「蛇の道は蛇」の意味を確認
まずは意味から確認しましょう。
一般にはなかなか察知できないことも、その世界に身を置く者は、さしたる努力もせずにわかる。同種の仕事や同じような生き方をしてきた者のすることは、当人と直接関わりがなくてもおおむね見当がつくというたとえ。
『小学館 ことわざを知る辞典』より
ふむふむ。意味は想像どおりだった、という方も多いのではないでしょうか。これと似た言い回しに「餅は餅屋」という言葉もあります。
「蛇の道は蛇」の読み方は?
では、読み方はどうでしょうか。正しいルビは、次のどれかわかりますか。
(1)
(2)
(3)
正解は、2)
同じ「蛇」という文字を、一回目は「じゃ」、二回目は「へび」と読むのがミソです。
もともと「じゃ」と読む蛇は大蛇の意味。大蛇は「たいじゃ」と読みますよね。いっぽう「へび」は小さな蛇をさします。
この蛇(じゃ)と蛇(へび)の違いを知ったうえで、もう一度記事冒頭の意味の解説文を読んでみると、類語の「餅は餅屋」とは、ニュアンスが微妙にちがうことがわかるのではないでしょうか。
つまりこのことわざは、単に蛇が自分のことに詳しいという意味ではなく、それほどの大物や一流ではなくとも、その世界に身を置いている者ならば、たとえ末席にいる者でも、部外者よりはその世界のことを知っている、という意味になるのです。
構成/HugKum編集部
協力/小学館 辞書編集部
イラスト/谷山彩子
小学館 ことわざを知る辞典
編/北村孝一 定価/1900円+税
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