SDGsとは? 今さら聞けない「17の目標」や子ども向けの解説、企業・家庭での取り組みをご紹介

近頃よく耳にする「SDGs」という言葉。いまさら聞けないその意味や、掲げている「17の目標」の詳細を振り返りつつ、わたしたちにできることを今一度考えてみましょう。

SDGsとは何か?

そもそも「SDGs」ってなに? お子さんに聞かれて困ったことのあるママやパパもきっと少なくないことでしょう。ここではまず、SDGsの意味や目的をおさらいしておきます。

持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)

「SDGs (Sustainable Development Goals)=持続可能な開発目標」とは、世界が抱える様々な問題の解決に向け、2015年に国連で採択された17の目標を指します。

これらの目標のゴールは2030年。目標を達成することで、すべての国や地域の人々が「誰一人取り残されることなく」安心して暮らし続けられる世界を目指します。

MDGsとは?

なかには、「MDGs」という言葉を耳にしたことがある方もいるかもしれません。

「MDGs」とは、「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals)」の略称。「極度の貧困と飢餓の撲滅」や「環境の持続可能性確保」など、より良い世界を築くための8つの目標を掲げたものです。

2000年に国連で策定されたのち、2015年を達成期限に一定の成果をあげた「SDGsの前身」と位置付けられます。

子ども向けに簡単に説明すると?

お子さんに聞かれて、どう答えたらいいのかわからない…とお困りの場合は、「世界中の誰もが安心して地球で暮らしていくための、17の目標のこと」と説明してみるのはいかがでしょうか。

世界には、貧困や紛争、感染症、格差、差別など、さまざまな問題があります。これらを解決できないと、自分を含む世界中の誰もが「安心して暮らせる地球」とは言えません。そのために17の目標が設定されていることを伝え、お子さんに自分ごととして捉えてもらえるのが理想的です。

SDGsの17の目標

ここからは、SDGsの17の目標をひとつずつご紹介。どのようなものが目標として掲げられているのか、こちらも今一度おさらいしておきましょう。

目標1. 貧困をなくそう

目標1は、「貧困をなくそう」。貧困は世界中の問題であり、誰にとっても身近なものでもあります。この目標では、地球上のあらゆる形の貧困をなくすことを目指します。

目標2. 飢餓をゼロに

目標1の「貧困をなくそう」にも連なるものですが、目標2は「飢餓をゼロに」。これは、飢餓に苦しむ人々への安定的な食料の確保と、栄養状態の改善を目指すというもの。そのために、持続可能な農業も推進しています。

目標3.すべての人に健康と福祉を

目標3は「すべての人に健康と福祉を」。
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活が確保されることを目指し、福祉を推進しています。

目標4.質の高い教育をみんなに

目標4は、「質の高い教育をみんなに」。
世界中の教育には、貧困や格差、ジェンダー格差等によって「教育が受けられない」ことをはじめとした、さまざまな問題が蔓延っています。
そのため、この目標では、すべての人々が公平に、かつ質の高い教育を受けられることを目指し、生涯学習の機会の増大を促進しています。

目標5. ジェンダー平等を実現しよう

世界にはまだまだジェンダー不平等が見受けられます。
この目標では、「ジェンダーの平等」が達成されることを目指し、すべての女性と女児のエンパワーメントに注力します。

目標6. 安全な水とトイレを世界中に

世界には、インフラが整備されていない地域も多数存在します。この目標は、その中でも安全な水とトイレが行き渡ることを目標とするもの。すべての人の水と衛生へのアクセスを確保することを目指し、もちろん、その持続可能な管理を推進します。

目標7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに

おなじく、安定したエネルギーが確保できない地域も多数。確保できている地域でも、それが「クリーン」で地球にやさしいものであることは少ないのではないでしょうか。そこで、この目標では、すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを可能とすることを目指します。

目標8. 働きがいも経済成長も

世界には労働を強いられている子どもや、仕事に就けず困っている人がたくさん存在します。この目標では、児童労働問題の解決および、すべての人が働きがいある仕事に就けることを目指しながら、経済成長を推進します。

目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう

目標9は、「産業と技術革新の基盤をつくろう」。災害などにも強い「強靭なインフラ」を整備することで、広く持続可能な産業化と技術革新の拡大を目指します。

目標 10.人や国の不平等をなくそう

目標10は、「人や国の不平等をなくそう」です。国内・国家間の格差を改善することで、誰もが住みやすい状況を目指します。

目標 11.住み続けられるまちづくりを

住んでいた街が自然災害をはじめとしたさまざまな問題によって、住みつづけられない状況にある人も少なくありません。
目標11では、強靭で持続可能なインフラやバリアフリーなど、多角的な観点から「住み続けられるまちづくりを」目指します。

目標 12.つくる責任 つかう責任

世界の人口の約9人に1人が飢餓に苦しむ一方で、先進国では食品をはじめとした資源が浪費されていることも世界が抱える大きな問題です。
目標12では「つくる責任 つかう責任」を掲げ、消費と生産のパターンを見直します。

目標 13.気候変動に具体的な対策を

自然災害は対策をしておくことで、被害を最小限に抑えることができます。ここでは、「気候変動に具体的な対策を」取ることを掲げ、気候変動やその影響に立ち向かうことを目指しています。

目標 14.海の豊かさを守ろう

海の汚染も、世界が抱える大きな問題。目標14では、海洋と海洋資源を守り、持続可能な形で利用できるように推し進めます。

目標 15.陸の豊かさも守ろう

おなじく、「陸の豊かさも守ろう」というのが目標15。陸の生態系や森林の破壊、砂漠化や土地劣化も世界のさまざまな場所で起こっている問題です。目標15ではこれらを阻止し、陸地の保全を目指します。

