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ダッチオーブン料理は、キャンプでも家庭でも簡単に楽しめる♪
分厚いフタをあけた瞬間に、みんなが思わず笑顔になるダッチオーブン料理。肉、魚、野菜…、いろいろな食材がおいしく仕上がります。「持っているけど、あまり使っていない」という方も注目。キャンプで大人気のダッチオーブン料理は、ご家庭でも楽しむことができます。
ダッチオーブンで料理がおいしくなる仕組み
ダッチオーブンは分厚い金属製の鍋。フタも本体と同じように分厚い金属でできていて、フタの上に炭を乗せて料理できるようになっています。
ダッチオーブンで料理すると料理がおいしくなるのは、鍋が分厚いので熱が全体に均一に広がり、食材にしっかり火が入るため。また鍋が重たいので水分が逃げず、圧力鍋に似た状態に近くなって、食材がやわらかくなり、味がしっかり染み込みます。無水調理もできます。
ダッチオーブンのメリット・デメリット
ダッチオーブンのメリットは料理がおいしくなるうえに、分厚い金属でできているので、焼く、炒める、煮る…など、基本的な料理はもちろん、燻製など、さまざまな料理に使えることです。「万能」と言ってもよいでしょう。
デメリットは、メリットの裏返しですが重たいこと。特に鋳鉄製のダッチオーブンはポピュラーな10インチサイズなら6kg程度、ひとまわり大きな12インチサイズでは10kg程度になります。6kg、まして10kgとなると、持ち運ぶだけでもひと苦労です。
キャンプで使うとき
キャンプでは、フタの上に炭を乗せて、上から熱を加えることもできます。つまりダッチオーブンを使えば、オーブンを使うような料理を作ることができます。焚き火の中にそのまま入れることもできます。
家庭で使うとき
ダッチオーブンには、焚き火の中に入れて使いやすいように3本の足が付いている「キャンプオーブン」と、足が付いておらず、底が平らな「キッチンオーブン」があります。家庭で使うときは、キッチンオーブンが便利です。
ダッチオーブンの使い方と注意点
キャンプだけでなく、家庭でも大活躍できるダッチオーブン。使い方と注意点を見ていきましょう。
使う前の準備
鋳鉄製のダッチオーブンを初めて使う前には準備が必要です。「シーズニング」と呼ばれます。一般的なやり方は次のとおりです。
1. 洗剤でさび止めに塗られているオイルを落とし、しっかり乾かします。
2. 表面に油を塗ります。フタや本体の内側はもちろん、外側にもしっかり塗ります。
3 . 煙が出るまで加熱します。
4. 煙が出なくなったら火を止めて冷まします。
5. 2〜4を3〜5回、行ないます。
6. 野菜クズを炒めて、鉄の臭いを取ります。
7. 野菜クズを捨て、油を薄く塗り、冷ましたら完了です。
キャンプで
アメリカの西部開拓時代に広く使われたダッチオーブン。キャンプは「万能」なダッチオーブンが大活躍します。
使い方
・焼く:まず、ダッチオーブンを十分、熱します。食材を入れても温度が下がらず、おいしく焼けます。フタをして、上に炭を乗せるとオーブン料理が可能です。またフタはひっくり返して、フライパンのように使うこともできます。
・炒める:ダッチオーブンは炒め物もOK。炒めて煮る料理も得意です。
・煮る:分厚い金属製で保温力の高いダッチオーブンは煮物にも向いています。フタをすると、圧力鍋のようにもなり、食材が短時間で、やわらかくなります。
・蒸す:フタは重く、密閉性が高いため、食材から出る水分だけで料理する無水料理もできます。温野菜などはおいしく仕上がります。
・揚げる:保温性の高いダッチオーブンは油の温度を一定に保ちます。
・燻す:キャンプでダッチオーブンを使う時にぜひ、やってみたいのが燻製づくり。専用の燻製器を使わなくても、簡単な燻製ならダッチオーブンでできます。
注意点
キャンプでダッチオーブンを使うときの一番の注意点は、火加減。まだ使い慣れていないと、どうしても大きな火(強めの火)を起こしてしまいがちですが、最初にダッチオーブンを熱してしまえば、あとは弱火でOK。分厚い鋳鉄のダッチオーブンが、食材にしっかり火を通してくれます。
家庭で
底が平らな「キッチンオーブン」は、キャンプはもちろん、家庭でも大活躍。ガスコンロ、IHはもちろん、オーブンにも対応します。
使い方
・家庭で使うことがメインなら、シーズニングが不要なダッチオーブンが便利です。
・使い方は基本的にキャンプと同じ。さまざまに使えます。
・魚焼きグリルで使うグリルダッチオーブンも便利です。
・鋳鉄製のダッチオーブンのほかにも、黒皮鉄板製、ステンレス製、アルミ製のダッチオーブンが登場しています。使いやすさを考えて選ぶことができます。
注意点
