ジョージアってどんな国? グルジアとの関係は? 長い歴史をもつ国の文化や特徴を知ろう【HugKum世界紀行】

ジョージアがどんな国なのか、日本ではあまり知られていません。国名を初めて聞く人や、アメリカのジョージア州と勘違いする人もいるでしょう。ジョージアの歴史や文化について、おすすめの観光スポットも合わせて紹介します。

ジョージアってどんな国?

 

ジョージアとは、どこにある国なのでしょうか。場所や大きさ、日本からのアクセスなどの基本情報を見ていきましょう。

黒海に面した小さな国

ジョージアは、ヨーロッパの東の端に位置する国です。北側には5,000m級の山が連なるコーカサス山脈があり、山の向こう側はロシアになります。西は黒海に面しており、南はトルコ・アルメニア、東はアゼルバイジャンと接しています。

出典:Google マップ

面積は日本の約1/5、人口は約400万人です。北海道をやや小さくしたような規模と考えてよいでしょう。

黒海から流れる暖かく湿った空気の影響もあり、気候は全体的に温暖ですが、山脈付近は寒さが厳しい地域として知られます。

「グルジア」が「ジョージア」に

世代によっては「グルジア」という国名として記憶されているかもしれません。グルジアはロシア語由来の呼称として、日本や韓国、中国、旧ソ連の国々に使用されていましたが、ロシアと国交断絶したジョージアの要請を受け、2015年に日本でも英語読みの「ジョージア」に国名呼称が変更されました。

日本からのアクセス方法

日本からジョージアへは、飛行機で15時間ほどで到着します。直行便はなく、カタールのドーハやトルコのイスタンブールでの乗り継ぎが必要です。

なお羽田や成田からドーハまでは約12時間、ドーハからジョージアの首都トビリシまでは約3時間です。イスタンブール経由の場合も、ほぼ同じ時間でアクセスできます。

ヨーロッパ各国を周遊する途中に立ち寄るなら、隣のアルメニアやトルコから電車・バスを使ってもよいでしょう。寝台車や夜行バスも出ており、旅行会社を通して手配すればスムーズに乗車できます。

ジョージアの文化・特色

ジョージアの国旗。大きな十字の四隅にエルサレム十字を配したファイブ・クロス・フラッグ
ジョージアの国旗。大きな十字の四隅にエルサレム十字を配したファイブ・クロス・フラッグ

ジョージアは、大変古い歴史を持つ国です。信仰や産業・食生活など、長い時間をかけて育まれた文化的特徴を紹介します。

世界で2番目に古いキリスト教の国

ジョージアでは、古くからキリスト教を国教としています。この地にキリスト教を伝えたのは、「ニノ」という名のギリシャ人女性です。ニノはトルコのカッパドキア出身といわれ、4世紀初頭に当時ジョージアを治めていたイベリア王国で布教活動を行っています。

そのとき、彼女は失われた国王の視力を回復させる奇跡を起こしたといわれています。感謝した国王は洗礼を受け、キリスト教を国教に定めました。

スヴェティツホヴェリ大聖堂(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/ムツヘタの歴史的建造物群)

かつての都「ムツヘタ」には、ニノゆかりの修道院「ムツヘティス・ジワリ(ジワリ修道院)」や、ジョージア最古とされる「スヴェティツホヴェリ大聖堂」などが残っており、1994年には「ムツヘタの文化財群」として世界文化遺産に登録されています。

ワイン発祥の地として有名

ジョージアでは、紀元前6000年の昔から、ワインが作られていたことが分かっています。2017年に、約8,000年前の遺跡で発掘された壺に、ワイン醸造の痕跡が見つかったのです。

ジョージア語でワインを表す「Ghvino(グヴィノ)」が変化して「wine」となったとする説も有力視されており、ワイン発祥の地として注目を集めています。

ジョージアワイン独特の醸造法「クヴェヴリ製法」で使う素焼きの樽
ジョージアワイン独特の醸造法「クヴェヴリ製法」で使う素焼きの樽

ジョージアワインは「クヴェヴリ」と呼ばれる素焼きの土器を使った、独特の醸造法でも知られています。昔ながらのクヴェヴリワインを味わえるワイナリー巡りのツアーもあり、観光客に人気です。

美食の国とも称される

ジョージアは美食の国ともいわれています。塩や酢のみのシンプルな味付けに、ハーブやスパイスを利かせた料理は食べやすく、日本人にも好評です。

日本国内でも、ジョージアの伝統料理「シュクメリル」を出す店が登場し話題になりました。シュクメリルは、鶏肉をニンニク・サワークリームで煮込んだシチューのような料理です。

鶏肉がたっぷり入ったジョージアの伝統料理「シュクメリル」
鶏肉がたっぷり入ったジョージアの伝統料理「シュクメリル」

他にも、生卵・バター・チーズを混ぜてパンに付けて食べる「ハチャプリ」や、小籠包のような見た目の「ヒンカリ」などが知られています。

ジョージア風ピザといわれる「ハチャプリ」はたっぷりのチーズと卵、バターの塩気でシンプルな美味しさが人気

ジョージアの観光名所

ジョージアには、観光を楽しめるスポットもたくさんあります。主な見どころをチェックしましょう。

絵本のような街並み「トビリシ」

歴史あるトビリシの街並みはまるで絵本の世界のよう
歴史あるトビリシの街並みはまるで絵本の世界のよう

トビリシは5世紀ごろからジョージアの首都として続く、古い都市です。戦火を免れた19世紀の建物が残っているエリアもあり、国が保護区に指定しています。

ニノの十字架を祭る「シオニ大聖堂」や、5世紀に建てられた「メテヒ教会」などの歴史的建造物も多く、見学場所には困りません。

なおトビリシには、温泉街もあります。狩りで傷付いたキジが、温泉に落ちたおかげで元気になったことから、驚いた王様がこの地に町を作ったと伝わっています。ハマムと呼ばれるイスラム式の公衆浴場があるので、記念に立ち寄ってみてもよいでしょう。

「カズベキ山」と「ツミンダ・サメバ教会」

ロシア国境にほど近い山岳地帯にあるカズベキ
ロシア国境にほど近い山岳地帯にあるカズベキ

トビリシから車で約3時間の町「カズベキ」では、コーカサス山脈の絶景を楽しめます。山々を見渡す丘の上には、限りなく天国に近いと評判の「ツミンダ・サメバ教会」が建っています。

丘の上に建つツミンダ・サメバ教会

丘といっても標高2,170mもあり、周囲には教会の他に何もありません。ポツンとたたずむ古い建物を、標高約5,000mのカズベキ山を始め雄大な山々が取り囲む光景は、思わず息をのむ美しさです。

町から教会へは歩いても片道2時間ほどなので、脚力に自信がある人はトレッキングを楽しむのもよいでしょう。

異国情緒を堪能できる旅へ

トビリシの至聖三者大聖堂

ジョージアは、コーカサスの山々と黒海に育まれた美しい国です。長い歴史と独自の文化を持ち、名所旧跡やグルメを目当てに多くの観光客が訪れます。

ヨーロッパ旅行の際にはジョージアに立ち寄り、異国情緒を堪能してみるのもよいでしょう。

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文・構成/HugKum編集部

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