目標 16.平和と公正をすべての人に

目標16は、「平和と公正をすべての人に」。平和な社会を目指して、誰もが受け入れられる法律や制度を設け、誰もが司法にアクセスできることを目指します。

目標 17.パートナーシップで目標を達成しよう

目標 17は、「パートナーシップで目標を達成しよう」。以上の16の目標を達成するために、国家や企業、市民などが一丸となって積極的に取り組んでいこう、というものです。

企業のSDGsの取り組み例

ここからは、目標17で掲げられた「パートナーシップ」として、どのような取り組みがされているのかを見ていきましょう。
まずは、企業のSDGsへの取り組みの例をほんの一部ではありますが、ご紹介します。

雇用の創出

経済格差が大きく、子どもの人身売買が行われている国・地域が世界には存在します。そのような場所で、貧しい家庭が安定的な収入を得て、子どもを売る必要がなくなるように雇用を創出し、人身売買の規制支援を行う企業もあります。

たとえば…
パナソニック株式会社 かものはしプロジェクト

環境負荷に配慮した商品開発

商品のリサイクル、リユースに取り組む企業も。クローゼットに眠る洋服を回収し、資源として有効に活用して新たなアイテムに活用する場合も多いようです。もう着ることのなくなった服は、捨てずに積極的にリサイクルに出したいですね。

たとえば…
ユニクロ THE POWER OF CLOTHING

メディアでの発信

メディア系の企業を中心に、多くの企業がSDGsの取り組みをそれぞれのメディアで発信。ウェブサイトや雑誌などの媒体に限らず、SDGsを絡めたイベントを開催したりと、まずは読者のみなさんに「SDGsを知ってもらう」ことに努めています。

たとえば…
小学館 ロコ・ラボ

SDGsで私たちにできること

では、わたしたちが家庭でできることには、どのようなものがあるのでしょうか? ここでは、HugKum読者のママパパたちからアンケートに寄せられた「家庭でやってるSDGs」をお伝えしていきます。

プラスチック製品の消費を控える

プラスチックごみが海や海洋生物におよぼす悪影響は、誰にとっても身近な問題です。そこで、みなさんが家庭でやっていることのひとつに「プラスチック製品の消費を控える」ことが挙がりました。具体的には、プラスチックのスプーンやストローを使わない、マイボトルやマイバッグを使うなど。些細なことながら、大切な行動です。

ママパパの声

「プラスティックのスプーンやストローを使わないようにしている。」(40代・埼玉県・子ども3人)
「マイボトルをもち歩く、マイバッグを使う」(30代・東京都・子ども1人)

リサイクルを意識する

また、できるだけリサイクルをするように意識している、との声も。着なくなった服をリサイクルやフリマに出すことの他にも、「リサイクル素材でできた洋服を買うようにしている」といった回答も寄せられました。

ママパパの声

「リサイクルに取り組み、できるだけゴミを出さないようにしている。」(40代・香川県・子ども1人)
「リサイクル素材で出来た洋服を意識して購入している。」(40代・茨城県・子ども1人)

フードロスを減らす

フードロスを減らせるように、食材を「余らせない」を徹底しているといった声も多数見受けられました。余らせないためには、「買いすぎない」を意識することも大切ですね。

ママパパの声

「食品ロスをなるべく避けて頑張っている」(30代・東京都・子ども2人)
「買いすぎない、買ったものは全て食べきり食材を捨てない」(30代・愛媛県・子ども2人)

ゴミの削減と分別

ゴミをできるだけ減らすことはもちろん、分別をしっかりすることも環境保全には重要なこと。ごみの分別は、実は資源として再利用できるものを抽出できるだけでなく、焼却の効率を上げ、焼却炉や埋立地の延命にもつながるのです。家庭や出先でも、細かな分別を心がけましょう。

ママパパの声

「ゴミを減らしている」(40代・千葉県・子ども2人)
「ゴミの分別。もらわなくていいプラカトラリーをもらわない。マイボトルを持ち歩く。長く使えるものを購入する。」(30代・神奈川県・子ども2人)

節電・節水

節電・節水を心がけるママパパも多数。日本では簡単に手に入る電力や水は、本来であれば貴重な資源です。これらを「無限」と勘違いしがちな子どもたちにも、節電や節水の大切さを伝えていけるといいですね。

ママパパの声

「電気を無駄遣いしない」(30代・香川県・子ども2人)
「電気や水の無駄遣いをしない」(40代・青森県・子ども4人)

フェアトレード製品を買う

日本を含む先進国では、開発途上国から不当に安く買った製品を驚異の低価格で販売している場合があります。適正な価格かつ「公平・公正な貿易」である証・「フェアトレード」のラベルがついているものなら、そのおそれはありません。そして、そのフェアトレード製品を購入することが、不当な貿易・取引の抑制につながるのです。

まずは小さな行動からでOK!わが家では何ができるか考えてみましょう

ここまで、SDGsの17の目標や、目標達成に向けた企業や家庭での取り組みの例をお伝えしてきました。難しいイメージが抱かれがちなSDGsですが、決してそんなことはないことがお分かりいただけたでしょうか。

みなさんから寄せられた取り組み例のように、各家庭ではじめる行動はほんの些細なことからでOK。「わが家ではどのようなことができるのか」、まずはご家族で考えてみましょう。

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文/羽吹理美 構成/HugKum編集部

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