名前で男女問わずよく使われる「雅」。優雅、雅楽、みやびなど、上品な華やかさを持つ漢字ですが、どんな意味や由来を持ち、名前に使うとどのような願いが込められるのでしょうか。
この記事では、名付けに悩む方や「雅」という漢字が気になっている方に、漢字の意味や由来、名前に使った際のイメージを解説。「雅」を使ったおすすめの名前も男女別にご紹介します。
雅はどんな漢字?
名前に使う漢字にはその成り立ちや意味が反映されます。まずは、雅がどんな漢字なのかを知っていきましょう。
雅の成り立ち
雅は音読みで「が」「あ」、訓読みでは「みやび」「つね」などと読み、さらに人名では「ただ」「なり」「のり」「まさ」などさまざまな読みがある漢字です。
鳥のくちばしやカラスの鳴き声、動物のとがった歯をあらわす「牙(が、きば)」と「隹(ふるとり)」という部首から成り立っています。
雅の意味
雅はみやびやか、奥ゆかしいなど高貴で上品であること、また正しい、正統であるという意味、常、平素などという意味を持つ漢字として知られていますが、もう少し深い視点から雅の意味を探ってみましょう。
雅のルーツをさらにたどると、中国に伝わる最古の歌集「詩経」にさかのぼることができます。「詩経」に記された詩は3種類に分類されており、そのうちの1つが宮廷内で奏された音楽を指す「雅」です。「雅」は、荘厳で長い「大雅」と民謡風の「小雅」に分かれていました。
中国で宮廷音楽を指していたのと同様に、雅は日本でも伝統芸能の雅楽をはじめ、上流階級の人々がたしなむ文化・芸術にまつわる言葉です。気高さ、みやびやかな様子を示す高雅、しとやかなふるまいや仕草をあらわす優雅などの熟語からも、雅は高貴で風流なイメージを持つ漢字と言えるでしょう。
雅(みやび)やかってどんな意味?
雅という漢字を辞書で引くと、「みやびやか」という言葉が意味の欄に記されています。雅の語源が宮(みや)びであることから、「みやびやか」は宮廷や王族、貴族の優雅なようすをあらわす言葉となりました。
「みやびやか」は日本の古典文学でもよく用いられている由緒ある言葉です。
「雅」の名前におけるイメージ
雅は女の子、男の子ともに名前でも良く見かける漢字です。ここからは、雅を使った名前はどんなイメージを持つのかを解説します。
上品さ、高貴さ
雅という漢字のルーツから、名前でも上品さや高貴さをイメージして用いられることも多い漢字です。
しなやかで品のある立ち振る舞いや雰囲気を身につけてほしいと願う方は、ぜひ雅を使った名前を候補に入れてみてください。
奥ゆかしさ
雅は、自分の能力や魅力を誇示しない奥ゆかしさもイメージできる漢字です。
物事をストレートに表現せず、美しい言葉で飾ったり風流な方法を用いてあらわしたりするのが日本特有の美意識。目立つアピールはしないが、ふとしたときに見える魅力が人を惹きつける、奥ゆかしく神秘的な人に育ってほしいと願う方におすすめです。
落ち着き
高貴で上品なイメージの雅は、落ち着いた雰囲気も感じさせる漢字です。また、雅の意味の1つに平素があることから、浮つかず平静な心という意味にも。
いつも静かで落ち着いた心を保つ人は周囲から頼られる存在です。雅は、わが子の成長した姿に落ち着いた雰囲気や、ものごとに動じない冷静な心を願う方におすすめの漢字です。
名付けのポイントと注意点
赤ちゃんの名前を考えるときにはいくつかポイントや注意点があります。お子さんが一生名乗ることになる名前なので、しっかりと押さえておきましょう。ここからは、名付けのポイントや注意点をそれぞれ解説していきます。
漢字の意味
漢字の持つ意味や由来は、名前に込める願いとなります。名前に使いたい漢字をもとに名前を考えても、反対に気に入った響きに漢字を当てても良いでしょう。
どんな人に育ってほしいか、ママパパの願いを込められる漢字を探してみましょう。
名前の響き
名前は書くだけでなく、声に出して呼び合うもの。漢字の意味だけでなく、その響きが気に入ったものか、違和感が無いかなど確認しましょう。音で聞いたときに、既存のネガティブな言葉と同じ響きにならないかどうかもチェックしてみてください。
また、名字とのバランスも忘れずに確認するのも大切です。
名前の字画
姓名の画数からその人の性格や運勢を占う姓名判断。今はWebで手軽に調べられるので、気になる方は名前候補を判定してみましょう。
本格的に相談したい場合は、神社やお寺で姓名判断を行うところに出向いても良いでしょう。
「雅」を使った女の子の名前
乃雅(のあ)
しなやかなイメージがある乃は、古風な雰囲気もある名前の止め字。
乃雅という名前には、古風な上品さ、高貴さを持つ人になってほしいという願いが込められます。
雅絵(まさえ)
日常でもよく使う絵は、絵画のほかに織物も指し、名前では人との良縁を願って用いられます。雅絵という名前には、落ち着きや上品さで良い縁を引き寄せられるようにという願いが込められます。
美雅(みのり)
姿かたちの美しさだけでなく、心の美しさも意味する美。美雅という漢字には、美しく高潔な精神や人を引き付ける心身の美しさを願うことができます。
雅子(まさこ、みやこ、よしこ)
可愛らしさや女の子らしさ、賢さを願って用いられる子という漢字。雅子という名前には、品が良く人に愛される資質を持つ人にという願いが込められます。
昔ながらの子の付く名前なので、どんな年齢層の方にも好感を持たれやすいのもポイントです。
夕雅(ゆうか)
真っ赤な夕日のような美しさ、情熱などを意味する夕。夕雅という名前には、落ち着きや品の良さと情熱を併せ持った人になってほしいという願いが込められます。
「雅」を使った男の子の名前
雅人(まさと、まさひと)
日常でもよく使う人は、名前では立派な人物という意味を持つ漢字です。雅人という名前には、高貴で落ち着いた雰囲気を持ち、将来には大成するという意味が込められるでしょう。
一雅(かずなり、かずまさ)
一は、物事の始まりや頂点、唯一無二の存在であるといった意味を持つ漢字です。一雅という名前には、物事の重要な部分を担う冷静沈着な人というイメージが込められます。
雅久(ただひさ、なりひさ、まさひさ、よしひさ、がく)
永久、悠久などの熟語でもよく見かける久は、時間の長さを意味する漢字です。雅久という名前には、長寿や末長い平穏な道のりを願うことができます。
清雅(きよまさ)
汚れなく澄んだイメージの清は、名前でも心の美しさを願うことができる漢字です。清雅という名前には、気高く美しい心を持った上品な雰囲気を持つ人という意味が込められます。
博雅(ひろまさ、はくが)
博学、博識などの熟語にもあるように、広い知識やスケールの広さをあらわす博。博雅という名前には、器の大きさや賢さ、気品などの意味が込められます。
また、平安時代の楽器の名手である源博雅にあやかって、音楽の才能や芸事での成功を願っても良いでしょう。
しなやかで高貴な「雅」を名付け候補に!
1文字でも、ほかの漢字と組み合わせても良い名前になる雅。組み合わせ次第で、古風なイメージからおしゃれな名前まで、柔軟に変化するのもこの漢字の特徴です。
しなやかで高貴な雅を、お子さんの名付け候補に入れてみてはいかがでしょうか。
文・構成/HugKum編集部