過半数のママが実感「子育ての孤独」いつまで続くの?期間と解消法、「うつ」との違い

子育てをしていると、不意に孤独を感じる瞬間があるはずです。仕事を離れ、実家からも遠い場所で一人子育てに追われながら、自宅と近所の公園など限られた生活圏に閉じこもって思い通りにいかない毎日を過ごしていると、無力感にも似た孤独に打ちのめされる人も少なくないはずです。そこで今回は子育ての孤独感が一体いつまで続くのか、孤独を感じた時はどうすればいいのかなどを、まとめたいと思います。

子育てで孤独感があるのはいつまで

冒頭では、子育てに際して孤独を感じる人も少なくないはずだと書きました。しかしこの孤独感、本当に誰もが感じる気持ちなのでしょうか? 孤独感については、「孤立感」という言葉で厚生労働省が情報を出しています。その中には「子育てにおいて孤立感を感じるか?」との問いがあり、「よくある・ときどきある」と答えた人の割合が明らかにされています。

※子育ての孤立感 – 厚生労働省を元に作成

  • 母親(専業主婦)・・・53.5%(よくある・14.4%、ときどきある・39.1%)
  • 母親(パート)・・・48.9%(よくある・11.0%、ときどきある・37.9%)
  • 母親(共働き)・・・46.6%(よくある・9.3%、ときどきある・37.3%)
  • 父親・・・19.8%(よくある・3.2%、ときどきある・16.6%)

子育てにおける孤立感や孤独感は女性に多い気持ちで、特に専業主婦など社会的なつながりを持ちにくい立場の女性ほど、孤独(孤立)を感じている様子が分かります。

似たような調査として、ミキハウス子育て総研が495人の子育て中の母親に行った孤独感に関する投票でも、「育児をしていて孤独を感じるか?」との問いに、53.2%の人が「ある」と答えています。総じて半数近くの女性が子育てにおいて孤独を感じている形になります。

子育ての孤独はいつまで続く?

育児女性の半数が感じるこの孤独感、一体いつまで続くのでしょうか? 上述のミキハウス子育て総研が行ったアンケート調査では、孤独を感じるシチュエーションも明らかになっています。

突出して多くの女性が孤独を感じる状況は、「子どもと自分だけで家に居るとき」。次いで「公園などで話し相手が居ない」の回答が挙げられています。2つの答えを併せて考えてみると、家と近所の公園など限られた生活圏に閉じこもり、子どもと2人きりで過ごす時間が続くと、孤立感は高まると言えそうですね。

その仮説が正しいとすれば、逆に子どもが幼稚園や保育所に入るタイミングで、孤独感は大きく安らぐと言えるかもしれません。子どもの入園や入所があれば、今までとは異なる忙しさに追われるはずですし、自然と保護者同士の付き合いもスタートします。保育所に入所させる家では、同じタイミングで仕事の復帰も待ち構えているはず。

厚生労働省の資料『保育をめぐる現状』を見る限り、幼稚園就園率は3歳児から、保育所入所率も3歳児からそれぞれ42.2%、43.9%と40%台を超えます。一方で3歳児の未就園児の率が13.9%と一気に下がりますから、長くても子育ての孤独は、子どもが3歳になるころまでと考えられそうですね。

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ママ友は役立つ?子育てで孤独を感じたときの解消法

子どもが保育所や幼稚園に入るまでは、家や近所の公園など活動範囲が狭くなりがちで、話す相手も居ない孤独な時間が続くケースも多く、孤独や孤立を感じやすいと述べました。しかし、子どもが幼稚園や保育所に入るまでには、出産から1年、ないし2年、3年などの時間が一般的には必要です。それだけの時間を孤独に過ごすとなると、寂しさや不安で息が詰まってしまいますよね。

財団法人子ども未来財団の資料を基にまとめた厚生労働省の資料には、孤立感を解消するための方法が掲載されています。以下は、実際に調査対象の母親たちの回答になります。

※子育ての孤立感 – 厚生労働省を元に作成

  1. 育児から解放されて気分転換する時間・・・54.2%
  2. 話したいときに話せる相手(メール・チャットなども含む)・・・48.8%
  3. 子育てについて相談できる相手・・・41.6%
  4. パートナーが子育てにもっと時間をとって実際に関わるようになれば・・・40.6%
  5. パートナーが子育ての喜びや大変さ、自分の孤独感を受け止め、共感してくれれば・・・37.6%
  6. 仕事や自分のしたいことができれば・・・36.3%

