カザフスタンってどんな国?
カザフスタンは、ロシアと中国にはさまれた中央アジアにあります。面積は227万平方㎞以上と、世界第7位の広さがあります。かつてソビエト連邦を構成しており、ソ連崩壊とともに独立した15か国のうちのひとつです。さらに、石油などの資源をもつ、世界最大の内陸国という面もあります。そんなカザフスタンはどんな国なのでしょうか?
カザフスタン基本情報
まずは、カザフスタンの基本情報からチェックしましょう。
国名
カザフスタン共和国
首都
アスタナ(Astana)
アスタナは2019年、過去30年間カザフスタンを率いてきたカザフスタンの初代大統領であるヌルスルタン・ナザルバエフ氏の名前をとって、「ヌルスルタン」という名称に変更されました。しかし、わずか3年後には元の「アスタナ」に戻されました。
場所
カザフスタンがあるのは中央アジア。北にロシア、東に中国、南にキリギス、ウズベキスタン、トルクメニスタンと隣接する内陸国です。西にはカスピ海があります。
日本との時差
3時間(日本の方が3時間進んでいます)
面積
227万4900平方km
日本の総面積は37万8000平方㎞で、カザフスタンの面積は日本の約7倍あります。世界で面積の大きい国の第9位にあたります。
エリア
カザフスタンには、17の州と4の特別市があります。首都アスタナは、アスタナ市にあります。
人口
1920万人(2022年の国連人口基金のデータ)
日本の人口は1億2477万人(2023年1月1日時点)。東京都の人口は約1400万人、福岡県は約510万人なので、カザフスタンの人口は東京都と福岡県を足した人口と同じくらいになります。
言語・公用語
カザフ語(国語)、ロシア語(公用語)
通貨
テンゲ(Tenge)
1テンゲ=約0.3円(2023年2月22日時点)
宗教
イスラム教(70.2%)、ロシア正教(26.3%)、仏教(0.1%)、無宗教(2.8%)、無回答(0.5%)(2009年:カザフスタン国勢調査)
歴史
カザフスタンは18世紀から19世紀ころにかけて、ロシア帝国の支配下にありました。1920年にはカザフ(キルギス)自治ソビエト社会主義共和国になり、1936年にカザフ・ソビエト社会主義共和国になりました。しかし1991年のソビエト連邦崩壊で、カザフスタン共和国として独立しました。
15世紀後半 遊牧ウズベク国家から分離し、キプチャク草原(現在のカザフスタンを含む)に勢力を拡大。カザフ・ハン国の成立
18世紀初 大ジュズ、中ジュズ、小ジュズの三つの部族連合体に分裂
1730年代 カザフの支配層の一部がロシア皇帝に臣従
18世紀中頃 清朝にも朝貢
1820年代まで ロシア帝国、総督府を設置し、カザフ・ハン位の権限を段階的に停止
1837年~1847年 ケネサルの反乱(カザフ人による対ロシア反乱)
1850年~1860年代 現在のカザフスタン全域がロシア帝国の支配下に(ロシア人農民の大量植民)
1920年 「カザフ(キルギス)自治ソビエト社会主義共和国」成立(首都オレンブルグ)
1924年 中央アジアの民族・共和国境界画定により国境線の変更
1925年 首都をオレンブルグからクズィルオルダに移し、国名を「カザフ(カザク)自治ソビエト社会主義共和国」に変更
1929年 首都をアルマティ(アルマ・アタ)に移転
1936年 ソ連邦を構成するカザフ・ソビエト社会主義共和国に昇格
1986年12月1日 アルマ・アタ事件(カザフ人共産党第一書記コナエフ解任に抗議するデモに対し、内務省軍と警察による弾圧)
1990年4月24日 ナザルバエフ大統領就任
1990年10月25日 共和国主権宣言
1991年12月1日 大統領選挙が実施され、ナザルバエフ候補が当選
1991年12月10日 国名を「カザフスタン共和国」に変更
1991年12月16日 共和国独立宣言
天気・気候
