やっぱり辞めなきゃ無理!?「子育てと仕事の両立」ママが疲れる原因やお悩み内容は

仕事を持ちながら子育てをしていると、どうしても「両立できない」と弱気になってしまう瞬間がありますよね? 普段はぎりぎりのバランスで生活できていても、子どもが高熱を出したり、配偶者が仕事で数日家を空けたり、自分自身が体調不良になったりしたとき、普段から我慢している不満まで一気に噴き出して、「もう両立なんて無理!」と爆発してしまいます。

そこで今回は子育てと仕事の両立について、幾つかの公的な調査を基に、世間の実態をまとめてみました。「他の家ってどうしているの?」と疑問に感じた瞬間は今までに何度もあるはず。さまざまな角度から子育てと仕事の両立についてまとめてみましたので、チェックしてみてくださいね。

子育てと仕事の両立にママが疲れる原因やお悩みの内容は?

「子育てと仕事の両立は大変」、このような声を方々で聞きますよね。仕事を持ちながら子育てを経験した人であれば、ほぼ全ての人が総論では同意できる意見だと思いますが、どうして子育てと仕事の両立は大変なのでしょうか?

子育て(育児)と仕事の両立で疲れてしまった人の悩みとは?

もちろん理由は単純で、子育てがスタートしたとなれば、育児だけでなく家事の負担も増すから。それでいて仕事の量は基本的に変わりません。限られた24時間の中で、休息や余暇、自由時間に充てられる時間はおのずから削られていきますから、親の疲労と各種の悩みが生まれるのですね。

厚生労働省が行った『第7回21世紀出生児縦断調査の概況』を見ても、

  • 自分の自由な時間が持てない
  • 子育てによる体の疲れが大きい
  • 気持ちに余裕をもって子どもに接することができない

といった悩みを、多くの親が抱えていると分かります。家事にも育児にも追われた状態で仕事も両立させようと思えば、自分の自由な時間など、独身時代と比較して大幅に削られます。休まる時間も削られますから、上述のような心身の疲れがおのずから大きくなり、挙句の果てには愛すべきはずの子どもに対してもイライラしてしまうのですね。

子育てと仕事の両立は無理なの?

子育てと仕事の両立は、育児と仕事に加えて家事もこなさなければならないため、自由時間が失われ、心身ともに疲弊していくと紹介しました。プラスして子どもが小さいうちは、少しでも長く「一緒に居たい」「一緒に居てあげたい」という母親の気持ちもありますから、「子育てと仕事の両立はそもそも無理なのでは?」という発想になってしまいがち。しかし、本当に育児と家事、仕事の並立は無理なのでしょうか?

子育てと仕事の両立は本当に無理なのか?

結論から言えば、仕事と育児の両立、仕事と育児と家事の並立は、各種の調査結果を見る限り「可能」だと分かります。総務省が行った『平成29年就業構造基本調査』には、未就学児を持つ母親の有業率が出ています。全国平均は平成29年が64.2%。言い換えると、未就学児を子育てする母親の6割以上が現に働いている計算になるのですね。

この有業者とは正規職員とは限りませんし、地域的に見て兵庫県(43.4%)、大阪府(46.5%)、奈良県(48.2%)など総じて有業率が低いエリアも存在しますが、半分近くは何らかの形で働いている形になります。むしろ、島根県(81.2%)や福井県(80.6%)、高知県(80.5%)など、子育てしながら仕事に励む母親の方が圧倒的な多数派という地域まであります。その意味で、数字だけを見れば「みんな、仕事をしながら育児をしている」と言えるのですね。

意外にも正社員で働く母親のワーク・ライフ・バランスの満足度は高い

他には厚生労働省が三菱UFJリサーチ&コンサルティングに委託して行った『平成 29 年度 仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書 労働者アンケート調査結果』も参考になります。この調査には末子の年齢が満1歳以上満3歳未満でありながら正社員として働く女性に「ワーク・ライフ・バランスの満足度は?」と聞いた質問があります。その答えとして、女性・正社員の母親1,032人は、

  • 満足している・・・7.4%
  • まあ満足している・・・41.0%
  • どちらともいえない・・・27.0%
  • あまり満足していない・・・18.1%
  • 満足していない・・・6.5%

と答えています。正社員として働きながら、育児・家事を含んだ生活とのバランスに、48.4%とおよそ半数の人が肯定的な感覚を抱いています。「どちらともいえない」を加えた75.4%の働く母親は、少なくとも否定的な感覚とは言えない、それなりの満足を感じながら日々を過ごしていると分かります。

仕事にやりがいを感じながら育児にもかかわれていると感じる母親は7割近く

さらに上述の調査を詳しく見れば、正社員として働く母親の68%が仕事にやりがいを感じ、71.2%の母親が育児に十分に関われていると答えています。さすがに「自分のために使える時間が十分にある」との問いには18.3%の母親しか同意を示していませんでしたが、忙しいと感じながらも、仕事と育児のどちらにも一定の満足を感じる働く母親は意外にも少なくないと分かります。

一昔前のロールモデルとして、「女性は結婚・出産前まで正社員として働き、子育て後の復帰ではパート勤務をする」といった考え方が今も女性のどこかに残っているはずです。保守的で昔ながらの価値観が根強く残る土地に暮らす筆者も最近、ある新婚の女性が自分の母親から「結婚して出産したら仕事は無理だから、早々に辞めなさい」と言われたと口にする姿を目にしました。

