トイレ掃除で見落としがちな場所が「トイレタンク」です。タンク内にカビが発生する場合があり、便器の汚れや嫌な臭いを引き起こす原因となるため定期的な掃除が欠かせません。トイレタンクの掃除をするメリットと、その方法について解説します。
トイレタンクの掃除は必要?
常に水が入った状態のタンクの内部は、カビが繁殖しやすい場所といえます。定期的に掃除を行い、タンクの中を清潔に保つメリットを見ていきましょう。
カビや臭いが発生しやすい
タンク式トイレの場合、一般的に便器の後ろに四角いタンクが設置されています。常温の水がたまっているタンクの中は、非常にカビが発生しやすい環境です。
水を流すたびにカビが一緒に流れてきて便器に残ってしまうと、そのまま繁殖して黒ずみ汚れの原因になりかねません。便器の縁裏は手が届きにくくきれいに掃除するのが難しいため、汚れが付く前に対処が必要です。
またタンク内のカビは、悪臭の原因にもなります。トイレの嫌な臭いに悩んでいるなら1度タンクを徹底的に掃除することをおすすめします。
掃除の頻度は数カ月に1度が理想
タンク内部は外からは見えないため、汚れを確認するには手間がかかります。気付かないうちにカビを繁殖させないためにも、定期的に汚れを除去してトイレを清潔に保ちましょう。
トイレタンク掃除の頻度は、数カ月に1度のペースで行うのが理想的です。なかなか掃除の時間がとれない人は、最低でも半年に1度は掃除するように心掛けましょう。
また、トイレのタイプでも掃除の頻度は異なります。ユニットバスの場合、トイレと浴室が一体化しており湿気が多く、通常よりもカビが発生しやすいため頻繁な掃除が必要です。
トイレタンクの掃除方法
タンクの中にはいくつか部品がありますが、パイプなどの細かい部品は外さずに掃除を行うのが基本です。掃除の手順や必要な道具を確認していきましょう。
用意するもの
トイレタンク掃除に必要なものは、以下の五つです。
・トイレ用中性洗剤
・スポンジ
・歯ブラシ
・ブラシ(柄の長いもの)
・ゴム手袋
タンク内部の掃除には、特別な道具は使用しません。トイレ用の中性洗剤とスポンジや歯ブラシを用意しましょう。表面はスポンジでこすり、部品周辺など細かい部分は歯ブラシを使って慎重に汚れを落とすとスムーズです。
タンクは深さがあり底に近い部分に手が届きにくいため、柄が細長いブラシがあると便利です。ゴム手袋があれば洗剤で手が荒れる心配もなく、衛生的にも安心して作業を行えます。
1 止水栓を閉めてふたを外す
まずは作業中にタンクから水があふれないように、掃除の前に止水栓を閉めておきます。ドライバーなどの工具を使って止水栓を閉めたら、タンクの中にたまっている水を完全に抜きましょう。
タンクのふたは、そのまま持ち上げて外すことが可能です。外す際にぶつけて傷が付かないよう、床にタオルなどを敷いて置いておくのがよいでしょう。
上部に手を洗うスペースが付いているタンクでは、内部に接続されたホースがタンクのふたに固定されている場合があります。念のためトイレの取り扱い説明書を用意して、確認しながらホースを外しておくとスムーズに作業できるでしょう。
2 中性洗剤とブラシでこする
タンクの掃除には「中性洗剤」を使います。洗浄力が高くカビ取りにも効果的な洗剤は、酸性のカビや黒ずみを中和する強アルカリ性のものと、トイレの便器を掃除する際の酸性のものがあります。
強アルカリや酸性の洗剤は、タンク内の部品を傷めてしまう恐れがあるため使用は避けましょう。「トイレ用の中性洗剤」を選ぶように商品の説明書きを確認することが大切です。
掃除手順は、ゴム手袋をしたらブラシに中性洗剤を付け、目立つ汚れをこすり落としましょう。広い面を磨くときはスポンジを使うと効率がよくなります。
パイプなどの細かい部分や奥の方にある黒ずみはブラシを使います。カビは水アカと混ざると頑固な汚れになるため、力を入れすぎないよう注意しながら丁寧に作業しましょう。
頑固な汚れは無理やりブラシを使うより、重曹をペースト状にしたものや紙やすりを使用します。陶器製のタンクに紙やすりを使うと傷を付けてしまう可能性があるため、重曹を使う方法がより適しています。
3 数回水を流す
