奥が深く好きな人はとことん沼にハマってしまう日本や世界の『歴史』。また一方で興味はありつつも学校の授業で強制的に学ばされた感が強く、苦手意識を持ってしまっているという方も実際のところ少なくないのではないでしょうか。
全員が同じ教科書を片手に学んでいた学生時代には歴史が苦手だった人も、大人になった今再び歴史に触れてみれば、楽しみつつスムーズに知識を吸収できるかもしれません。そこで数ある歴史にまつわる本の中から自分に合ったものを選ぶ方法や、おすすめの作品を紹介します。
歴史本の選び方
いざ探してみると歴史本には実にさまざまな種類があり、どれを選べばいいのかわからず、もうその時点で挫折してしまいそうに…。まずは自分に合ったタイプや、読むシーンによって最適なものを探すのが重要です。
マンガ?小説? 自分が読みやすいタイプの本を選ぼう
歴史本には漫画や小説、年表や写真資料が豊富なグラフィック図鑑など、いろんな形式のものがあるため、自分が読み進めやすいタイプの本を選ぶようにしましょう。もともと歴史に苦手意識を持ってしまっている人は、イラストによって楽しく学ぶことができる漫画がおすすめです。なかでも小学生向けのものは内容を嚙み砕いて説明しているため、より理解しやすく“苦手”を感じることなく読むことができます。親子で同じ本をシェアできるのもメリット。
物語として歴史を学びたい、普段から本を読んでいて活字に免疫があるという人には歴史小説がおすすめ。好きな作家さんの歴史モノから手をつけてみるというのも〇。現代小説と歴史小説、どちらも書いている作家さんを選ぶと、歴史小説への抵抗をあまり感じることなくスムーズに入っていけます。
対象年齢をチェック
歴史についての書籍は小学生向けのものから大人向けのものまで対象年齢に幅があります。そして小学生向けといっても、すべての漢字にふりがなが振ってある低学年向けのものから少々内容が難しい高学年向けのものまであるため、親子でシェアしたいと考えている人は対象年齢をきちんと確認し、お子さんに合ったものを選ぶようにしましょう。
興味のある時代や人物を見つけよう
興味のない分野は勉強しようと思ってもなかなかはかどらないものですよね。大まかに歴史全体を読み解こうとするのではなく、まずは「この人、この時代について知りたい!」というところから入っていくのも一つの手です。気になる時代や人物について学べば、自然とその前後の歴史についても知りたくなり、興味が連鎖して膨らんでいきます。
サイズや種類、ページ数も重要!
本のサイズや種類もチェックしたいポイント。主に自宅で読む場合はページ数が多くボリュームのある本でも問題ないですが、外出先で隙間時間に読みたい場合は軽くて持ち運んでもかさばらない文庫本やコミックサイズがおすすめです。お子さんが読む場合は、多少の汚れにも対応できるハードカバータイプを選ぶといいでしょう。
おすすめの歴史本15選
ここからはHugKumでおこなったアンケートをもとに、おすすめの歴史本を紹介していきます。マンガや小説、伝記などさまざまな形式の歴史本が集まったので、選ぶ時の参考にしてみてください。
小学館版 学習まんが・少年少女日本の歴史
歴史まんが本の火つけ役となった小学館版学習まんが『少年少女 日本の歴史』に、新刊『平成の30年』が加わり、全24巻で発売されています。まんが構成なので小学生から読めますが、内容は本格的。中学入試からセンター試験まで長く利用できます。
「ビリギャル」のモデルが愛用して慶應大学に合格したと話題になりました。発刊からの累計発行部数はなんと2000万部で人気のほどがうかがえます。
集英社版 学習まんが日本の歴史
2021年6月15日にはコンパクト版も発売されるので、外出先でも空き時間に気軽に読むことができます。
日本史探偵コナン
人気漫画「名探偵コナン」と一緒に楽しく歴史を学ぶことができる『歴史エンターテインメント漫画』。少年探偵団の3人と江戸川コナンが現代から過去へと飛ばされた少年少女たち(=タイムドリフター)とコラボレーションして、古代から現代までの歴史を冒険していくというミステリー要素たっぷりのストーリーになっています。
漫画はオールカラーの総ルビ付き。低学年でも読破しやすいように、と考えられたコンパクトなサイズ感で、子どもにやさしい仕掛けが盛りだくさん!家族でシェアして読むのにおすすめのシリーズです。
全12巻のシーズン1の他に全6巻のシーズン2、さらには外伝アナザーも刊行されていて読み応え抜群です。
龍馬がゆく
大河ドラマにもなっていたりと、時代を超えて愛され続けている司馬遼太郎による長編歴史小説。歴史上の人物の中でも特に知名度も人気も高い坂本龍馬。その人気はこの本によって確立されたとも言われる名作中の名作です。
全8巻と聞くと挫折してしまいそう…と躊躇する人もいるかもしれませんが、歴史が苦手な人でも1巻読むと予想以上の面白さにその世界観から抜け出せなくなり、気付けば読破していた、という人が多い作品です。
超ビジュアル!日本の歴史大事典
いきいきとした人物イラストで縄文時代から現代までの歴史の流れをわかりやすく把握することができる『超ビジュアル歴史シリーズ』。
CGでは歴史の名場面をリアルに再現していたり、絵巻物や史跡写真などの歴史的資料が多数掲載されているため、まるで博物館に訪れているようなリアルな学びを味わえます。イラストレーターによる歴史上の人物再現も見どころ。
学習まんが 世界の伝記NEXT マザー・テレサ
