マグニチュードとは? 震度との違いや、近々起こる大規模地震の想定規模

マグニチュードが地震の大きさを示すことを知っていても、意味や震度との違いがあいまいな人も多いでしょう。マグニチュードを正しく理解することで、地震の様子をよりリアルにイメージできます。押さえておきたいマグニチュードの基礎知識を解説します。

マグニチュードとは?

地震情報で見聞きするマグニチュードとは、何を表しているのでしょうか。言葉の由来や数値の算出方法を簡単に紹介します。

地震の規模を表す指標

マグニチュードは、地震のエネルギーの大きさを一定の方法で測定し、1から10までの数で表したものです。1935年に、アメリカの地震学者リヒターが、地震の規模を客観的に表す指標として考案しました。

各地震のエネルギー量を同じ条件で定義することで、規模が分かりやすくなるほか、別の地震との比較が可能になったのです。

マグニチュードは、震源から一定距離で観測した地震波の振幅を使って計算します。

リヒターの考案後は、地震計の設置条件や計測する地震波のタイプによって、さまざまなマグニチュードが考案されました。

日本では基本的に気象庁が定めた「気象庁マグニチュード」を採用していますが、大規模地震では「モーメントマグニチュード」と呼ばれる新しい方法を使うこともあります。

モーメントマグニチュードについて

「モーメントマグニチュード」は、1977年に日本の地震学者・金森博雄が提案した考え方です。

地震計が観測できる地震波の周期には限界があるため、従来の方法では、周期が一定の規模を超えると全て同じ数値として計測されてしまう問題がありました。

モーメントマグニチュードは地震波ではなく、岩盤がずれた量や面積、岩の硬さなど震源の様子をもとに計算するため、規模の大きさを正確に知ることが可能です。

ただし、データの収集や計算に時間がかかる上に、小規模な地震では精度が低くなります。このため、モーメントマグニチュードは主に、非常に大規模な地震の規模を決めるときに用いられています。

マグニチュードの基礎知識

地震のエネルギーや規模といわれても、あまりピンとこない人もいるでしょう。マグニチュードの数値と、実際の揺れや被害の大きさとの関係を解説します。

震度との違い

震度とは、地表で感じる揺れの強さを表す指標です。日本では、各地に設置されている震度計で計測した揺れの強さを10段階で表しています。

段階は揺れが弱い順に0から7まであり、5と6はそれぞれ「5弱・5強」のようにさらに分かれています。

マグニチュードは一つの地震に対して一つしかありませんが、揺れの強さは震源からの距離によって変わるため、震度は場所別に発表されるのがポイントです。

マグニチュードの大きさにかかわらず、震源に近い場所では震度が大きく、離れた場所では小さくなると覚えておきましょう。

マグニチュードと地震エネルギーの関係

日本では、マグニチュード7以上の地震を「大地震」と呼んでいます。では、マグニチュードが6と7では、地震の規模にどのくらいの差があるのでしょうか。

マグニチュードは1大きくなるごとに、地震のエネルギーは約32倍に増えます。つまり、マグニチュード7の地震は、6の地震32個分に相当するエネルギーを持っているのです。

また、マグニチュードが同じでも、地震の発生場所によって被害の大きさは変わります。陸から遠い海底で起こる大規模地震よりも、都市の真下で起こる中規模な地震のほうが、被害が大きいことも珍しくありません。

マグニチュードが小さくても油断せず、震源地や震度などの情報も調べて冷静に判断することが大切です。

近々起こるとされる地震の想定規模

地震大国の日本では、過去の発生状況などから、近いうちに大規模な地震が起こることが確実視されています。予想される地震の名称と想定規模は、以下の通りです。

・首都直下地震:マグニチュード7
・南海トラフ地震:マグニチュード8~9

首都直下地震は震源に人口が密集しているため、たとえ規模がマグニチュード7以下だったとしても、被害は大きいと予想されています。

海底に震源がある南海トラフ地震は、非常に大規模になることが予想され、津波の発生も警戒されています。

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マグニチュードが大きな地震の例

地球上では、これまでに数えきれないほどの地震が発生しています。1900年以降に発生した地震の中から、特に大規模な事例を見ていきましょう。

日本最大は「東日本大震災」

日本の観測史上最大の地震は、2011年3月11日に発生した「東日本大震災」です。規模の測定にモーメントマグニチュードが用いられ、9.0を記録しました。

1900年以降の地震としては、世界4位となっています。最大震度は7を計測し、巨大津波や原子力発電所の事故などにより、甚大な被害が出たことは記憶に新しいでしょう。

なお、「東日本大震災」は地震がもたらした災害の総称で、地震そのものの正式名称は「東北地方太平洋沖地震」です。

観測史上最大の「チリ地震」

観測史上、世界で最も規模が大きかった地震は、日本時間で1960年5月23日に起きた「チリ地震」です。マグニチュードは9.5を記録し、東北地方太平洋沖地震の5個分に相当する超巨大地震でした。

震源域は1000kmと長く、地震によって発生した津波が太平洋全域に広がりました。

津波は猛烈な速さで海を進み、22時間半後にチリの裏側にある日本に到達します。日本時間の午前3時ごろ、北海道から沖縄までの太平洋側全域に押し寄せた津波は、全国で140人近い死者を出す被害をもたらしました。

参考:気象庁|地震について

マグニチュードの特徴を理解しよう

マグニチュードは、地震の規模を分かりやすく数字で表したものです。震源から出る地震波の周期や岩盤のずれの様子から、地震のエネルギー量を計算して求めます。

地震の規模と、揺れの強さや被害規模は、必ずしも一致するとは限りません。規模が小さくても、震源に近い場所では大きな被害が出ることもあります。

家庭でもマグニチュードの特徴について情報を共有し、防災に役立てましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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