三内丸山遺跡とは? 場所や特徴「何が有名?」「何が見られるのか」をチェック!

三内丸山遺跡は、青森県にある人気の観光スポットです。東北地方に家族で旅行する場合、立ち寄りたいと考えている人もいるでしょう。見どころや所要時間など、三内丸山遺跡を見学するなら押さえておきたい情報を紹介します。

三内丸山遺跡は、どんな場所?

遺跡とひと口にいっても、時代や規模によって特徴は大きく異なります。「三内丸山遺跡(さんないまるやまいせき)」はどのような場所なのか、概要を見ていきましょう。

青森市にある縄文時代の集落跡

三内丸山遺跡は、青森県青森市で見つかった縄文時代の遺跡です。この地に遺物があることは古くから知られており、江戸時代前期の1623(元和9)年に編さんされた書物「永禄日記」にも、遺物出土の記録があります。1953(昭和28)年には、慶應義塾大学が遺跡北部を本格的に調査し、大量の土器や石器を発掘しました。

三内丸山遺跡が全国的に有名になったきっかけは、1992(平成4)年に始まった大規模発掘調査です。この調査では、多くの住居跡や盛土・墓・土器や石器・木や骨で作られた製品などが見つかり、今から約5,900~4,200年前に存在した大規模集落の遺構であることが確認されました。

三内丸山遺跡の正面入り口(青森市)。遺跡は、八甲田山から続くゆるやかな丘陵の先端に位置し、標高は約20m、広さは約40ヘクタールにもおよぶ。入り口を入ってすぐのところに「縄文時遊館」があり、無料のボランティア・ガイドさんが訪問客を待っている。
三内丸山遺跡の正面入り口(青森市)。遺跡は、八甲田山から続くゆるやかな丘陵の先端に位置し、標高は約20m、広さは約40ヘクタールにもおよぶ。入り口を入ってすぐのところに「縄文時遊館」があり、無料のボランティア・ガイドさんが訪問客を待っている。

世界文化遺産や特別史跡に登録

大規模発掘調査の結果、その重要性が明らかになった三内丸山遺跡は、県による保存・整備が進められました。その一環として、2000(平成12)年には国の特別史跡に、2003(平成15)年には約2,000点の出土品が重要文化財に指定されます。2023(令和5)年4月現在、縄文時代の特別史跡は、三内丸山遺跡を除くと下記の3カ所のみです。

●尖石石器時代遺跡(とがりいしせっきじだいいせき):長野県茅野市
●大湯環状列石(おおゆかんじょうれっせき):秋田県鹿角市
●加曽利貝塚(かそりかいづか):千葉県千葉市

また、2021(令和3)年7月、三内丸山遺跡を含む17の遺跡が、「北海道・北東北の縄文遺跡群」としてユネスコの世界文化遺産に登録されました。

三内丸山遺跡の楽しみ方

三内丸山遺跡の調査研究や展示・公開などの活動は、2019(平成31)年に設置された「三内丸山遺跡センター」が担っています。センターには、遺跡エリアのほかに学習施設「縄文時遊館」があり、縄文時代の生活を体感できるのが特徴です。それぞれの内容と楽しみ方を見ていきましょう。

縄文時代の「ムラ」を散策

縄文時遊館の「時遊トンネル」を抜けると、遺跡エリアに出られます。見学者用の歩道を通り、縄文時代の「ムラ」の跡を散策しましょう。

竪穴住居(たてあなじゅうきょ)」跡には15棟の住居が復元され、当時の生活をイメージできます。奥にある大きな竪穴住居は、集会所や冬の共同家屋ではないかと考えられています。

大型竪穴住居の先に見えるのが、三内丸山遺跡のシンボルともいえる「大型掘立柱建物(おおがたほったてばしらたてもの)」です。掘立柱建物は地面に穴を掘り、柱を建てて造る建物のことで、発掘調査で見つかった柱穴をもとに復元しています。

大型掘立柱建物(右)と大型竪穴住居(左)。三内丸山遺跡で最も重要視されているのが、右の六本柱の建物。注目すべきは、柱穴の間隔4.2m、幅2m、深さ2mですべて統一されていること。これは当時、すでに測量技術が存在していたことを示している。
大型掘立柱建物(右)と大型竪穴住居(左)。三内丸山遺跡で最も重要視されているのが、右の六本柱の建物。注目すべきは、柱穴の間隔4.2m、幅2m、深さ2mですべて統一されていること。これは当時、すでに測量技術が存在していたことを示している。

住居跡の周囲には盛土や墓、ゴミ捨て場などがあります。盛土は土器や石器、ヒスイ製品などが捨てられ、長い年月をかけて丘のようになった場所です。当時の姿のままで残る道具類を目(ま)の当たりにすると、はるか昔の縄文文化がぐっと身近に感じられるかもしれません。

