チーズは栄養価も高く、おかずへのアレンジも豊富で使う場面が多い食材です。今回はチーズを冷凍で長持ちさせる保存方法について見ていきたいと思います。
目次
保存の正しい知識と冷凍できるチーズの種類
チーズの原材料は牛やヤギ、羊などの乳を発酵、熟成させることで、長期保存を可能にした加工食品です。菌が生きているので保存方法を間違えると、たちまちカビが生えてしまう、デリケートな食品です。これをナチュラルチーズと呼んでいます。
一方プロセスチーズは発酵を止め、保存性に優れたチーズで、熟成しないので味の変化もありません。6Pチーズなどがこれです。
チーズの賞味期限
開封すると、そこで賞味期限は無効になります。買う時には、まず賞味期限を確認しましょう。モッツァレラなどのフレッシュタイプなら早いほど食べごろです。カマンベールなどの熟成タイプの食べごろは、賞味期限の1〜2週間前が一般的です。
プロセスチーズの場合は菌が死滅しているため、賞味期限が圧倒的に長く、冷蔵で半年ほどです。ですが、乳製品であることは変わりがないので、開封後は早めに食べることをお勧めします。
チーズの基本的な保存方法とは
チーズの種類と同じく、保存方法は多種多様です。まずは商品に記載された保存方法を確認しましょう。
大まかに言うと、乾燥を避けて密閉し、冷蔵庫で保存がベター。買ってきた時に使われているシートがあれば、チーズ専用なのでそのまま使用してください。このシートからカビが発生することもあり、こまめに交換することで防ぐことができます。代用はラップよりもクッキングシートがおすすめです。さらに保存用袋を使って2重に包み、チーズの強い匂いを逃さないようにしてください。
チーズは冷凍ができる食材です。これから詳しく見ていきますが、ひとつ注意点があります。
下ごしらえして冷凍する時の注意
チーズインハンバーグのように、下ごしらえをして冷凍保存を考える場面もありますよね。ですが、菌が生きているナチュラルチーズを生肉に混ぜて冷凍保存することはおすすめしません。冷凍が完了するまでに変質する可能性があります。
下ごしらえをする時は、プロセスチーズを使えば衛生的で安全です。
モッツァレラチーズの冷凍保存
フレッシュタイプのチーズはソフトでクリーミー。できたてのやわらかい酸味があります。熟成が浅い分、保存期間は短く、製造後10日以内には食べたいものです。
モッツァレラが水に浸かっていても、保存用の食塩水なので、チーズだけを詰め替えてもかまいません。開封後は冷蔵庫で3日程度の保存期間です。
使いやすい大きさに切って冷凍
スライスしてクッキングシートで包み、シールパックで密閉します。ひと袋にまとめて冷凍庫に保存してください。冷凍すると1〜2ヶ月の保存期限です。
GLAD プレス&シール
シールラップで包むときれいに小分けができます。ショートケーキ形や、丸形など、形が定まらないチーズもこれなら密閉しやすいですね。
使うときは食材に乗せて焼くのがおすすめ
解凍するとボソボソした食感に変わってしまうので、カプレーゼには冷凍前のチーズを使ってください。熱を加えると溶け、糸を引くように伸びます。すぐに柔らかくなるので、途中でいったん取り出し、切ることもできますよ。
食材の上に乗せるので、上から加熱ができるオーブンの他、トースターや魚焼きグリルで焼いてください。
カマンベールチーズの冷凍保存
カマンベールチーズの周りを覆う膜は白カビです。熟成が進むと赤や黄色が見られ、変化する味を楽しみます。国内産の多くは、ほどよい段階で殺菌し熟成を止め、衛生的です。
外側の膜は、チーズの香りを楽しめる一方、口に残るので食べない方もおられます。どちらでもお好みで選んでください。
商品が入っていた容器のまま冷凍
開封後の賞味期限は冷蔵で7日ほどですが、冷凍庫に入れると1〜2ヶ月に伸ばすことができます。