といった状況がかなったとき、孤立感や孤独感は大いに軽減される可能性が高いとされています。その意味で言えば、例えば2と3のように話し相手を持ち、常時LINEや電話でつながって、愚痴でも悲鳴でも何でも言葉にできる相手を持つといった方法が当面の解決策として考えられますよね。

相手は姉妹でもいいですし、自分の母親、幼なじみの友達、旧友など、いろいろ居るはずです。「話したいときに話せる」という点を重視すると、長い付き合いの相手の方がいいかもしれませんが、公園などで顔見知りになった日の浅いママ友でも、話す内容に気を遣わずに済んで、話したいときに気軽に話せる相手であれば、最適の相手になってくれるかもしれませんね。

地域が主導する相談窓口や交流イベントに参加する手もあり

内閣府が作成した平成25年度「家族と地域における子育てに関する意識調査」報告書 全体版を見ると、地域の支えが重要だと考える育児中の父母が、全体の9割近くに達していると分かります。

具体的な地域の支えとして、「子育てに関する悩みについて気軽に相談できる人や場があること」「子育てをする親同士で話ができる仲間づくりの場があること」などが、特に女性から挙げられています。この結果は逆に、子育て中の女性が地域に相談窓口や仲間を探している証拠とも言えるかもしれません。

姉妹や自分の母親、幼なじみや級友などが身近に居ればいいのですが、夫の転勤に付き添っているため周囲に友達が居ない、よそ者のため近所の公園でママ友を作りにくいというケースもあるはずです。

そのような場合には、地域のサポートや地域主催の子育て交流会などに参加して、同じように孤独を感じて悩んでいる人と、まずは緩やかに連帯を結んでみるといった方法も悪くなさそうですね。そのうち、何でもいつでも気軽に話し合える旧友のような存在を、同じ地域に見つけられるかもしれません。

これってどっち?子育ての孤独とうつの違い

夫の帰りが遅く子育てに非協力的で、周囲に友達が居ない、実家も遠く離れているといった生活が続くと、激しい孤独を感じる可能性が高いと述べてきました。出産後は情緒の乱れが激しいとも知られています。自己肯定感が低い状態があまりにも続くと、「これってうつじゃないの?」と自分を疑ってしまう瞬間もあるかもしれません。仮に自分を「うつではないか」と疑い始めてしまったら、どうすればいいのでしょうか。

『女性の<からだと心>安心医学 ウィメンズメディカ』(小学館)には、女性のうつに関する情報が詳しく記されています。特に産じょく(産後)うつに関しては、

<うつ病の一種。子どもを育てる自信が極度に失われたり、ひどい情緒不安定が3か月もつづくようなら、精神科や心療内科の治療を受けたほうがよい>(上述の書籍より、原文のママ引用)

とあります。感情の起伏が激しく涙もろくなったり、不安感や孤独感で苦しくなったり、自己嫌悪に陥ったりするなどは、不慣れな子育てに奮闘中の母親であれば、誰でも経験するはず。ただ、その情緒不安定な状態が全く回復せず数カ月も続くといった場合は、医師に相談した方がいいみたいですね。

先ほどは孤立感の解消法として、「育児から解放され気分転換をする時間」が多くの母親から支持されていると、厚生労働省の資料を基に紹介しました。上述の『女性の<からだと心>安心医学 ウィメンズメディカ』でも、

<子どもを夫や家族にあずけ、買い物や美容院にいくなどして気分転換をする>(上述の書籍より引用)

といった方法が紹介されています。こうした工夫を繰り返して、一時的な気分の落ち込みや孤独感を長引かせないように、上手に工夫したいですね。

文/坂本正敬 写真/石川厚志

 

[参考]

平成25年度「家族と地域における子育てに関する意識調査」報告書 全体版 – 内閣府

子育ての孤立感 – 厚生労働省

結婚や出産をとりまく状況(2)子育て世代の男性の長時間労働 – 厚生労働省

孤独感を感じることありますか? – ミキハウス子育て総研

保育をめぐる現状 – 厚生労働省

『女性の<からだと心>安心医学 ウィメンズメディカ』(小学館)

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