筋肉の基礎知識
私たちの体を作っている筋肉。筋肉にはどのような種類があり、どんな役割を担っているのか、見ていきましょう。
筋肉とは
筋肉とは、私たちの体をつくる組織のひとつです。収縮することで力を生み出し、体を動かします。私たちが体を動かしたり、歩いたり、走ったり、さまざまな運動ができるのは筋肉の働きのおかげです。
また運動だけでなく、そもそも体のバランスを保ったり、姿勢を維持したり、内臓を保護するという大切な役割を持っています。今回は筋肉について、基本的な知識からその役割、鍛え方などを見ていきましょう。
筋肉は体のどこにあるの?
筋肉は、体のあらゆる部分に存在しています。わかりやすい例で言えば、腕の筋肉、脚の筋肉、お腹の筋肉(腹筋)などがあります。体の表面に近い部分にあるので、意識しやすい筋肉とも言えます。
また最近では「体幹」と呼ばれる、少し奥の方にある筋肉にも注目が集まっています。「姿勢を整えるためには体幹が重要」などと聞いたことはありませんか? 体幹の筋肉は、姿勢や体のバランスを保つために重要な存在です。
さらにもうひとつ、あまり意識したことはないかもしれませんが、心臓や消化管、血管なども筋肉でできています。舌も筋肉です。舌は自分で動かすことができますが、心臓や消化官は自分の意志でコントロールできないため、「不随意筋」と呼ばれます。一方、腕や脚の筋肉は「随意筋」と呼ばれます。
人の体には何キロの筋肉があるの?
体にある筋肉は500種類前後にのぼると言われています。その重さ(全体量)は人によってそれぞれですが、平均すると男性で20キロ前後、女性で15キロ前後とされています。
筋肉の役割:なぜ筋肉は必要なの?
筋肉はなぜ必要なのか、筋肉の役割を詳しく見ていきましょう。
役割1:体を動かす、運動する
筋肉は収縮することで体を動かします。起き上がる、歩く、何かを持つなど、あらゆる動作・運動に筋肉は欠かせません。スポーツを楽しむことはもちろん、日常生活を快適に楽しく過ごすことも筋肉が支えているのです。
役割2:姿勢の維持、体のバランスを保つ
筋肉は運動はもちろん、体を支えて適切な姿勢を維持しています。筋肉、特に体幹の筋肉が衰えてしまうと姿勢が悪くなったりバランスが悪くなって、つまづいたり転倒しやすくなってしまいます。
役割3:内蔵や血管の働きを支える
筋肉は、心臓や消化管、血管などの動きを支えています。これらの筋肉は、自分の意志で動きをコントロールできない不随意筋。自律神経によってコントロールされています。また、ふくらはぎは「第2の心臓」とも言われ、血液の循環を助けています。
役割4:体の保護
筋肉は、外部からの衝撃から体を守る役割があります。例えば、お腹の筋肉(腹筋)は、内臓を守るために不可欠で、腹筋が不足すると体は脂肪をつけることで、内蔵を守ろうとします。
また、筋肉は最高のファッションという人もおり、最近では筋トレが注目を集めています。
役割5:体温の調整
寒くなると、体がブルブルと小刻みに震えます。これは体を温めるための筋肉の働きです。筋肉は体温の調整にも関わっています。
筋肉の種類と特徴
筋肉は、その動きによって「不随意筋」と「随意筋」に分けることができますが、筋肉(筋繊維)の種類によって分けることもできます。
表面にある「骨格筋」の働きとは?