インドへ行って貧しい人のために働きたい。小さな頃からの夢を実現し、ノーベル平和賞を贈られたマザー・テレサの人生を読み解く一冊。
『学習まんが 世界の伝記NEXT』は西郷隆盛やナイチンゲール、そしてスティーブ・ジョブズなど歴史に名を刻んだ偉人の人生を描いた伝記漫画。親しみやすいイラストとわかりやすい内容で、小学生から大人まで幅広い年代の人にとって読みやすい内容が魅力です。
学研まんが NEW日本の伝記シリーズ
日本史の中で活躍した人物の生涯にフォーカスした学習まんが。漫画だけでなく巻末や見返しには年表や関連人物、ゆかりの品々などの紹介や解説も載っていて興味をそそられます。
小学生が対象の本ですが、もちろん大人が読んでも面白いので親子で読むのも◎。伝記シリーズの他にDVD付きの日本の歴史シリーズもあり、併せて読むとより知識を深められそうです。
坂の上の雲 司馬遼太郎
「竜馬がゆく」の作者・司馬遼太郎が10年の歳月をかけて書き上げた代表作。明治維新を成功させて近代国家として歩みだし、日露戦争勝利に至るまでの明治日本が描かれています。
日本陸軍の騎兵部隊の創始者である秋山好古と、その実弟で海軍における海戦戦術の創案者の秋山真之、そして真之の親友で明治文学史に大きな史跡を残した俳人・正岡子規という、この時代を熱く生きた四国松山出身の3人の男たちを主人公にして物語は進んでいきます。
2009年には本木雅弘さん主演でテレビドラマ化も実現しましたね。
燃えよ剣 司馬遼太郎
またもや司馬遼太郎作品。やはり人気ですね。こちらは、幕末最強の武装集団を作り上げた新選組の副長・土方歳三の生涯を描いた歴史小説。「鬼の土方」と呼ばれ、敵味方の両方からもっとも恐れられた土方。剣に生き、剣に死んでいった1人の男の生き様が克明に描かれたこの作品を読めば、男女問わずその生き様に魅了されるはず。恋模様なども綴られているので、歴史モノに免疫がない人にもおすすめ。
2021年10月には岡田准一さん主演の映画も公開されるので、本を読んでから映画を観ればよりその世界観を堪能できそうです。
破天の剣 天野純希
本格歴史小説のおすすめとして司馬遼太郎作品が続きましたが、新しい世代の歴史小説も多くの読者を魅了しています。
第19回中山義秀文学賞受賞作。物語の主人公は戦国時代、薩摩の戦国大名・島津貴久の四男として生まれた家久。若い頃から「軍法戦術に妙を得たり」と評価される戦巧者だったものの、兄弟の中で自分だけが母親が違うことに負い目を感じています。そんな彼が島津の九州統一という大きな夢に向かって突き進むものの、そこに立ちはだかるのは豊臣秀吉率いる大軍……。
小学館版 学習まんが人物館 キュリー夫人
ノーベル物理学賞とノーベル化学賞の2つを受賞した女性科学者・キュリー夫人の人物像とその人生に迫った伝記漫画。2人の女の子を育て、家事をこなしながらも研究を続けたキュリー夫人の姿は、現代の働く女性に通ずるものがあります。
1996年から刊行されている学習まんが人物館シリーズは冊数が豊富。歴史上の人物から存命人物まで、さまざまな功績を残した偉人たちについて、学校では習わない深い部分まで知ることができます。
三国志 横山光輝
2020年時点で累計発行部数8000万部を突破した昭和時代の歴史漫画。近年もカジュアルワイドや愛蔵版などの形でたびたび再販されている不朽の名作です。
複雑で敬遠しがちな三国時代の中国の歴史がシンプルにわかりやすく描かれていて、小学生が読んでも大人が読んでものめり込んでしまう漫画です。単純に歴史を学べるだけでなく、ビジネスや人生において役立つ内容もふんだんに盛り込まれていることから2度、3度と読み返す人も多い、人生のバイブル的作品。
マンガで一気に読める!日本史
歴史コメンテーターの金谷俊一郎さん監修の、古代から現代までの日本の軌跡が一気にわかる大人向け学習漫画。
10名以上の漫画家が作画を担当し、日本史の流れをただ追うだけでなくドラマチックなエピソードにより楽しく読み進めることができます。時代ごとの重大事件をわかりやすく地図で解説。理解を助けてくれる用語解説もたくさんあります。
お~い!竜馬
竜馬愛が強いことで知られる武田鉄矢が原作・原案を務めた漫画。1986年より少年ビッグコミックにて連載を開始し、後継誌のヤングサンデーで1996年まで連載されたファンの多い人気作です。
物語は竜馬の幼少期からスタート。学問も剣も苦手で近所でもいじめっ子の的になり、いつも姉の乙女に助けられている幼き頃の竜馬。そこから歴史を変えた風雲児へとどう成長していくのかを、コミカルな要素も盛り込みながら描いています。
コミック版 日本の歴史(3) 戦国人物伝 徳川家康
戦国時代を終わらせた徳川家康の生涯をコミック化。今川義元のもとで耐え忍ぶ日々、信長・秀吉との出会いと別れを超え、のちに長く続く江戸の礎を作るまでを描いています。
総合監修には著作300以上の実績を持つ歴史研究の第一人者・加来耕三先生を迎え、重厚な構成を実現しました。波乱に満ちた徳川家康の人生を、読みやすい漫画を通して深く知ることができます。小学校中学年~大人向け。
歴史を通して人生観さえも変わるかも…!
何歳になっても学んだり知識を深めるのは楽しいこと。ひとり時間のお供にするもよし、お子さんが歴史に興味を持つきっかけにすべく親子で一緒に楽しむもよし。ひょっとしたら人生や価値観さえも変えてしまうような、とっておきの一冊に出会えるかもしれません。
構成・文/鈴木美奈子