タンク内の汚れを落としたら止水栓を開けて再びタンクに水をためていき、元の位置まで水がたまったら便器に水を流します。無事に水が流れるかどうかを確認すると同時に、タンクの汚れをすすぐことができるため、必ず何度か排水を行いましょう。
汚れと洗剤を流したらふたを戻します。上部に手洗いスペースが付いているタイプであれば、再びホースを接続しなくてはなりません。戻すときもふたに傷が付かないよう、慎重に扱いましょう。
トイレタンク掃除をする際の注意点
トイレタンクは陶器製の場合が多いですが、扱いには注意が必要です。たくさんの部品で構成されているタンク内を掃除するに当たって、気を付けたいポイントを確認しましょう。
塩素系漂白剤はNG
タンクの汚れを長期間放置していると、頑固な黒カビが繁殖してしまいます。ドラッグストアなどで市販されている、頑固なカビを除去するための洗剤は塩素系のものも多いですが、こうした塩素系洗剤もタンク掃除に適しているとはいえません。
タンクの内部にはパイプ以外にもさまざまな部品が組み込まれており、ゴムや金属製のパーツも存在します。塩素にはゴムや金属などを傷めてしまう性質があるため、部品が劣化する原因になりかねません。
ゴムパッキンなどの部品が傷むと、タンクからの水漏れにもつながります。このような場合は業者に部品の交換修理を依頼することになるため、掃除の際にはタンクに組み込まれている部品を傷つけないよう注意が必要です。
また、強酸性の洗剤も樹脂やゴムを劣化させる恐れがあるため、タンク掃除には中性洗剤を使用するのがセオリーです。
タンクは衝撃や熱に弱い
トイレの便器やタンクはほとんどが陶器で製造されています。丈夫に見えるタンクですが、しつこい汚れを落とそうと力を入れすぎると割れることもあります。
タンクのふたを取り外しする際にも注意が必要です。外すときには、ぶつけたり落としたりすることがないよう気を付けましょう。
耐久性が高く長持ちするのが陶器のメリットですが、衝撃や熱に弱いのも特徴です。陶器製のタンクに熱湯をかけると細かいひびが入ったり、大きく割れたりすることがあります。
タンクがひび割れると中の水が漏れ出すことになり、修理や買い換えが必要になるため、タンク掃除に熱いお湯を使用するのはNGです。
トイレタンクの汚れを予防する方法
タンクの汚れに気を付けていれば、トイレ掃除が楽になります。日頃から簡単に取り組める汚れの予防方法を解説します。
重曹を入れる
毎回タンクの中を空にして掃除をするのが大変だと感じる人には、重曹を使った掃除方法がおすすめです。
タンク内にカップ1杯程度の重曹を入れ、約6時間放置してから便器に水を流しましょう。重曹にはカビの素となるタンパク質を分解する効果があるため、黒ずみや染みができにくくなります。
つけおき洗いでタンクの中を清潔に保つことで、便器にも汚れが付きにくくなり掃除の時間が節約できます。重曹のつけおき洗いは、およそ月に1回行いましょう。
重曹を入れている間はトイレの水を流せなくなるため、外出時や寝る前に行うとよいでしょう。
専用洗剤を使用する
忙しくて頻繁に掃除ができない場合は、タンクに入れておくだけでカビの発生を防げる洗浄剤を使用するのも効果的です。
トイレタンク専用の洗浄剤なら洗浄力はそれほど強くないため、内部の部品を傷める心配もありません。しつこいカビを落とすことには向かないものの、タンク内の汚れを予防する効果は期待できます。
すでに内部にカビが繁殖している場合は、一度しっかりとタンクの汚れを落とした後で使うのがよいでしょう。予防として普段から洗浄剤を使った上で、定期的に大規模な掃除を行うのがおすすめです。
置き型になった色付きの洗浄剤は洗剤の色が便器に付くことが多く、かえって掃除の手間がかかるため使用を避けるのが無難です。
トイレタンクの汚れもしっかり落とそう
家の中でも特に汚れやすいトイレですが、便器や床の汚れは気にしても、タンク内の汚れまでは意識していない人も多いのではないでしょうか。
常に水が入っているタンクの中はカビが発生しやすく、便器の汚れにも影響を及ぼしかねません。便器の汚れや嫌な臭いを防ぐためには定期的な掃除を行い、タンクの汚れを取り除くことが必要です。
トイレをきれいな状態で使うためにも、タンクの掃除は欠かせません。重曹や専用の洗浄剤を利用して、日頃からタンクの中を清潔に保つよう心掛けましょう。
構成・文/HugKum編集部