骨格筋は、骨や関節に付いている筋肉で、自分の意志で動かすことができる随意筋の代表例です。筋肉と言われて、多くの人がイメージするのが、この骨格筋です。
心を動かす「心筋」の不思議
心筋は、心臓にある筋肉で、自律神経が制御します。心臓の収縮によって血液を体内に送り出す役割を持っています。
内臓や血管を動かす「平滑筋」の役目
平滑筋は、消化管(胃や腸)を動かしたり、血管を伸び縮みさせている筋肉です(骨格筋や心筋は「横紋筋」)。
内蔵の動きをコントロール
平滑筋は、消化器官や血管にあって、内臓の動きをコントロールしています。例えば、消化器官の筋肉が収縮することで消化を促進しています。また血管の筋肉が収縮することで、血液の流れを調整しています。
自律神経がコントロール
平滑筋も心筋と同じように、自分の意志で動かすことはできません。自律神経がコントロールしています。健康のために、自律神経を整えることが大切と言われますが、実は心臓や内臓の動きを整えることにつながっているのです。
筋肉が働く仕組み
筋肉は、筋繊維と呼ばれる細胞が束になっています。筋肉が働く仕組みを見ていきましょう。
筋肉の収縮:ATPとは何か?
ATPは「アデノシン三リン酸」の略称で、体の中でエネルギーを生み出すために必要な物質です。筋肉の収縮には、このATPが使われます。
筋肉の成長と筋トレの関係
筋肉は、負荷をかけられることで成長します。交通手段が発達し、仕事の進め方も変わってきた現代では、筋肉への負荷の代表的なものが筋トレです。
筋肉は、筋トレで負荷をかけられることで、ダメージを受けます。ダメージを受けた筋肉を作り直すことで、筋肉は以前より強くなります。
疲れたときの筋肉:なぜ筋肉は痛むの?
筋肉痛は筋肉がダメージを受けた結果、起こります。筋肉を鍛えるために必要なことですが、過度なダメージは逆効果になります。
適切な休養
筋肉がダメージから回復し、以前よりも強くなるには、適切な休息が必要です。筋肉痛が続いているときは、筋トレをしてはいけないと言われるのは、そのためです。
十分な栄養
筋肉の回復には、適切な休養とともに、十分な栄養が欠かせません。体を動かした後は、十分に休み、しっかり食べることが大切です。
筋肉の健康と維持
筋肉をよい状態に保つためには何が必要でしょうか。
栄養と筋肉:どんな食べ物が筋肉に良い?
まずは、筋肉の主成分である「たんぱく質」をしっかりと取ることが重要です。肉、魚、大豆製品、卵など、タンパク質を豊富に含むものを取るようにします。
また、筋肉を動かすためのエネルギー源となる炭水化物も必要です。ダイエットで、炭水化物(糖質)を制限しすぎると、筋肉をよい状態に保つことができなくなってしまいます。
筋肉を育てるための適切な運動方法
筋トレがブームになっていますが、自分の目的や体力に合わせた適切なトレーニングを行うことが大切です。
筋肉を増やしたい場合は、マシンやバーベルなどを使ったトレーニングや自分の体重を使った自重トレーニングなどが効果的。ただし、無理をしないことが重要です。また運動が苦手な人は、最初に専門知識をもった人に指導してもらうと良いでしょう。筋トレばかりでなく、有酸素運動やストレッチなどを組み合わせることも大切です。
筋肉のストレッチやマッサージの重要性
筋肉のストレッチやマッサージは、筋肉を良い状態に保つことや、ダメージからの回復に重要な役割を果たします。
ストレッチ
筋肉のストレッチは、筋肉を伸ばすことで筋肉の柔軟性を高めます。柔軟性が高くなると、運動時に筋肉を痛めることを防ぐことができます。また、ストレッチは血流を促し、筋肉の回復を促進します。
マッサージ
筋肉のマッサージは、疲労回復につながります。マッサージによって筋肉の血流が改善されるためです。また、筋肉の緊張をほぐすことで、筋肉の回復を促進します。
筋肉とは、体や内蔵を動かし、体を守る重要な存在
筋肉は、特別なアスリードだけに必要なものではなく、正しい姿勢のキープはもちろん、日常生活のあらゆる動作や臓器の働きにも影響を与えるもっとも大切な器官です。筋肉の維持・鍛錬は、健やかな生活に欠かせませんので、家族で運動や食生活を見直し、健康的な毎日を送るようにしましょう。
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文・構成/HugKum編集部