ダッチオーブンに料理を作り置きしないように。特に鋳鉄製のダッチオーブンは錆びやすいので注意が必要です。また熱いうちに水をかけることは避けてください。ダッチオーブンは熱には強いのですが、急激な温度変化には弱く、割れてしまうことがあります。洗うときは洗剤を使わず、お湯で洗い、しっかり乾かして、油を塗っておきます。
ダッチオーブン料理の簡単レシピのおすすめ│子どもが喜ぶキャンプ編
キャンプのダッチオーブン料理は子どもたちに大人気! おすすめの簡単レシピを紹介します。材料は4〜5人前です。
「焼き肉カレー」
子どもたちが大好きな焼肉とカレーを合体させた大人気メニューです。
◆材料
焼肉用の肉 400〜600g
玉ねぎ 1個
人参 1/2本
じゃがいも 1個
※そのほか、好きな野菜
カレールー 1/2箱
水 800ml
◆作り方
1. 玉ねぎ、人参、じゃがいもは、好きな大きさに切ります。
2. ダッチオーブンに水を入れ、火にかけます。
3. 沸騰したら、火からおろし、ルーを入れます。
4. 弱火の火にかけてとろみを出します。
5. 網などで肉と野菜を焼きます。
6. 鍋のなかに焼いた肉と野菜を入れます。
「鶏の丸焼き」
丸焼きはキャンプ料理の王様! 一見、大変に思えますが、材料を入れたら、あとはダッチオーブンでじっくり焼くだけの簡単レシピです。
◆材料
丸鶏 1羽
玉ねぎ 2個
パプリカ(赤、黄)各1個
にんにく 2かけ
塩
コショウ
オリーブオイル
◆作り方
1. 野菜を切ります。大きめに切るとワイルドな仕上がりになります。
2. 丸鶏にオリーブオイルを塗り、ダッチオーブンに入れます。
3. まわりに野菜を入れます。
4. フタをして、弱火で1時間。野菜から水分が出て蒸し焼き状態になります。
5. さらにフタの上に炭を乗せて30分待ちます。
6. 塩、コショウをしていただきます。クレイジーソルトでもOK。
「キャベツ丸ごとスープ」
野菜が苦手なお子さんもキャンプのダッチオーブン料理なら別。キャベツを丸ごと煮込むと、簡単に、おいしいスープができあがります。
◆材料
キャベツ 1個
ベーコン 200g
固形コンソメ 2〜3個
水 1L
※ニンジンや玉ねぎ、じゃがいもを加えてもおいしい。
◆作り方
1. キャベツは半分、あるいは1/4に切り、芯の部分を取り除きます。
2. ベーコンは食べやすい大きさに切ります。
3. ダッチオーブンの底に切ったベーコンを数枚敷き、上にキャベツをおき、残りのベーコンも入れます。
4. 水を入れて、弱火で40分程度煮れば完成。
「お手軽スモーク」
ダッチオーブンのキャンプ料理で最近人気なのがスモーク(燻製)。難しく考えず、子どもが好きな食材をそのままスモークするだけでOK。いつもの食材が生まれ変わります。
◆材料
ベーコン(厚切りがおすすめ)
チーズ
ウインナー
◆作り方
1. ダッチオーブンの底にアルミホイルを敷く(汚れ防止のために、内側全体を覆うのも可)。
2. スモークチップを敷き、さらにアルミホイルを置いて(食材から出た脂がチップに落ちることを防ぐため)、脚付きの網を置く。
3. ダッチオーブンを加熱し、煙が出てきたら食材を並べ、フタをします(完全に閉めずに、すき間をつくります)。
4. 弱火で10分程度加熱したら、できあがり具合を確認します。
「焼きりんご」
デザートもダッチオーブンにお任せ!
◆材料
りんご 4個
砂糖 小さじ8
バター 大さじ4
※砂糖の代わりにハチミツでもOK。お好みでシナモンパウダーを加えて。
◆作り方
1. りんごの芯の部分をくり抜きます(底まで抜かないように注意)
2. 砂糖小さじ2、バター大さじ1を入れます。
3. ダッチオーブンの底にアルミホイルを敷き、網を置き、りんごを置きます。
4. 40分〜1時間程度、じっくり焼きます。
ダッチオーブン料理のほったらかしレシピのおすすめ│子どもも大好き家庭編
ダッチオーブンは家庭でも大活躍します。材料を入れ、弱火にしておけばOK。ぜひ家庭でも使いこなしてみてください。
「煮詰めるローストビーフ」
ローストビーフは火加減が難しいですが、保温性の高いダッチオーブンならほったらかしでも大丈夫。表面を焼いたあとは煮るやり方なので、より簡単です。
◆材料
牛もも肉 500g
にんにく 1かけ
しょうが 1かけ
(a)
赤ワイン 1/2カップ
醤油 1カップ
水 1カップ
砂糖 大さじ1
塩
コショウ
◆作り方
1. 牛もも肉は常温に戻し、塩、コショウをふります。
2. にんにく、しょうがをスライスします。
3. (a)をボウルなどに混ぜておきます。
4. ダッチオーブンを強火で温め、油を多めに入れ、にんにく、しょうがを入れ、肉の表面を焼きます。
5. 肉の表面が焼けたら、火を止めて少し冷まします。
6. (a)を入れ、火をつけて沸騰させます。
7. 沸騰したらフタをして、火を消し、30分おきます。
8. 30分経ったら、ひっくり返して、また30分おけば完成。
※残った煮汁は煮詰めてソースにするとおいしい!
