子どもが生まれると、成長に合わせていろいろな悩みが出てきます。健康のことはもちろん、しつけのこと、園生活でのこと、学習についてなど、「どうしたらいいの?」とふと誰かに聞いてみたくなる疑問は尽きません。そんなみんなが感じる育児のお悩みや疑問に、ベテラン保育者の大崎志保先生に答えていただきました。ふっと気持ちが軽くなる、そんな先生のお答えをQ&Aでご紹介します。
子どもの健康、しつけ、園生活の悩みをズバリ解決!!
5年ぶりに次男の入園準備をしています。幼稚園へ通わせたいと考えているのですが、入園の選抜は、現在どのような形で行われているのでしょうか?(愛知県 K・Tさん)
多くの園が「面接」を主体に行なっています
幼稚園の入園選抜では、以前は「考査」と「面接」の両方を行う園が多かったのですが、現在は、私学の大学付属幼稚園(いわゆるお受験園)以外は、主に「面接」のみ、または「書類選考+面接」を行っている園がほとんどです。
「考査」では、運動や知能テスト、自由遊びなどの様子を見ながら、そのお子さんが園の教育方針を基に行う活動に向いているかどうかを見るのが一般的。また、「面接」では、親子一緒であったり、子どもと親が別々だったりと、その実施方法は園ごと異なりますが、面談をしながら児童の性格や個性を把握したり、園の教育方針と、その児童の家庭の子育ての方針が合っているかどうかを確認したりするのが、主な目的となっています。
子どもの面接では挨拶、名前など基本的なことを
認定こども園の当園では、幼稚園と同じ保育を望む3歳児(※1)の入園選抜は、入園受付日に、「親子一緒の面接」を行っています。お子さんには、「こんにちは」という挨拶から始まって、名前や好きな食べ物など、簡単な問いかけをします。そうしたやりとりをしながら、しばらくして落ち着いたところで、「おうちの方とお話をするから、ちょっと待っていてね」と言って、保護者の方との面談をしていきます。
保護者の面接では動機などを確認
おうちの方にお聞きするのは、入園志望の動機や、入園に際しての心配事、お子さんのアレルギーの有無や通園方法などですね。通常、入園受付をする際には、願書とともに園の重要事項説明書に対する同意書や児童票などを提出していただいていますので、それらを見ながら気になる点があれば確認もしていきます。面接時間は1家庭ごと、大体10~15分を目安としています。
※1=「1号認定児」のこと。3~5歳児。4時間程度の教育時間を基本に登園する。延長保育も利用可能。
お子さんの性格や親子関係をみています
面接をしていてよく見かけるのが、お子さんが質問に答えられなかったとき、おうちの方が答えてしまったり、お子さんを急かしたりするケースですね。でも、そこはできれば我慢して、お子さんをやさしく見守ってあげていただけたらと思います。
私たち保育者は、お子さんに正しい答えを求めているわけではありません。どのようなお子さんなのか、家庭の希望で園が対応できないことがないか(宗教の制約など)を知りたいと思っているのです。極端な話、目と目を合わせられるだけでもいいんです。また、私たちは面接中だけでなく、面接の前後の親子の様子もみていますので、ふだんのお子さんの雰囲気は大体わかります。お子さんにプレッシャーを与えずに、安心して臨んでいただけたらと思います。
入園決定は面接当日のことが多い
入園受付の期日内であれば、現在は面接をした当日に入園が決定する園が多いですね。入園が決まったら、園生活が楽しみになるように、おうちの方がお子さんに「園は楽しいところ」だということを伝えていただきたいと思います。そして、親子で過ごす時間を楽しんでいただきたいですね。入園までの日々は、家庭で親子が親密に過ごせる貴重なとき。親子の思い出をたくさん作っていただけたらと思います。
回答していただいたのは…
大崎志保先生
正和(せいわ)幼稚園・園長代行。帝京科学大学・非常勤講師。玉川大学大学院 教育学研究科教育学専攻卒業。保育園担任や町田自然幼稚園副園長を経て現職。子どもたちが心動いたとき・もの・ことを丁寧に広げていくプロセスを大切にし、地域を巻き込んだ心地よい居場所としての園づくりに取り組んでいる。環境、保育者の専門性、保育の質の向上にむけて職員と共に模索中。
構成/山津京子 イラスト/手丸かのこ 『幼稚園』2018年10月号