中身が柔らかいので商品用の箱にいれたまま形を保ち、そのまま密閉します。カットすると流れ出して乾燥するので、断面にはクッキングシートを貼り付けましょう。
使うときは焼くだけでラクレット風に
食べる時は、凍ったまま加熱をしてください。スキレットに乗せてグリルで焼き、皮を切り取ると中はトロトロです。電子レンジの場合は耐熱皿に入れて、少し皮を破ってから1〜2分加熱します。
シュレッドチーズはパラパラ冷凍
細かく切って袋詰めにされたピザ用シュレッドチーズ。チーズの種類はゴーダ、モッツァレラや、ミックスされたものもあり多様です。人が集まる場面でたっぷり使えるので、上手に保存をして適切に楽しみたいですよね。
片栗粉をまぶしてパラパラ冷凍
買ってきたまま冷凍庫に入れると、大きな塊のままカチカチになり、使う時に困ります。まずは冷凍用保存袋を使って、小分けにしましょう。一人分10〜15gを目安にしてください。そして少量の片栗粉をまぶします。この粉がチーズ同士をくっつけない役目を果たすので、袋の口を閉め、シャカシャカ振って全体にまぶします。
冷凍庫で1〜2ヶ月の保存期限になりますよ。
使うときは加熱して調理を
使う際は冷凍のまま、加熱して食べください。
チーズトーストは、パンが油を吸い取るのでトロトロのチーズですが、スキレットで焼くと、カリカリの食感を楽しめます。下処理をしたエビや、鶏のささみにチーズを乗せ、グリルで焼いてください。スキレットにはオーブンシートをひいておくと、くっつかないので片付けも楽です。
スライスチーズはカビと乾燥に注意
薄いシート状のチーズは、ナチュラルチーズ、プロセスチーズの両方を見かけることが多いですね。ラベル項目の「種別」を確認しましょう。どちらのタイプかによって保存方法が変わりますよ。
購入後すぐに冷凍保存
ナチュラルチーズでありながら大容量で販売されているスライスチーズは、購入後すぐに小分けにしてください。空気に触れる面積が大きいのでカビや乾燥に弱く、クッキングシートに包んでから密閉がベター。温度変化も苦手です。2〜3日で使う分だけ冷蔵庫へ、その他は冷凍庫へ保存します。
プロセスチーズのスライスも、開封して2週間は冷蔵で保てますが、乾燥には特に気をつけてください。
使うときは加熱して伸びを楽しむ
ナチュラルチーズは加熱するとよく伸びる特徴があります。保存には気を使いますが、特有の深みがありますよね。
一方のプロセスチーズは加熱しても、もともと伸びません。肉巻きにする時など、チーズが流れ出す料理には使いやすいので試してみてください。また、プロセスチーズのとろけるタイプは、材料の配合を代える対応で工夫されています。
粉チーズは早めに冷凍
1年以上の熟成を経ている硬質のチーズを、すりおろしたものが粉チーズです。なんとなく長期保存ができる気がしてしまいますが、中身が見えないだけでカビが発生していることも。プロセスチーズであっても、開封後は早めに使い切るか、冷凍するのが賢い方法です。
マッシュしたじゃがいもに混ぜれば、ポテトサラダにしたり、丸めて焼いても良く、残さずに使い切ることができます。
使う分だけ小分けにして冷凍が安心
粉チーズはこぼれやすいので、クッキングシートではなくラップに包んで冷凍します。もう一枚保存袋を重ねて冷凍庫へ入れてください。1ヶ月程度の期限です。
使うときは早めに取り出して
使う時は早めに冷凍庫から出して、ほぐしておきましょう。冷蔵保存ならスパゲッティにそのままかけますが、冷凍したものはソースに加えて加熱してください。リゾット、シチューにも加えると深みが出ます。
冷凍することで幅が広がる
チーズの冷凍は保存期間が長くなる分、今までよりも調理の幅が広がります。手に取らなかったチーズにも、試してみると新しいおいしさが見つかるかもしれません。ぜひ、冷凍方法を活用してチャレンジしてみてください。
構成・文/もぱ(京都メディアライン)