「スペアリブの簡単コーラ煮」
子どもたちが夢中でかじりつくスペアリブ。ダッチオーブンとコーラで、絶品スペアリブが簡単にできあがります。
◆材料
スペアリブ 800g
コーラ 500cc
醤油 大さじ3
塩
コショウ
◆作り方
1. スペアリブに塩、コショウをふります。
2. ダッチオーブンを熱し、油を入れて、スペアリブの表面に焼き色をつけます。
3. 弱火にして、コーラを入れ、フタをして20分ほど煮ます。
4. しょうゆを入れ、さらに1時間ほど煮ます。
5. フタを開けて煮詰めれば完成。
「簡単ソーセージピザ」
みんなで生地から作るのも楽しいですが、市販の生地に好きな具材を乗せ、ダッチオーブンで焼くと、いつもより断然おいしいピザができあがります。
◆材料
ピザ生地
ピザソース
とろけるチーズ
ソーセージ
玉ねぎ
ピーマン
コーン缶
※具材や分量はお好みに合わせて、ご自由に!
◆作り方
1. 玉ねぎ、ピーマンをスライスします。事前にスライスしておくと、より簡単。
2. ダッチオーブンを加熱します。フタの上にも炭を置き、全体を加熱します。
3. ピザ生地にピザソースを塗り、好きな具材を乗せ、チーズをたっぷり乗せます。
4. ダッチオーブンにクッキングシートを敷き、ピザを乗せます。
5. フタをして、フタの上にも炭を置きます。
2. 2〜3分で焼き上がります。
「ウインナーピラフ」
ダッチオーブンはピラフもお手のもの。ウインナーとミックスベジタブルを使えば準備も簡単です。
◆材料
米 4合
水 4カップ
ウインナー 4〜6本
ミックスベジタルブ 400g
バター 30g
コンソメ 小さじ2
塩
コショウ
◆作り方
1. 米を洗い、ざるにあげて水を切ります。
2. ウインナーは食べやすい大きさに切ります。
3. ダッチオーブンにバターを入れ、ウインナーを炒めます。
4. ミックスベジタルブルと米を入れ、全体にバターがまわる程度に炒めます。
5. 水とコンソメを入れてフタをし、30分ほど煮れば完成。塩、コショウで味を整えます。
「焼き芋」
焼き芋も分厚い鋳鉄製で、じっくり熱が入るダッチオーブンなら簡単に、おいしくできあがります。
◆材料
さつまいも
◆作り方
1. さつまいもを洗う
2. 水がついたままアルミホイルで包み、ダッチオーブンに入れる。
3. フタをして、15〜20分程度、弱〜中火で焼く。
4. ひっくり返して、さらに15〜20分程度焼き、火を止める。
5. 15〜20分程度おいておく。
6. 竹串を刺し、スムーズにとおれば完成。
ダッチオーブン料理、失敗したらどうする?
ワイワイ盛り上がるダッチオーブン料理。ときには失敗することもあります。そんなときの対処法を紹介します。
焦げた場合
食材が焦げ付いたときは、そのままお湯を沸かします。焦げが取れやすくなるので、木ヘラなどで落とします。それでも落ちない場合は、空焼きし、焦げを炭化させ、木ヘラなどで落とします。
錆びた場合
料理したあと、すぐに洗わずに放置したり、洗ったあと、水分が残っているとダッチオーブンは錆びついてしまいます。
小さな錆なら、油を染み込ませたキッチンペーパーで拭き取ることができますが、ある程度広がっている場合は、タワシやスチールウールでこすり落とします。力を入れすぎないように注意してください。重曹や塩を一緒に使うと、錆が落ちやすくなります。
臭いがついた場合
洗ってお手入れしても、臭いが気になるときは、大さじ2~3くらいの重曹を入れてお湯を沸かすと効果的。お湯を冷ましてからブラシなどで洗います。
いずれの場合も最後はしっかり乾かして、油を塗っておくことを忘れないように。しっかりお手入れしておくと、次に使うときに気持ちよく使えます。
おすすめのダッチオーブンはこちら!
人気のダッチオーブン。鋳鉄製の本格的なものから、シーズニング不要なもの、ステンレス製で気軽に使えるものなど、いろいろなタイプがあります。
気軽にダッチオーブンを楽しもう
ダッチオーブンは使いこんでいくと、黒光りして「ブラックポット」と呼ばれる状態になります。重くて大変な面もありますが、使いこなしていくのは楽しいもの。
キャンプだけでなく、ぜひ自宅でもダッチオーブンを使ってみてください。
文・構成/HugKum編集部