しかし、今は時代も変わっています。地域によって実感としては異なるかもしれませんが、現実の数字として「育児と仕事の両立は無理」という考えは必ずしも正しくないと分かります。その点だけはしっかり肝に銘じて、自分の選択を決定したいですね。

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仕事と子育てを続けるために大切なポイント

とはいえ、仕事と子育てを両立しようと思ったら、さまざまな役割分担のバランスを家族で工夫する必要がありますよね。仕事と子育てだけでなく、家事まで並立させる必要がありますから、

  • 仕事
  • 育児
  • 家事

の3つの負担を、自分と周りの間で調整したいです。例えば自分の仕事量がどうしても減らせない場合は、育児と家事の量を減らして、周りに担当してもらうという考え方ができます。上述した『平成 29 年度 仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書 労働者アンケート調査結果』には興味深いデータがあって、配偶者の出産前後で男性は家事と育児の役割分担において、自主性が高まると分かっています。

細かく見ると、家事を「自分が全て」「自分が主」「自分と配偶者が同等」でやるべきと答える子持ち男性は65.3%で、育児を同様に考える男性は69.2%と、ほぼ7割に達します。育児に対しては家事以上に積極性が高いと分かります。

仕事と育児の両立でストレスを感じるなら自分と周りの分担量を見直す

働くママの負担は、仕事×育児×家事で成り立っています。どれを減らしてもトータルの負担は減るはずですから、仕事を削れないという人は、男性の喜ぶ可能性が高い育児の負担を大幅に夫に移譲する方向で話し合いを進めると、双方に納得のいく役割分担に落ち着く可能性が高いですね。

具体的には育児の何を夫がやりがたっているの?

ただ、育児と言ってもいろいろで、夫に移譲しやすい役割と、夫が嫌がる役割があるはずです。上述の『平成 29 年度 仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書 労働者アンケート調査結果』を見ると、2人以上の子どもが居る男性が一般的に担当している育児は、

  1. 遊ぶ・・・77.2%
  2. 風呂に入れる・・・71.1%
  3. おむつの交換やトイレの助け・・・70.7%
  4. 泣いたときや機嫌の悪いときにあやす・・・63.4%
  5. 食事をさせる・・・58.7%

とあります。例えば、おむつの交換など、明確に役割を決めていないと、忙しいときなどはお互いに相手が替えてくれるまで気づかないふりをするといった瞬間もあるはずです。少なくとも夫が家に居るとき、おむつは夫が替える、おむつの補充や購入も夫がすると決めるだけでも、負担は変わってきそうですよね。「周りがやっている」という前提に立って、上述した役割は全て任せる方向でもいいかもしれません。

自分の親や兄弟姉妹、プロにも作業の分担はお願いできる

もちろん、自分の親や兄弟姉妹も育児・家事の分担を手伝ってくれる強力な助っ人になります。繰り返し参照した『平成 29 年度 仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書 労働者アンケート調査結果』では、同居の親が居る有業の母親が、どんな家事・育児を親に任せているかが明らかにされています。育児においては、

  1. 遊ぶ・・・61.4%
  2. おむつの交換やトイレの助け・・・55.2%
  3. 食事をさせる・・・49.7%
  4. 泣いたときや機嫌の悪いときにあやす・・・47.6%

といった作業が上位。家事においては(二子以上の場合)、

  1. 食事の支度・・・60.7%
  2. 風呂やトイレの掃除・・・51.0%
  3. 食事の片づけ、洗濯、ゴミ出し・・・各49.0%

といった結果になっています。身近に親や兄弟姉妹が居ない場合は、プロに代行をお願いするといった選択肢ももちろんあるはずです。仕事×育児×家事の中でこれ以上仕事が減らせない場合は、育児と家事の中で何とか自分の作業量を減らせないか、考えればいいのですね。

仕事を辞める前に!子育てと仕事を両立できる働き方とは

もちろん、仕事が減らせる場合は、自分の(夫の)仕事の負担を減らすという選択肢も効果的です。「仕事を辞める」という極端な方法を選択しないでも、時短勤務に切り替えたり、正社員への復帰を条件にパート勤務に変わったりと、仕事のあり方を考えてみるといいのかもしれません。会社によっては在宅ワークに切り替えたり、フレックスタイム制の勤務に切り替えたりもできるかもしれません。

地方総合研究所『女性の仕事と子育てに関する調査~求められる社員の理解と意識改革~』によれば、仕事と育児の両立のために職場で必要なポイントとして、

  1. 休暇を取得しやすい職場環境・・・68.4%
  2. 上司の理解・・・68.3%
  3. 同僚の理解・協力・・・61.5%

などと、職場と人の雰囲気や理解が何より重要だと多くの回答者(20歳~50歳未満の621人)が答えています。何か特定の職種が有利というよりも、何の職業でも職場環境や上司、同僚の人間性が重要だとの話ですね。

その意味で言えば、現在の勤務先の職場風土や人間関係が子育てに非寛容で非協力的だといった場合に初めて、自分(あるいは夫)が仕事を辞める(転職する)という選択肢も視野に入ってくるのかもしれませんね。

文/坂本正敬 写真/石川厚志

 

[参考]

女性の仕事と子育てに関する調査~求められる社員の理解と意識改革~ – 地方経済総合研究所

平成 29 年度 仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書 労働者アンケート調査結果 – 三菱UFJリサーチ&コンサルティング

平成29年就業構造基本調査 – 総務省

第7回21世紀出生児縦断調査の概況 – 厚生労働省

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