【不登校】「学校を休ませること」は法律で認められている!子どもの生き方を尊重するために、大人ができること

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小学校入学間もなく「学校行かない」と宣言した長男のもっちんと、母の葛藤、そして親子で不登校の鎧を脱ぐまでを描いたコミックエッセイ『学校に行かない君が教えてくれたこと 親子で不登校の鎧を脱ぐまで』(オーバーラップ)。
著者である今じんこさんは「近年、不登校をとりまく国の動きや時代の流れが変わってきていると感じる」といいます。具体的に、どんな変化を感じるのか、じんこさんにインタビューしました。

コミックエッセイ『学校に行かない君が教えてくれたこと』(オーバーラップ)では、「学校に行きたくない」と言う息子のもっちんと、「無理させたくない」と思う反面「何とか学校に行かせなくては」と考える母の葛藤が描かれています。

不登校への不安から、子どもを休ませることに抵抗があるという人も多いのではないでしょうか。しかし、現在では不登校に関する様々な法律もできていて、学校の対応にも変化があるといいます。このコミックエッセイの著者である今じんこさんに、当事者として感じる社会の変化についてうかがいました。

「学校を休ませること」は法律でも認められている

もっちんの行きつけの小児科医に相談するじんこさん

−−コミックでは小児科の先生が「休んだっていいよ」と言ってくれていましたね。

じんこさん:もっちんが「学校に行きたくない」と言い始めて、かかりつけの小児科の先生に相談したところ、「学校は休んだっていい」「勉強なら学校じゃなくてもできる」と言われ拍子抜けしました。実際にはすぐに割り切ることができなかったのですが、「無理しなくていいんだ」という気持ちにはなりました。

コミックの中のコラムでも紹介しましたが、2017年に施行された「教育機会確保法」では子どもの休養の必要性が認められ、「学校復帰」ではなく「社会的自立」を目指すこと、学校以外でも居場所や 学習環境を確保することの重要性が明記されています。つまり、不登校は決して問題行動ではないということです。

−−不登校にまつわる法律や情報を知らない人も多いのではないでしょうか。

じんこさん:不登校の子どもを持つ親の中には、義務教育である小中学校に行かせていないことを「法律違反なのでは」と考えて悩んでいる方もいます。でも、教育は義務ではなく権利なので、子どもも親も法律違反になるということはありません(憲法第26条第1項)。

息子が在籍している学校に限って言えば、「無理してでも学校に来てください」と言う先生はいないです。不登校に対する周りの反応や対応もすごいスピードで変わってきていると感じます。

それに、コロナをきっかけに「学校に行かなくても勉強できる」ということに、子どもも大人も気づいたんですよね。だから、親だけでなく、子どもに関わるすべての人が「何がなんでも子どもは学校に行かせなきゃ」という思い込みを外してみてもよいのではないでしょうか。

※参考資料

不登校に対する国の取り組みも、どんどん変わっている

−−他にも時代の変化を感じるようなことはありますか?

じんこさん:ょうどこのコミックエッセイが発売された頃、文部科学省が「COCOLOプラン」という不登校に対する取り組みを行うことを発表しました。この対策では「不登校により学びにアクセスできない子どもたちをゼロにする」ことを目指していて、具体的には、「不登校特例校」の設置の促進や、ICTを活用して「小さなSOS」を見逃さないことなどの実現が挙げられています。

以前は「不登校をゼロに」というスローガンが掲げられていたこともありましたが、このように「不登校によって学びにアクセスできない子どもをゼロに」とメッセージが掲げられたことは大きな変化だと思います。

COCOLOプラン文部科学大臣からのメッセージ

1 不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整える

2 心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する

3 学校の風土の「見える化」を通して、学校を「みんなが安心して学べる」場所にする

出典 誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)について

コミックのあとがきに「学校に行かないことくらいでこんなに深刻に悩んでた時代があったんだね、といわれるようになってほしい」と書きましたが、すでにこのような動きがあり驚いています。

フリースクールも増えているけど・・・新たな偏見も!?

−−最近はフリースクールもすごく増えていますよね。

じんこさん:少し前までは「フリースクールってどんなところ?」と聞かれることも多かったですが、今はフリースクールの認知度がかなり上がっていると思います。

それ自体はよいことだと思いますが、「不登校でもフリースクールに行っているならいいよね」のように条件付きで不登校を認めるような風潮になることには懸念があります。

実際には本人の気持ちや、金銭的な事情、住んでいる場所などの理由でフリースクールに行っていない子も多いと思います。ですから、フリースクールだけでなく、家で過ごすこと、ICT教材などを使って勉強することなど、どんな選択をしても、子ども一人ひとりの生き方が認められる世の中になってほしいです。

近い将来「不登校」という言葉や概念もなくなってほしい、というじんこさん。「学校に行くか行かないか」という一つの要素ではなく、子ども一人ひとりの生き方が尊重されるよう、私たち大人が不登校に関する考えをアップデートさせていくときなのかもしれません。

じんこさんのインタビュー こちらの記事も

「不登校」という鎧を脱いだら、子どもそのものが見えきた!偏見や思い込みは捨てて
コミックエッセイ『学校に行かない君が教えてくれたこと』(オーバーラップ)の著者である今じんこさんは、子どもが不登校になり、周囲からの言葉や偏...

学校に行かない君が教えてくれたこと 親子で不登校の鎧を脱ぐまで

お話をうかがったのは

今じんこさん|デザイナー・漫画家
2023年4月にコミックエッセイ『学校に行かない君が教えてくれたこと 親子で不登校の鎧を脱ぐまで』を発売。3日で重版に。マイウェイ長男・お気楽次男・不憫な夫との毎日をインスタグラムやブログで発信中。第4回コミックエッセイ描き方講座でグランプリ受賞。
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構成・文/平丸真梨子

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