「トイレトレーニングの始めどきは?」「具体的にどうすればいいの?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。トレーニングを始める前にやっておくとよいことも含め、無理なく進めるためのヒントをお届けします!
目次
あせらず、あわてず始めどきを見極めて
トイレトレーニングは早く始めれば早く終わるというものではなく、子どもの成長に合ったタイミングで始めることが大切です。膀胱がおしっこをためられるようになり、記事中盤のチェックリストをすべて満たしたら始めどきです。
2歳台で始めるとトレーニング完了までに1か月程度かかることもありますが、心身が発達した3歳台で始めると1~2週間程度で完了するケースが多いようです。あせる必要はないので、子どもの心身の準備が整い、おうちの方も精神的にゆとりがあるタイミングを見極めて始めましょう。
スタートしたら昼間はパンツで過ごすのがおすすめ
トレーニングを楽しく進めるコツは、ほめるポイントをたくさんつくること。最初のうちはトイレやおまるに座れただけでもほめましょう。
おうちではパンツなのに、お出かけをするときだけはおむつにする、といった特別な対応をすると子どもを混乱させてしまうので、一旦パンツに切り替えたら昼間はずっとパンツで過ごすことをおすすめします。
おもらしをするのは当たり前なので、失敗しても叱らない、がっかりしないことを心がけて。できるようになったことを親子で一緒に喜びながら進めていけるといいですね。
【始める前に】トイレトレーニングの準備チェックリスト
□1歳半を過ぎている
□おしっこの間隔が2時間くらいあく
□おしっことうんちの違いがわかる
□ 大人が話す言葉の意味がわかり、自分の気持ちを伝えられる
□ 「おなか」「おへそ」などの体の部位の名称と位置がわかる
□ 自分でズボンやパンツの脱ぎ着ができる
□ 下の子の誕生、転居、入園、転園など環境の変化がある時期でない
□ トイレトレーニングを始めてみようとおうちの方が思える
チェックリストをすべて満たしている
→トイレトレーニングに進んでもOK!
ひとつでも満たしていないものがある
→ トイレトレーニングを始めるにはまだ少し早いかも。プレトレーニングをしながら、しばらく様子をみましょう。
プレトレーニングってどうやるの?
上のチェックリストで、ひとつでも満たしていないものがあるときは、プレトレーニングから始めましょう。
プレトレーニングの具体的なやり方を解説します。
おむつ替えのときに「出たね」の声かけをする
おむつを替えるときに「おしっこ出たね」と声をかけたり、排便後に「いいうんちが出たね」とおむつの中のうんちを見せたりすると、子どもは自分の体からおしっこやうんちが出ていることを認識しやすくなります。
排便は健康のために大切なことなので、「くさい」「汚い」という言葉は使わずに、「ママやパパもうんちは出るよ。うんちが出るとすっきりするね」と伝えましょう。
「ぬれる」「乾く」の感覚を教える
吸水性の高い紙おむつを使っていると、おしっこが出てもすぐに吸収されるため、「おしりがぬれる」という感覚を子どもがつかみにくいことがあります。
「ぬれる」「乾く」とはどういうことなのかを子どもが理解できるように、手を洗うときに「手がぬれたね」「タオルで拭いたら乾いたね」といった声かけをして、「乾くと気持ちがいいね」ということも伝えておきましょう。
トイレは何をする場所なのかを伝える
トイレがどんな場所かを伝えるには、大人がトイレを使う様子を見せるのが効果的です。
おうちの方が「おしっこがしたい!」と言って子どもとトイレに行き、「ドアを開けるね」「パンツを脱ぐね」「おしっこが出たね」「トイレットペーパーで拭くね」「パンツをはくね」「すっきりして気持ちがいいな!」と実況中継するようにして一連の動作を見せることをくり返しましょう。
おまるやトイレに座る練習をする
トイレが何をする場所かのイメージがつかめたら、おむつをつけたまま、おまるや子ども用の補助便座に座らせてみます。
ポイントは、少しでも座れたらほめること。排泄のためには便座に座った姿勢をキープできるようになる必要があるので、おまるや補助便座に5分間ほど座れるようになることを目標にしましょう。好きな絵本やトイレの絵本を見せて誘ってみるのもおすすめです。
必要なものの用意と環境づくりも忘れずに
おもらしを想定して室内の防水対策を
トイレトレーニング開始直後は、おもらしをするのが当たり前。その時期は室内で子どもが遊ぶスペースを限定して防水シートを敷いておくと、おうちの方の負担を減らせます。
バケツや雑巾、ペーパータオルなどは1か所にまとめ、おもらしをしたらすぐに取り出せるようにしておきましょう。
子ども用便座を使うなら踏み台を用意
トイレに子ども用の補助便座を取りつけてトイレトレーニングをする場合は、注意が必要です。足が床につかずにブラブラと宙に浮いたままだと、うんちのときに踏ん張れないことがあります。
しっかりと足をついた状態でおなかに力を入れられるように、子ども用の踏み台も忘れずに用意を。
脱ぎ着がしやすいパンツを多めにそろえる
布のパンツはぴったりしたサイズのものだと、脱ぎ着がしにくいことも。ブカブカすぎるようでなければ、1~2サイズほど大きなものを選ぶと、子どもが自分で上げ下げしやすくなります。
おもらしをしてもすぐに替えのパンツを出せるように、10枚ほど用意しておくと安心です。
使うトイレットペーパーの長さがわかる工夫を
「トイレットペーパーでおしりを拭こうね」と言うだけでは、子どもはどれくらいの量の紙を使えばよいのかがわかりません。ペーパーホルダーの隣に、必要な紙の量と同じ長さのマスキングテープやキリンなどの絵を貼り、「この長さで切って使ってね」と伝えるといった工夫をしましょう。
手洗いが自分でできる環境を整える
トイレトレーニングでは、トイレを終えたら手を洗うことまで教える必要があります。子どもが自分で水を出せるように、水栓まで手が届く高さの踏み台を用意しましょう。
また、洗った手をしっかりと拭くことができるように、タオルかけも子どもが使いやすい位置になっているか見直しを。
チェックリストを満たしたらトイレトレーニングをスタート!
