包丁とまな板を使わない調理のメリット
プロの料理家が作るような料理を、家庭の食卓で毎日のように再現する必要はありません。無理なく手に入る食材を、ごくシンプルに調理して、おいしく味わうことができれば、家族みんなが満足できます。
今回は、「包丁とまな板を使わない調理法」の中から、「キッチンばさみを使った調理」をご紹介します。
洗い物が減る
キッチンばさみで精肉を切る際は、トレイの上や、フライパンの中で済ませることができます。まな板を洗う作業がなくなるだけで負担軽減に。
特に、少量の具材を切るだけなら、包丁よりも早く済ませられます。
アウトドア、お子さんのお手伝いにも
限られた環境で調理をするアウトドアの場面でも、キッチンばさみの活躍は絶大です。そもそも、刃物を荷物として持ち運ぶには注意が必要ですが、はさみなら安全性が高く、十分調理に役立ちます。
また、はさみで切る作業なら、お子さんにできる仕事がたくさんあります。指先を動かすと、脳の成長を促しますから、お手伝いをどんどんお願いしてください。
キッチンばさみで作る料理
焼肉屋さんでは、焼いたお肉をキッチンばさみで切り分けていただく事がありますが、これをご家庭でも活用しちゃいましょう。どんな調理に使えるでしょうか。
肉の下処理、調理後の切り分け
鶏もも肉の筋とり、脂肪を除く作業の他、焼いた後の切り分けもキッチンばさみがあれば十分です。
・鶏の唐揚げ
鶏もも肉の白い筋は、加熱しても固くて嚙み切れません。これをあらかじめ取り除いておく作業が「筋とり」です。きれいに取り切れない部分は、切れ目を入れておくだけでも、食べやすくなります。(画像内、上のほうの赤丸)
脂肪は、黄色い色の部分です(下のほうの赤丸)。焼く際に、嫌な臭いとなりますから、取り除いてください。色の白い脂は旨味の素ですから、残してもかまいません。
切り分けた鶏肉に、生姜、にんにく、醤油、塩をもみ込みます。粉をまぶして、油で揚げてください。
・豚の生姜焼き
焼き上がった肉のカットも、包丁ではなくキッチンばさみで。まな板がギトギトになりません。
豚のロース肉をフライパンで焼き、生姜汁、醤油、みりんで味をつけます。焼き上がったら、キッチンばさみでカットします。
・刻み揚げの甘辛煮
油ぬきをしたお揚げは、キッチンばさみで刻みやすい食材です。
お揚げ1枚に対して、水(200ml)、醤油(20ml)、砂糖(大さじ1)で炊きます。うどんにのせると、「京風きざみうどん」です。
魚をさばく
なんと、キッチンばさみは魚をさばく時にも有効です。お腹を開き、内蔵を取りだしたり、ヒレを切り取ったりする作業は、むしろ包丁よりも安全にできますよ。お造りのような本格的な作業は別として、かなりの部分をキッチンバサミで代用できます。カニの殻をさばく時には、必須です。
・イカ焼きそば
スルメイカの胴体をカットし、フライパンで中華麺、キャベツと一緒に炒めます。ソース(ウスターソース、オイスターソースを1:1)で味付けしてください。
・エビのハーブオイル漬け
エビの下処理にもキッチンばさみは便利です。エビの背中側にはさみを入れて、切り込みを入れます。
塩水で洗った後、水気をきって、オリーブオイル、にんにくのスライス、唐辛子、ハーブ類(ローリエ、ローズマリー、オレガノ、タイム、パセリなど)と一緒に漬け込みます。次の日、焼いて塩胡椒でいただきます。
バーベキューの前日に仕込んでおくと、現地での調理が楽ですね。オイルにしっかりと浸かっていれば、冷蔵で3日は大丈夫です。
野菜、薬味のカット
あさつきや大葉、焼海苔などのカットにも。わざわざ包丁とまな板を出すより、ザクザク切れば、仕事が進みます。
・香菜たっぷりサラダ
洗った大葉、三つ葉、かいわれ大根、お好きなハーブ(バジル、フェンネル、ディルなど)を3cm程度にカットします。手でちぎったレタス、ベビーリーフと混ぜてオリーブオイル、レモン汁、塩をかけていただきます。
先ほどのエビや、生ハムなどをのせると豪華になりますよ。
キッチンばさみで切れない具材とは
万能のように感じるキッチンばさみですが、苦手とする材料もあります。
固い塊
玉ねぎや、かぼちゃ、じゃがいものように、固い塊の具材を切り分けるのは包丁のほうが向いています。
皮むき、削ぎ切り
りんごの皮むきもできません。鯵のぜいごを削いだり、お刺し身を切ったりすることも不向きです。包丁を使ってください。
片刃でどこまで切れるか検証
分解ができるハサミを片刃で使ってみると、アボカドのカット、種ぬきはできました。包丁より厚みがあるので切り口が広がっていき、決してきれいな切り口とは言えません。
アボカドは柔らかいので切ることができましたが、使える場面は限られるようです。
・ピリ辛アボカドサラダ
カットしたアボカドに、食べるラー油と麺つゆをかけるだけのサラダです。
おすすめのキッチンばさみ3選
どんなキッチンばさみが使いやすいでしょうか。お買い物のご参考にしてください。
プラス キッチンばさみ フィットカットカーブ 35728
分解ができるので、油ものを切っても気持ち良く洗えます。キッチンばさみのデメリットとして、重いことがが挙げられますが、これは100gと比較的軽量。12色の中から選べます。
コモライフ ステンレス製キッチンばさみ
オールステンレスで、分解して煮沸もでき、清潔に使用できます。はさみの他、栓抜き、缶のフタ開け、瓶のフタ開けができますよ。しっかりしていて、ブレにくく、切りやすいタイプです。
エコー金属 こども用 キッチンはさみ
子ども向けのキッチンばさみですが、女性の小柄な手にぴったりです。デコ弁作りのように、細かい作業に役立つタイプです。
パッとできて、おいしい調理
よく研がれた包丁と、清潔なまな板での調理は王道ですが、絶対にそれがなくては、料理ができないものではありません。手軽に取り掛かることができて、栄養面にも問題がないので、ぜひ取り入れてください。すぐに料理を出してあげられることも、子育て中には必要な要素です。「パッと作ったけど、とってもおいしいね」なんて褒められたら、うれしくなっちゃいますね。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)