日本の約7倍もの面積があるカザフスタンでは、地域により気候が異なります。首都アスタナは、夏は最高気温が40℃近くまで上がることもある一方、年間を通して北西風が強いため、冬はマイナス30℃以下になることもあります。
カザフスタン最大の都市アルマティ(アルマトイ)は、札幌と同じ緯度のため、夏の平均気温は23℃、冬はマイナス6℃ほどと、他の中央アジアの都市より比較的過ごしやすいです。
カザフスタンの治安・住みやすさ
カザフスタンの治安はどうでしょうか。
治安は注意が必要
外務省「海外安全ホームページ」によると、2022年2月22日時点でカザフスタンの危険レベルは、全土で「十分注意してください」というレベル1。2016年にアクトベでテロ事件が発生してから、カザフスタン全土でテロへの警戒が厳しく行われています。
一般的な犯罪の情勢については、2019年1月から9月までの犯罪登録件数は19万2764件。殺人、財産犯などのほか、銃器や薬物などの犯罪も頻発しているため、十分な注意が必要です。
住みやすさは疑問
カザフスタンは治安には十分な注意が必要なものの、観光地も多くあり旅行を楽しむ人もいます。しかし近隣の国も含めて、テロの危険性がある地域でもあります。そのため、安心して暮らすために最適な国とは言えないかもしれません。
カザフスタンの見どころ・観光
カザフスタンの見どころや観光スポットは何があるでしょうか?
ハズレット・スルタン・モスク
首都アスタナにある比較的新しいモスクです。中央アジア最大規模と言われるように、圧倒的な大きさがあります。建物を外から眺めるだけでなく、中に入って美しい装飾なども見て礼拝するのもおすすめです。
コルサイ湖
アルマティ市からバスで約6時間ほどの場所にあるコルサイ湖。モミの木などに囲まれた森にある美しい湖です。標高2000mほどの高地にあり、ハイキングや乗馬などを楽しむ人が多くいるエリアです。
コジャ・アフメッド・ヤサウイ廊
世界遺産に登録されているコジャ・アフメッド・ヤサウイ廊は、ヤサウイ教団の教祖を祀るために建てられました。イスラム建築の代表的な建物です。未完成のままに終わっていますが、外からも中からも荘厳な建物の様子を見ることができます。
カザフスタンの特徴・有名なもの
カザフスタンといえば有名なものは何があるでしょうか。
中央アジア最大の産油国
カザフスタンは、石油や天然ガスなどの資源に恵まれている国で、中央アジア最大の産油国と言われています。特にソ連崩壊後に、経済が混乱するなかで、油田開発が行われてきています。
ロケット打ち上げ「宇宙バイコヌール基地」
カザフスタンにはロケットの打ち上げの拠点があります。それが、カザフスタンのチュタラムにあるバイコヌール宇宙基地。世界で最も古いロケット発射場であり、世界初の宇宙飛行士であるユーリ・ガガーリンが宇宙に旅立ったのもこの地でした。また、ZOZO創業者の前澤友作さんが国際宇宙ステーションに向かう際に、打ち上げられたのもこの場所です。
アスタナは計画都市
カザフ語で「偉大な都市」という意味をもつ、アスタナ。砂漠の中にある未来都市として、計画的に建物の建設などが進められている都市です。日本の建築家、黒川紀章さんがこの計画に携わってきたことでも知られています。
都市の完成はまだ先のことですが、近未来的な建物が多くある街並みは、観光スポットとしても人気があります。
砂漠の中にある国カザフスタン
カザフスタンは国土の半分以上が砂漠や草原でできている国です。ただその一方で、石油などの資源に恵まれ、アスタナのような計画都市もあるなど、さまざまな魅力を持っています。
もし旅行で訪れるのなら、イスラム建築物を見たり、豊かな自然を感じたり、いろいろな楽しみ方ができそうです。
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文・構成/HugKum編集部