難しそうなイメージのある「歴史漫画」。でも、お子さまが歴史に興味を持つきっかけになって、勉強にも役立つような漫画もたくさんあります!今回は、そんな歴史漫画のおすすめ作品を厳選してご紹介していきます。
平安・室町時代の歴史漫画
現在の日本の文化、政治などの基礎となった時代の漫画では、貴族を中心とした雅やかな世界を垣間見ることができます。
【1】『応天の門』
学問の神として知られる真面目で勤勉な菅原道真と、恋多き歌人として名高い在原業平を相棒に、平安京を舞台に巻き起こる怪事件を次々と解決していくというサスペンス漫画。
鬼や物の怪などが引き起こしたと思われていた事件がじつは人間による犯罪だったことを暴き、解決してきます。
史実に忠実で時代考証もしっかりしており、平安時代の文化・風俗に関する解説文などもあるので、勉強にも役立ちますよ。
【2】『阿・吽』
最澄と空海。日本仏教の開祖として日本史上比類のない天才と言われる二人を圧倒的なスケールで描いた力作です。
天才ゆえに周囲になじめず不遇な環境に苛まれながらも、ひたすら自分を高め続け孤高の道を歩む2人。
史実を踏まえた仏教世界の描写、美男美女の登場キャラクターなども魅力満載で、あっという間に引き込まれていきます。
皇族・貴族の権力争いなどの、平安時代の政治の世界を知ることができるのも興味深い点です。
【3】『あさきゆめみし』
日本の古典文学『源氏物語』を、わかりやすく、美しく描いた歴史漫画の金字塔。
光源氏を主人公に、平安時代の宮廷で繰り広げられる華やかな恋愛模様がほぼ原作通りに描かれており、難しい古典の世界に興味を持つきっかけになります。
さまざまな資料を集め、着物の柄や調度品などもできるだけ当時の状況を再現するように描かれているそうで、大人にも読みごたえ充分です。
戦国・江戸時代の歴史漫画
歴史漫画で一番ファンの多いのがこの戦国から江戸時代の動乱を描いたものではないでしょうか。
【1】『信長協奏曲』
勉強嫌いでゆるい性格の高校生・サブローが戦国時代にタイムスリップ。
そこで自分とそっくりな顔の織田信長に出会い、病弱な彼から「自分の代わりに信長として生きてくれ」と頼まれ、信長として生きていくことに。
日本史に何の興味もなかったため「織田信長が天下統一を目指している」ことは知りつつ、誰もが知る信長の最後などをよく知らないサブロー。
そんな彼がどうやって信長として生きていくのか、展開が気になりやめられなくなります。
サブローと同じ顔をもつ本物の信長が、明智光秀だったという斬新な設定も見どころ。
飄々とした信長に合わせるかのように、周囲の前田利家、徳川家康などの武将もキュートで、信長の妻・帰蝶や妹・お市をはじめとした女性たちがのびのびと描かれているのも魅力的です。
【2】『へうげもの』
戦国時代、織田信長や豊臣秀吉に仕え、茶人としても名を残す武将・古田織部を主人公とした歴史漫画。
信長のもとで出世を目指す武人の顔と、茶道や茶器など戦国時代に花開いた美を愛する「数寄者」の顔を併せ持った古田織部。
出世と物欲の間で日々葛藤を繰り返す彼の目を通して、織田信長、千利休、豊臣秀吉、徳川家康ら偉人たちの生き様や数寄という文化を、軽妙ならが迫力のあるタッチで描いています。
【3】『JIN-仁-』
西暦2000年の現代から幕末へタイムスリップした脳外科医・南方仁が、現代から持ち込んだ知識と幕末の人々の協力により、近代医療を実現していく医療時代劇漫画。
梅毒、コレラ、癌など、幕末の医療状況では立ち向かえない病気と、ひたむきに戦う仁。
次第に日本の歴史自体にも大きな関りを持つようになっていき、ラストシーンは涙なしには読めません。
大沢たかお主演でテレビドラマ化もしていますが、原作はストーリーも違いますので、ぜひ漫画も読んでみてください!
【4】『大奥』
映画化、テレビドラマ化もされている人気作品。
男子のみがかかる謎の疫病により男子の人口が減少し、権力が男から女に移った世界を江戸城の「大奥」を中心に描いています。
歴史上では男性である徳川家の将軍たちが女性に、女性が男性に置き換えられた架空の設定で物語が展開しますが、史実とフィクションが織り交ぜられた巧みなストーリー構成や愛憎と権力欲が渦巻く人間ドラマにハマります!
昭和の戦争漫画
戦争を知らない子どもたちには、説明なしにまずは視覚に訴えてくる漫画で知ってもらうのもおすすめです。
【1】『特攻の島』
太平洋戦争末期、日本軍初の特攻兵器として開発された人間魚雷「回天」に乗る若者達の姿を描いた作品。
生きては帰れない特殊兵器の搭乗員に自ら志願した主人公渡辺祐三の心情の変化が、回天隊の作戦や悲惨な戦争の事実とともに丁寧に描かれており、涙なくしては読めません。
戦争を知らない世代の子どもたちにもぜひ読ませたい作品です。
小学生低学年にもおすすめ!入門編歴史漫画
NHK Eテレでおなじみの番組の漫画。「歴史モノ」と難しくとらえず、好きなキャラクターの暮らす「世界」としてとらえて、まずは無意識に知識を増やしていけたら楽しいですね。
【1】『落第忍者乱太郎』
NHK Eテレでもおなじみの『忍たま乱太郎』の原作。
忍者養成学校である忍術学園に通う猪名寺乱太郎を主人公に、歴史的資料に記された史実の忍者の術や技がきちんとした時代考証のもとに描かれています。
子どもに正しい歴史を知ってほしいという思いで「朝日総学生新聞」に連載されていた作品なので、子どもの歴史漫画入門編としてぴったり。
史実の忍者についてわかりやすく解説されています。
【2】『ねこねこ日本史』
こちらもNHK Eテレでおなじみ、ゆるくかわいい猫ちゃんたちから楽しく歴史を学べる4コマ漫画です。
歴史上の人物たちがすべて猫に置き換えられ、ゆるくかわいいエピソードで展開されます。
合間には作者による解説も挟まれているので、気軽に読みながらしっかりお勉強効果も。
子どもが歴史に興味を持つきっかけになりそうです。
おわりに
授業で教わるだけだとまったく興味の湧かない歴史上の人物も、漫画の登場人物として読むとぐっと身近な存在に感じられるのが歴史漫画の魅力ですよね。漫画で読んだことは意外といつまでも記憶に残るので、「あさきゆめみし」などは受験の必読書と言われていたことも。子どもの歴史への興味を広がるきっかけになる歴史漫画、おうち時間にぜひ親子で楽しんでみてください♪
文・構成/HugKum編集部