歴史上の偉人の人生を描いたものも多く、歴史に親しむうえでも役に立つ「歴史小説」。一方で、少し難しくとっつきにくいイメージもあるかもしれません。そこで今回は、あまり歴史に興味がない人にも気軽に楽しく読めるものから、子どもにおすすめのもの、時代を超えた名作まで、親子で歴史に親しめる歴史小説を厳選してご紹介します!
読みやすくて気軽に読める歴史小説
【1】『大名倒産』
江戸時代、収入をはるかに上回る大借金を背負ってしまった弱小大名の丹生山松平家。
先代の殿様はお家を潰すまいと、縁の薄い末息子・小四郎に家督を継がせ、計画的に「大名倒産」をさせ、その後には小四郎に腹を切らせようと目論みます。
そうとは知らない小四郎が、あの手この手で経済を再建させていく様子が爽快!
笑いと涙の経済エンターテイメントとしても楽しめるので、歴史小説になじみがないという方にもおすすめです。
【2】『超高速!参勤交代』
東北の湯長谷藩は、ある日幕府からいわれのない難癖をつけられ、5日以内に江戸へ参勤せよと命じられます。
その命令にそむけばお家お取り潰し必定。
財政難の弱小藩で費用も人でもないなか、心優しい藩主・内藤政醇が知恵者の家老・相馬兼嗣と共に策を練り、超高速の参勤交代をやり切ろうとする努力がユーモラスに描かれています。
佐々木蔵之介さん主演で映画化もされています。
小学生が必ず習う「参勤交代」ですが、映画や小説で親しむとぐっと理解が増しそうです。
【3】『八朔の雪 みをつくし料理帖』
両親を亡くし、天涯孤独の大坂出身の少女・澪。
天性の味覚を見込まれ、大坂随一の料理屋で料理人として腕を磨いていましたが、店は火事で焼失してしまいます。
縁あって江戸で料理店を任された澪は、大阪と江戸の味の違いに戸惑いながらも大奮闘。
周囲の人々に温かく支えられながら、たくましく成長していく様子を描いた全10巻の時代小説シリーズです。
江戸時代の市井の人々の暮らしや江戸の食事情も綴られており、巻末には「澪の料理帖」としてレシピも掲載。
作中に登場する料理がどれもおいしそうで、読む楽しみと料理を再現する楽しみが味わえますよ。
【4】『すかたん』
江戸詰め藩士だった夫が急死してしまい、ひょんなことから大坂の青物問屋「河内屋」で働くことになった知里。
女主人の志乃にしごかれ、トラブルに奔走しつつ徐々に仕事も覚えていきます。
そんななか、道楽息子と言われる若旦那・清太郎の野菜にかける真剣な思いを知り、いつしか惹かれていき…。
江戸時代の町人たちの日常と恋模様を描いた歴史恋愛小説。
親しみやすい内容で大阪ことばのテンポもよく、楽しく読める作品です。
子どもにおすすめ!歴史を学べる小説
【1】『豊臣秀吉』
豊臣秀吉や徳川家康をはじめ歴史上の人物のさまざまな伝記がある「講談社青い鳥文庫シリーズ」。
ルビ入りで挿絵もあるので、子どもの歴史小説の入門編としておすすめです。
【2】『真田十勇士』
豊臣と徳川をはじめとする戦国武将がひしめき合う戦国時代を舞台に、時代に翻弄されつつ果敢に立ち向かう真田幸村と十人の家臣の活躍を描きます。
装丁や挿絵もかっこよく、猿飛佐助や霧隠才蔵など、誰もが耳にしたことはあるような忍者の活躍が躍動感たっぷりに描かれており、子どもに人気です!
じっくり読みたい歴史小説の名作
【1】『覇王の番人』
NHK大河ドラマ「麒麟がくる」でも話題になった明智光秀を描いた作品。
戦国の世を自らの手で鎮める決意を胸に秘め、信長とともに戦いに突き進む光秀と、信長を親の仇として憎む忍び・小平太という、異なる2人の立場から本能寺の変に至る経緯を描いています。
光秀の謀反に黒幕説が採られており、独自の解釈がなされているのが読みどころです。
【2】『天平の甍』
奈良時代に日本に仏教を伝えた存在として、小学校の社会でも必ず教わる鑑真和上。
その鑑真来朝という事実をもとにした壮大な歴史小説です。
鑑真来訪を実現するために尋常ならざる情熱を注いだ若い層たちの志や挫折に心を揺さぶられます。
教科書ではサラッと過ぎてしまう一つの事柄ですが、そこにはこれだけ人の強い思いが込められていることを、いつか子どもたちにも知ってほしいと思ってしまいます。
【3】『竜馬がゆく』
幕末の志士として人気の高い坂本龍馬を世に知らしめるきっかけとなった名作。
若き日の竜馬がさまざまな人との出会いや幕末の出来事を通して逞しく成長していき、薩長同盟をはじめとするさまざまな偉業を成し遂げる様子が描かれています。
歴史上の偉人である竜馬が人間らしく親しみやすく、なんとも魅力的で竜馬のファンになってしまうこと間違いなし。
子どもが青年期になったら親しんで欲しいと思う歴史小説の名作です。
おわりに
歴史上の事件や偉人の人生を描いたものから、その時代に生きる市井の人々の暮らしや心情を綴ったものまで、歴史小説にはさまざまな名作がありますね!ここにご紹介したのはごく一部ですが、大人から子どもまで楽しめるジャンルですので、ぜひいろいろな作品に親しんでみてください。
文・構成/HugKum編集部