「酸性」や「アルカリ性」って何?
まずは、「酸性」や「アルカリ性」が何なのか紹介します。理解を深めるために、身近にある酸性のもの、アルカリ性のものについても見ていきましょう。
水溶液の性質の名称
どちらも物質を水に溶かした水溶液の名称で、性質によって「酸性」と「アルカリ性」とに分けて呼ばれています。
水溶液の性質は、「水素イオン」と呼ばれる物質の濃度によって決まります。濃度は1~14までの「pH」という単位の数値で表され、pH7が中性とされる純水です。
pH7よりも小さい数値だと水素イオンが多い酸性の性質が強く、大きい数値だと水素イオンが少ないアルカリ性の性質が強いことなります。
身近にある「酸性」や「アルカリ性」の物質
「酸性」の物質には、食酢・レモン・ワイン・ビール・しょうゆ・シャンプー・台所用洗剤などがあります。代表的な「アルカリ性」の物質は、海水・重曹・石けん・カビ取り剤・洗濯洗剤などです。
中でも洗剤は、酸性・中性・アルカリ性の3種類がそろっています。汚れの性質によって適した洗剤が異なるためです。
例えば、油汚れなど酸性の汚れにはアルカリ性の洗剤が効果的で、水あかや石けんカスなどアルカリ性の汚れには酸性の洗剤が適しています。
また、人間の血液は弱アルカリ性の物質です。しかし、酸性食品の肉類やバターなどを使用した食文化が浸透したことで、体内が酸性に傾き血液の状態に悪影響を及ぼすのではないかと懸念されています。
「酸性」と「アルカリ性」それぞれの特徴
「酸性」と「アルカリ性」には、異なる複数の特徴があります。具体的にどのような特徴や違いがあるのか理解し、きちんと説明できるようになりましょう。
「酸性」の特徴
「酸性」はpH1~6が該当し、数値が低いほど性質が強くなります。食酢やレモンが酸性であることからも分かる通り、酸っぱい味がするものが多いのが特徴です。ただし、炭酸水のように味がしないものもあります。
ツンとする特有の臭いがしたり、触れると肌がピリピリして痛くなったりするのも特徴です。塩酸など酸性が特に強いものが肌に触れると、皮膚が溶けてしまうこともあります。
電気を通し、アルカリを中和するという性質があるのも特徴です。
「アルカリ性」の特徴
「アルカリ性」はpH8~14が該当し、数値が高いほど性質が強くなります。アルカリという言葉は「植物の灰」という意味のアラビア語が語源とされています。
苦味のあるものや、石けんのようにヌルヌルした感触のものが多いのが特徴です。基本的に特有の臭いはありませんが、アンモニア水のようにツンとする臭いの物質もあります。
電気を通し、酸を中和する働きもあります。
「酸性」と「アルカリ性」の見分け方
「酸性」と「アルカリ性」では味や臭いが異なるため、味見をしたり、臭いを嗅いだりすることで見分けられます。しかし、人体に悪影響を与える物質も多く、大きなリスクがあるため、むやみに体内に入れないことが大切です。
簡単かつ安全に見分ける方法を紹介するので、試してみましょう。
リトマス試験紙に水溶液をつける
簡単に見分ける方法の一つが、「リトマス試験紙」を使った方法です。学校の理科の授業で試した記憶がある人もいるのではないでしょうか。
リトマス試験紙は、植物のリトマスゴケから作った液体をろ紙に浸み込ませて作った試験紙です。赤と青の2色があり、水溶液に浸したときの色の変化で性質を見分けられます。
青から赤に変化したら「酸性」で、赤から青に変化したら「アルカリ性」です。変化しない場合は「中性」ということになります。
BTB溶液を水溶液にたらす
水溶液の性質を調べるための指示薬「BTB溶液」を使い、色の変化から見分ける方法もあります。BTB溶液をたらしたときに黄色に変化したら「酸性」、緑色なら「中性」、青色なら「アルカリ性」です。
アルカリ性はリトマス試験紙同様に青色に変化するので覚えやすいですが、酸性は赤ではなく黄色なので注意しましょう。酸性のレモンや酢をイメージすると、黄色への変化が覚えやすいかもしれません。
マグネシウムリボンを水溶液に入れる
理科の実験などで使われるマグネシウム製の「マグネシウムリボン」を使って、水溶液の性質を見分けるのもおすすめです。マグネシウムリボンを浸したときに、水溶液が「酸性」であるときのみ気体(水素)が発生します。
水素が発生するのは、水溶液に含まれている水素イオンがマグネシウムと反応して水素分子になるためです。亜鉛などの金属でも、同様の変化が起こります。
性質が異なる「酸性」と「アルカリ性」。身のまわりのものを子どもと一緒に調べてみて
私たちの身の回りには「酸性」の物質と「アルカリ性」の物質があり、それぞれ性質が異なります。味や臭いの違いで見分けることも可能ですが、危険な物質も多いので注意が必要です。
簡単かつ安全に見分けるには、リトマス試験紙・BTB溶液・マグネシウムリボンを使いましょう。身のまわりの食材や日用品が酸性とアルカリ性のどちらなのか、子どもと一緒に調べてみるのも楽しいのではないでしょうか。
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構成・文/HugKum編集部