東日本大震災から10年。災害はもう誰にとっても他人事ではなくなりました。そして未曽有のコロナ禍。今、大地震が起こったら……? これを機に、家族の防災をしっかりと見直しておきませんか?
防災はRPGに似ている?
防災と聞くと深刻にとらえてしまい、ついつい腰も重くなってしまう、という方も多いかもしれません。そんな方にこそ知ってほしいのが「災害は怖くても、防災は実はおもしろい」ということ。
下記でご紹介する漫画は、防災の大切さと意外なたのしさ、そして防災へのポジティブな向き合い方を教えてくれます。
『防災クエスト』(小学館)より 絵/エイイチ
いくつクリアできる? 防災勇者になるためのスキルチェック
防災の知識を深めて「防災スキル」をどんどんとアップしちゃいましょう!
さっそくですが、以下の質問にはどれくらい答えられますか? あなたの防災勇者としてのレベルをチェックしてみてくださいね。
Q1 ハザードマップで何がわかるの?
ハザードマップは、その市町村で発生が予測される自然災害の種類(洪水、内水氾濫、高潮、津波、土砂災害、火山など)ごとにつくられています。自宅周辺にはどのような災害のリスクがあるのか、どの場所がどのくらい危険なのか。避難所の所在とともに、各マップごとに調べておきましょう。
WEBでは国土交通省の「重ねるハザードマップ」が便利です。
Q2 「171」はどうやって使うの?
災害用伝言ダイヤル(171)は大きな災害が起きたときに開設される、電話による音声サービス。録音・再生する際には、パスワードとしてひとつの電話番号を入力する必要があるので、まえもって家族で決めておくようにしましょう。
録音は30秒間。いざ必要となったときに落ち着いて話せるよう、デモ機が使える日(毎月1日、15日)に練習しておくことをおすすめします。
Q3 外出中に被災したらどうすべき?
外出中に被災した後の行動も、まえもって決めておくようにしましょう。かならず自宅に戻るのか、それとも避難所に行くのかを決めておくだけでも不安が減ります。
子どもがひとりでいるときに被災したら、基本的には大人が迎えに行くのがベスト。ひとりで行動しないように約束しておきましょう。遊びにでかけているときにもしものことがあったら、学校に戻る、友達といっしょにどこかに向かわせるなど、事前に決めておくことが大切です。
Q4 乳幼児との避難はどうしたらいいの?
乳児と避難する際、抱っこひもから手足が外に出ていると危険です。体をまるごと隠せるスリングで抱っこするか、おくるみやバスタオルなどを上から掛けてあげましょう。
ふだんは走り回る2、3歳の幼児でも、被災時は怖がってしまい歩けなくなることがあります。そんなときは、シーツなどを使っておんぶするのもひとつの手。そして、まずは「大丈夫だよ」「一緒に逃げようね」と声をかけ、抱きしめましょう。
Q5 被災したとき、コロナ対策に便利なアイテムは何?
もしもひとつ選ぶとしたら、逆性せっけん(ベンザルコニウム塩化物液)が便利です。コスパが非常に高く、物にも人の肌にも使えて万能。医療現場でも物品や手術時の皮膚の消毒に使われています。
安全で刺激臭もなく、水道水を混ぜて使用可能。逆性せっけんと水を「1:200」で薄めた自作消毒液を携帯用のスプレーに入れておくだけでも安心です。
Q6 防災クッキングで簡単にできるのは何?
おすすめは、なんと、お菓子の「じゃがりこ」で作れるポテトサラダ。120mlの水かお湯をカップに注いで(水なら10分、お湯なら5分置く)、混ぜるだけでOK。
そのほか、ひとつのカセットコンロ+ひとつの鍋に、複数のポリ袋を使って複数の料理を同時につくる「パッククッキング」なども効率の良い調理法。ネット上の防災レシピを普段からチェックしておきましょう。
Q7 子どもに持たせたい防災アイテムは?
ひとりでいる時間帯に被災しても逃げられるように、子どもには防災アイテムを普段から持たせておきましょう。
たとえば、防寒具の代わりや火おこしにも使える新聞紙、災害用トイレやレインコートとして使えるゴミ袋、防災笛、小銭、テレホンカードなど……軽くてかさばらず、いろいろな用途に使えることが防災アイテム選びのポイントです。
Q8 ペットは避難所に連れていけるの?
環境省はペットと一緒に避難する「同行避難」を原則としていますが、避難所への同行はできても一緒に生活はできない場合がほとんどです。
災害時もペットの安全と健康を守れるように、ふだんからペットのための備えを意識しましょう。ペット同行の避難訓練を行っている自治体もあるので、調べてみてくださいね。
いかがでしたか。上の8問のうち半分以上答えられた方はかなりの強者。さらに防災を極めて有事の英雄をめざしましょう。半分以下、もしくはほとんど答えられなかった方は、これを機会に防災のポイントをおさえておくようにしましょう。
家族みんなで「13のミッション」をコンプリートせよ!
ここまでご紹介してきた漫画や知識は、辻直美さんによる子育て家族向けの防災指南書『防災クエスト』から抜粋・引用したものです。本書では、防災をRPG (ロールプレイングゲーム)に見立てて解説!
漫画でわかりやすく解説される、辻さん考案・防災のための「13のミッション」は必読! 「家の防御力を上げよう」「避難の呪文を覚えよう」など、ゲームの攻略本のような感覚で読み進めることができます。家族で読めば、大人も子どもも協力し合いながらたのしく防災に取り組めるはず。
災害時に実際に役立つ情報も満載。断水した際の対処法や、防災クッキングのレシピなども収録されていて、災害時に携えておきたい一冊です。
辻 直美さん(国際災害レスキューナース)ってこんな人
本書の著者・辻 直美さんは、国際災害レスキューナース。一般社団法人育母塾代表理事でもあり、看護師としては29年、災害レスキューナースとしては26年活動しています。東日本大震災や西日本豪雨(平成30年7月豪雨)などで救助を行う一方で、ナースの育成や企業・行政向けの防災セミナーも積極的に開催。ユーモアやレクリエーションをまじえて、生き延びるための防災テクニックを伝えつづけています。
そんな辻さんの、防災への向き合い方についてのコメントもご紹介します。
「私の考える防災は、日常の延長にあるものです。だから、だれにでもできる。子どもにも高齢者にも、普段はなかなか家事に協力しないパパにだってできる(笑)。家の中にあるものでできて、しかも簡単。やろうと思えばすぐ始められる。この気軽さがポイントです。だから私の考える防災は、ハマるとめっちゃおもろいんです」(書誌本文より抜粋)
日常的に気をつけたい防災。だからこそたのしく取り組もう!
いつどんなことが起こるかわからない。だからこそ、日常的に防災を意識し、もしもの備えをしておく必要があります。上のコメントにも綴られているように、辻さんは「日常の延長にあるもの」として気軽に、そしてたのしく防災に取り組む方法を提案します。重く考えすぎずに、まずはすぐにできることから。肩の力を抜いて、ゲーム感覚で向き合ってみてくださいね。
文/羽吹理美
子育て家庭に知ってほしい防災の知識を、RPG(ロールプレイングゲーム)風のマンガで紹介。防災はRPGに似てる! だれもが最初はレベル1。経験値を積み、スキルを覚えて、パーティ(家族)で力を合わせて災害に立ち向かいましょう。防災スキルを覚えるための「13のミッション」をあなたはクリアできますか? ママやパパ、子どもも一緒に。家族みんなでゲームのように防災に取り組んでみましょう!