縄文時遊館で学ぶ

縄文時遊館にはシアターやミュージアム、体験工房があり、縄文時代について楽しく学べます。シアターは時遊トンネルの手前にあり、遺跡の概要を紹介しているので、散策前に見ておくとよいでしょう。

常設展示室「さんまるミュージアム」には、重要文化財を含む約1,700点の出土品が展示されており、竪穴住居での暮らしを再現した展示や、写真撮影用の衣装を貸し出すスポットもあります。縄文人になりきって、見学を楽しみましょう。

体験工房では、土偶(どぐう)・勾玉(まがたま)・琥珀(こはく)のペンダント・組みひもなど、子どもの年齢や好みに応じた「ものづくり体験」のイベントに参加できます。なお、イベントは毎日開催しており、予約は不要です。

縄文時遊館のエントランスプレート

縄文体験は、レストランやショップでも

見学途中でお腹が空いたら、館内レストラン「五千年の星」で腹ごしらえしましょう。栗・ホタテ・山菜・どんぐりなど、縄文時代の食材を使ったオリジナルメニューをいただけます。栗のデザートや、各種ソフトドリンクもあるので、疲れたときの休憩にもおすすめです。

ミュージアムショップでは、遺跡に関する書籍や縄文グッズ、持ち帰り用の体験キットなどを販売しています。体験工房に立ち寄る時間がない人も、キットを購入すれば、ホテルや自宅でゆっくり縄文体験ができるでしょう。

また、青森の特産品を販売する「あおもり北彩館」も出店しており、お土産探しもできます。

三内丸山遺跡観光の基本情報

三内丸山遺跡は広大で、見どころもたくさんあります。遺跡見学を心おきなく楽しむために、行き方や開館時間、見学の注意点などをチェックしておきましょう。

アクセスや営業時間、料金

三内丸山遺跡は、東北自動車道の青森インターチェンジから約2kmの場所にあります。公共交通機関で行く場合は、JR青森駅またはJR新青森駅から「ねぶたん号」と呼ばれる観光ルートバスを利用すると便利です。青森駅からは約30~40分、新青森駅からは約15分で到着します。

遺跡エリア及び時遊館の入場料は、以下の通りです。

●一般:410円
●高校生・大学生等:200円
●中学生以下:無料

特別展示を観覧する場合は、別途料金がかかります。開館時間は基本的に9:00~17:00で、入場は閉館の30分前までです。ただし、ゴールデンウィークと6/1~9/30のみ、18:00まで開館しています。

見学にかかる時間の目安は、公式サイトのモデルコースを参考にしましょう。遺跡エリアでは、ボランティア・ガイドが無料で案内してくれるサービスもあります。

大型竪穴住居内部。多数発掘されている竪穴住居跡で、幅10m以上の大型竪穴住居も十数棟ある。最大のものは前出写真の左側の建物で、長さは約32m、幅約10mだ。内部を見学できるが、建物は19本の巨大なクリ材の柱で支えられ、共同作業所か集会所だったと思われる。

参考:見学モデルコース  |  特別史跡「三内丸山遺跡」

見学時の注意点

遺跡は、昔の人の暮らしぶりを知るための、大切な手がかりです。そのため、出土品や周辺環境に悪影響を及ぼす可能性のある以下のような行為をしないよう、十分に注意しましょう。

●指定場所以外で飲食する
●立ち入り禁止エリアに入る
●触れてはいけないものを触る
●土器や植物などを持ち帰る
●ゴミを捨てる・落書きする

写真撮影は、個人的な利用目的に限り自由ですが、フラッシュ撮影禁止や撮影自体が禁止の展示品もあります。

また、遺跡エリアでは屋外を長く歩くことになるため、ハイヒールや革靴は避けたほうがよいでしょう。冬に行く人は防寒対策を万全にし、雪道に適した靴を用意することをおすすめします。

約1000年かかってできたもので厚さ2~2.5mにも達する縄文時代中期の「南盛土」。断面に見える土器も地層に沿って水平に堆積している。土器・石器のほか、ヒスイの玉や土偶など祭祀に使われる遺物も出土している。
約1000年かかってできたもので厚さ2~2.5mにも達する縄文時代中期の「南盛土」。断面に見える土器も地層に沿って水平に堆積している。土器・石器のほか、ヒスイの玉や土偶など祭祀に使われる遺物も出土している。

三内丸山遺跡で、縄文文化に触れよう

三内丸山遺跡は、日本でも数少ない、縄文時代の大規模集落跡です。復元住居や盛土の発掘現場、高くそびえる掘立柱建物などはたいへん珍しく、見ごたえがあります。はるか昔の縄文文化に触れられる貴重なチャンスを、親子でじっくりと楽しみましょう。

特別史跡「三内丸山遺跡」

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構成・文/HugKum編集部

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