キープ・ママ・スマイリングとは
キープ・ママ・スマイリングは、子どもの入院に付き添う親を支援しています。
発足のきっかけ
光原ゆき理事長が2009年に初めての出産と同時に病児の母となり、いくつもの病院で付き添い入院をする中で、体験し見聞きしたことが活動の原点。食事や睡眠などのサポートが十分ではなく、自分のことを後回しにするうちに、いつしか笑顔が消え、倒れてしまうお母さんが大勢いたそう。病気の子どもを育てるお母さんたちの笑顔を守りたいとの思いで活動しているとのこと。
付き添い入院の現状に対する、キープ・ママ・スマイリングの活動は
多くの病院で子どもと一緒の泊まり込みでの付き添いを求められるが、付き添いの日々は忙しすぎて、健康が悪化したり経済的に苦しくなる人も。では、付き添い入院中の付き添い者の生活は具体的にはどのようなものでしょうか。
付き添いの親の食事や睡眠、入浴などの現状は劣悪
病院から食事は提供されず、コンビニ食が中心。夕方には品切れしていたり検査や治療によって食べられないことも日常茶飯事とのこと。中には、節約のために子どもの病院の食べ残しを食べる人もいるそう。睡眠は、寝返りも打てない狭くて硬い簡易ベッドが一般的で、足を折り曲げて横を向き乳児用ベッドで眠ることも。夜中のケアを担うことも少なくなく、熟睡できる環境にはないとのこと。
また、入浴・シャワーは、シャワー浴が一般的で15~20分程度で済ませ、検査や治療の時間と重なり、シャワーできないことも。有料利用の施設もあり、節約で使わない人がいるとのこと。子どもと一緒に入浴する人も少なくないそうです。
このように付き添い入院により栄養不足や睡眠不足に陥り、疲労が蓄積し、健康状態が悪くなるのが想像できます。また、経済的に不安を感じる人も多く、付き添いのために仕事を続けられなくなった人もいます。
キープ・ママ・スマイリングの活動内容
付き添い家族への直接支援として、食事の支援と生活物資の提供をしているとのこと。これまでに食事の支援は7,500食、生活物資の提供は4,500個を提供。食事は、栄養バランスや衛生面だけでなく、有名シェフの力も借りておいしさも追求したそうです。
また、掲示板や小冊子を通じて、付き添い者の役に立ったり励みになる情報を提供しています。病院ごとに付き添いのルールが異なるので、病院のごとに掲示板があるのは助かりますね。
さらに、現状を調査・把握し、小児病棟における付き添い者の置かれた環境について広く周知するとともにより良い環境となるよう、国に提言しているとのこと。
付き添い者向け掲示板サイト 「つきそい応援団」のサイトはこちら>>
看護師不足?付き添い入院の2つの大きな問題点を国へ要望提出
付き添い入院の問題は何でしょうか?キープ・ママ・スマイリングが実態調査をしてわかった最も大きな問題点は2つあるとのこと。そこで今回、こども家庭庁と厚生労働省に4つの要望を提出。
付き添い入院の2つの大きな問題点
①「労力提供型の付き添い」が明らかになった。
食事介助、排泄ケア、清潔ケアをした人の割合が8-9割いることがわかります。治療中の子どもを介助・ケアするのは、通常時よりも大変。気管切開ケア、吸引・吸入のような、本来専門職がする医療的ケアをした人も少なくないとのこと。看護師不足で付き添い者が代わりの業務をしていることも推測されました。
割合にばらつきがあるものの、看護師にまかせたいケアもあるという結果です。特に、入院児の安全に大きく関わる「服薬」は、寝不足の状態や消灯後の暗い中で服薬をセットせねばならず、 間違えて薬を飲ませてしまった、という声も。誤薬は治療効果の低下だけでなく、重大事故につながるケースもあります。
②付き添い者の食事、睡眠、入浴といった日常生活の状況は依然として劣悪であることが判明した。
前述の通り、付き添い者の日常生活は過酷です。半数が体調を崩した経験をし、また体調の悪い中、付き添い入院や面会を続けた人も半数いたとのこと。
このような過酷な付き添い状況を改善するために、キープ・ママ・スマイリングは、こども家庭庁と厚生労働省に要望書を提出しました。
国への要望提出
親が安心して付き添える環境を整備
親に付き添ってもらうことは病気の子どもの権利であり、その権利を守るために親が安心して付き添える環境を整備することが重要。医療機関が食事や睡眠などの生活支援を付き添い者に提供。さらに、医療機関だけでは対応できない、経済的支援や離職防止・就労支援は国に関係団体と協力しながら推進していくことを要望。
労力提供型の付き添いから親を解放
付き添い者が看護要員の代わりに、 長時間にわたって子どものケアや世話を行うことが常態化しており、これは現行制度(看護に係る規定)と不一致。ただ、医療機関側の事情もあると思うので、まずは実態把握をしてほしいとのこと。
他にも、現行制度が徹底されるよう、中央社会保険医療協議会等での改善策の再検討や付き添い環境改善に向けた検討会立ち上げを要望。
過酷な付き添い入院は解決が急がれる問題
筆者は付き添い入院の経験はありませんが、今回の記者会見に参加して、想像以上に過酷なことがわかりました。疲弊する親を見るのは子どもにとって辛いと思います。国や医療機関、企業が力を合わせて、付き添い入院問題の解決をするのを望んでいます。
キープ・ママ・スマイリングのマンスリーサポーターになって子どもの入院に付き添うママパパを支援することができます。
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取材・文 峯あきら