃(にの、きみの)
女の子の名前の止め字として、近年特に人気の高い乃は、女性らしいしなやかさのイメージを持つ漢字です。
仁乃は、人を愛する心やしなやかな強さを願える名前です。
柚仁(ゆに)
冬に良い香りの実を付ける柚は、女の子の名付けで人気の漢字でもあります。柚仁という名前には、果実のようなみずみずしさ、人に与えることのできる優しい心という意味が込められます。
音仁(おと)
音楽の才能や人を楽しませる力を意味する音。音仁という名前には、器が大きく才能にあふれた人になりますようにという願いが込められます。
胡仁(こと)
もともとは中国の北~西方の異民族を意味する胡には、しなやかでエキゾチックなイメージがあります。胡仁は、穏やかで神秘的な雰囲気をまとう名前です。
仁花(きみか)
女の子の名付けで人気の花は、花のように華やかで人の心を楽しませられるようにという意味を持つ漢字です。仁花という名前には、優しく慈しみの心を持ち、花のように人に好かれる人になりますようにという願いが込められます。
名付けのポイント・注意点
名付けには、音の印象や漢字の意味、縁起の良し悪しなどのポイントがいくつかあります。ここからは、赤ちゃんの名前を考えるときのポイントや注意点をご紹介します。
名前の響き
名前は書くだけでなく、声に出して呼ぶことも多いものです。名付けの際には名前の響きがしっくりくるかどうか、実際に声に出して確かめてみましょう。
名字とのバランスも大切なので、フルネームで確認することも大切です。
名前の意味
子どもにどんな人に育ってほしいのか、名前に込める願いにどんな漢字がふさわしいのか考えるのも重要です。候補の漢字の意味やイメージ、組み合わせたときのバランスなども見てみましょう。
姓名判断
人の姓名の字画で運勢や性格を占うのが姓名判断です。気に入った名前ならば心配しすぎなくても大丈夫ですが、気になる方は名前候補を一度姓名判断に出してみても良いでしょう。
Webサイトで手軽に調べられる手軽なものから、お寺や神社で占ってもらえる本格的なものがあります。
優しさと芯の強さをあらわす「仁」を名前候補に!
優しさや器の大きさ、動じない心の意味を持ち、名付けでも好んで用いられる仁。男女問わず名前に使え、止め字としても人気の仁は、古風な名前からおしゃれな名前までどんな雰囲気でも使えます。
名付けの漢字として申し分のない仁を、ぜひ名前候補に入れてみてはいかがでしょうか。
文・構成/HugKum編集部