英国王立研究所「科学実験講座」とは?
英国王立研究所「科学実験講座(クリスマス・レクチャー)」は、英国・ロンドンで毎年12月に王立研究所が開催している青少年向け科学実験講座です。12月のクリスマスシーズンに開催されることから、本場ではクリスマス・レクチャーとして親しまれています。
1825年に、「電磁気学の父」と呼ばれたマイケル・ファラデーが開催してから、なんと200年もの間、一流の科学者たちが講師となり、ユニークな実験やデモンストレーションを通じて最新の科学を若い世代に伝えています。
本講座は、日本で再現されたもの。日本においては、1990年にスタートしてから今年で30回目。先日開催された2023年のテーマは『ウイルスと人類の叡智』でした。まさに、タイムリーなテーマです。
英国王立研究所とは?
英国王立研究所は、1799年に設立されて以来、人々が科学についてより深く身近に考えることができる世界を作るべく活動しています。
中でも、科学実験講座(クリスマス・レクチャー)は重要なイベントで、子どもたちに刺激的で感動的な科学を提供することを目的として開催されているのです。
2023年科学実験講座のテーマ「ウイルスと人類の叡智」
日本会場となるのは、東京工業大学 大岡山キャンパスです。場内には、どきどきワクワクと期待を膨らませた子どもたちがたくさん。そして、2023年のテーマは「ウイルスと人類の叡智」。
地球上に存在するウイルスの数は宇宙の星の数より多いと言われていますが、そのほとんどは無害。一部のウイルスだけ、私たちに感染することで大きな影響を与えると言われています。
そのようなウイルスは、一体私たちの体の中で何をしているのか?
新型コロナウイルスが増える仕組みはなんなのか?
タイムリーな話題を探求していきます。
講師:英国・ケンブリッジ大学医学部 ラヴィンドラ・グプタ教授
30回目となる日本の講座では、英国・ケンブリッジ大学医学部ケンブリッジ治療免疫学・感染症研究所のラヴィンドラ・グプタ教授が講師を務めます。グプタ教授は、HIVの研究のほか、新型コロナウイルス対策では英国政府へのアドバイスも行っており、2020年には、米TIME誌「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれるほど大人気の先生なのです。
まるでショーみたい!体験型の楽しい講義
人体の髪の毛の大きさを数百倍にしたり、ウイルスを目に見える大きさにしたり、子どもたちにわかりやすくプレゼンテーションが進みます。
子どもたちも、実際にステージに上がってプレゼンテーションに参加します。
一流科学者による講座というと、難しくて理解できるか不安でしたが、そんな心配は無用!いっさい退屈することなく、エンタテイメント性に富んだユニークな実験やデモンストレーションを交えた講座に、最初から最後まで、参加者は休むことなく全身で講座を体験していきます。
小学4年の娘も積極的に手を挙げて参加!
風船を使ったり、参加者は全身を使って講座を体験します。さまざまな体験を通して、難しいテーマでもわかりやすく、身近に感じられるよう話しをしてくれる講義に、子どもたちもどんどん惹きこまれていきます。
子どもたちが元気に手を挙げてステージに上がっては、会場の皆さんと一緒に楽しく学んでいける時間。タイムリーなコロナウイルスについて、子どもたちも親御さんたちも深く考えさせられました。
まさに、科学の未来を若い世代と身近に感じて向き合う時間となりました。
場外にも、科学体験コーナー
グプタ教授の素晴らしい講座の他に、会場外にも科学を体験できるコーナーが設置されています。子どもたちは手を動かし、見て回り、体験できる充実の内容です。
科学実験講座を体験して
世界一流科学者の講座を、子どもたちが動き回り、大声を出して参加してよい場なんて、他にどこにあるでしょう?
子どもたちの好奇心に等身大で科学者が対話をしてくれる、親も大満足の「科学実験講座」。科学の世界の扉が、わかりやすく開かれていきます。
参加した娘は、「すごく楽しかった!ウイルスから身体を守る粘膜の話はとくにおもしろかった。粘膜には鼻水や汗も含まれていて、全部合わせるとすごい量なんだよ。大人は1日2Lも粘膜を排出しているんだって!あのプレゼンテーションでは、スライムを使って粘膜を表現していたよ。それがすごく面白かった。」とのこと。ウイルスから体を守る粘膜の話はしっかりと覚えたようです!
次回開催はまだ公開されていませんが、英国で200年続く科学実験講座、ぜひ今後に注目してみてください。
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取材・文/太田さちか