ここまではトイレトレーニングの準備編でした。準備が整い、上のチェックリストをすべて満たしたら、いよいよトイレトレーニングのスタートです。
おしっこが出そうなタイミングでトイレに誘う
おしりをモゾモゾと動かすなど、おしっこが出そうな素振りをしたときに「トイレに行ってみる?」と誘います。遊びを中断することは避け、遊びの後や食事の前、お出かけの前など、やることが切り替わるタイミングで声をかけるのがコツ。
ごほうび(2歳台までなら成功したらシールを1枚貼る、3歳なら成功して貼ったシールが20枚たまれば子どもが好きなことをするなど)を用意すると、意欲を引き出すのに役立ちます。
チェックシートをつけると出そうな時間がわかる!
トレーニングを始めたら、「おしっこやうんちが出た時間」と、「おうちの方に誘われてトイレでできた」「自分からトイレに行くと言ってできた」「おもらしをした」のどれに当てはまるかをチェックシートに記録していきましょう。
数日間続けると何時ごろにおしっこが出ているかがわかり、誘うタイミングをつかみやすくなります。
「出そうになったら教えてね」と声をかけて待つ
誘えばトイレでできることが増えてきたら、「出そうになったら教えてね」と伝え、子どもから言うのを待ちます。おうちの方が誘ってばかりいると、子ども自身がおしっこのたまる感覚に気づくきっかけを奪ってしまうおそれがあるので、誘う回数は徐々に減らしていきましょう。
「出る」と言ってトイレに5分ほど座っても出ない場合は、「教えてくれてありがとう。次はきっと出るよ」と明るく声をかけましょう。
おもらししたら叱らずにササッと片づけて
トイレに行くのが間に合わずにおもらしをした場合は、決して叱らずに、「今度はもう少し早く教えてね」と明るく声をかけてササッと片づけることを心がけましょう。
おしっこが出てから教えた場合も、「出たことが自分でわかったんだね」ということをほめ、がっかりしたような表情や素振りを見せないことが大切です。
子どもが自分からトイレに行き、ひとりでおしっこをするのを見守る
パンツの脱ぎ着も含め、ひとりでトイレができるようになったら、トイレトレーニングは完了です。
うんちのときは「おしりのほうから紙を入れて前から後ろにむけて拭こうね。紙にうんちがつかなくなるまで拭いたら、おしまいだよ」と教えましょう。子どもがひとりでおしりをきれいに拭けるようになるのは5歳ごろなので、それまではおうちの方の仕上げ拭きを習慣にするとよいでしょう。
夜はしばらくおむつのままでOK
夜のおしっこは、体に水分をためるホルモンの働きによりコントロールされていて、子どもの意思でおしっこを出す昼間とは排泄のしくみが異なります。
寝ている途中でトイレのために起こすと、眠りが浅くなってホルモンのバランスが崩れ、尿量が増えてしまいます。膀胱の容量が少ない子はおねしょが続くことがありますが、その場合、夜はおむつでかまいません。
夕食後の水分摂取は控えめにする、トイレを済ませてから寝る、布団などで体を温めて冷えを防止するといったことを心がけ、5歳ごろまでは様子をみましょう。
記事監修
田中淑恵先生
看護師・保健師・助産師・鍼灸師。母と子の「アンジュ」鍼灸・助産院 院長。通常の育児相談に加え、おむつはずし講座なども開催。3児の母。
『ベビーブック』2021年5月号別冊 イラスト/竜田麻衣 文/安永美穂 構成/童夢