抱っこひもすり抜け事故の事例
子どもの思いがけない事故を防止するために消費者庁が取り組んでいるメールサービス「子ども安全メール from 消費者庁」から、2023年9月29日に「抱っこひも-横からのすり抜けに注意」という配信がありました。
その中から、抱っこひもの重大事故の実例をご紹介します。
事例① 雨の日に傘で手がふさがり、落下
「雨の日に傘を差しながら、年上の子どもの手をつないで保育園に送り届ける途中、抱っこひもの中の子どもが、横からすり抜け、コンクリートの地面に落下した。頭蓋骨骨折、外傷性くも膜下出血のため入院となった。新生児用のオプションパーツは使用していなかった。」(0歳1か月)
事例② ベビーカーを畳む時に抱っこひもからすり抜け、落下
「ベビーカーを畳む際、抱っこひもの中の子どもが、右脇の隙間からアスファルトの地面に落下した。外傷性くも膜下出血のため約2週間の入院となった。子どもが苦しくないように側面のベルトを緩め、腰ベルトは装着せず、手を添えていた。」(0歳2か月)
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事例③ 慣れない抱っこひもを使用し、すり抜け落下
「車から降りて歩き出したところ、抱っこひもで抱えていた子どもがコンクリートの地面に落下し、頭蓋骨の陥没骨折及び外傷性くも膜下出血のため入院となった。子どもの腕が抱っこひもの下を通る構造のため、横からすり抜けて落下したと考えられた。抱っこひもは譲り受けたもので、普段は使用していなかった。」(0歳3か月)
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事例④ 抱っこひもを緩めに使用していた際、隙間から落下
「対面で抱っこひもを使用していた。子どもの顔と保護者の体が接触すると苦しいと思い、隙間があくように緩めていた。子どもが寝て頭が傾き、脚が抜けて、抱っこひもの横からすり抜けフローリングの床に落下した。頭頂骨骨折、急性硬膜外血種、外傷性くも膜下出血のため、集中治療室での厳重管理のため入院となった。」(0歳1か月)
今回ご紹介した実例では、抱っこひものNGな使用方法があったため、子どもが落下したと考えられます。そこで、消費者庁の注意喚起ページ「子どもの転落事故に注意! – 落ちるまではあっという間です。事前の対策で事故防止を -」をもとに、次の章では「事故の特徴と気をつけるポイント」をまとめました。
参考:消費者庁「子ども安全メール from 消費者庁」「子どもの転落事故に注意! – 落ちるまではあっという間です。事前の対策で事故防止を –」
事故の特徴と気をつけるポイント
保護者が立っている場合には、子どもの落下高さは1mを超えることもあります。ここでは落下を防ぐために、事故の特徴と防止のポイントをご紹介します。
事故の特徴① 頭部から落下しやすい
事故が多いのは首すわり前の0歳児で多く発生しています。そのため、受傷部位はほとんどが頭です。
気をつけるべきポイント
おんぶや抱っこをする時・降ろす時は必ず低い姿勢で行いましょう。抱っこひもで前にかがむ際は、必ず子どもを手で支えるようにしましょう。
事故の特徴② 抱っこひも使用中に、子どもと密着できていない
抱っこひもが緩かったり、いつもと違うものを使用したりなどの理由で子どもと密着できていないと、子どもの姿勢が崩れ、横の隙間からすり抜けて落ちてしまうおそれがあります。
気をつけるポイント
装着時には、安全な場所で子どもの腕や脚の位置など正しい姿勢であることを確認し、子どもを密着させて緩みがないように、留め具やベルトを毎回調整しましょう。
子どもの発達と対象年齢に合う安全に配慮された製品を選び、付属品を含めて取扱説明書で使用方法を確認しましょう。
家族で同じ抱っこひもを使用する場合は、使う人に合わせて調整し直し、慣れない場合はサポートしてもらいながら使い方を確認しましょう。
東京都のWEBサイト「東京くらしWEB」で配信しているリーフレットが抱っこひもを使う際のポイントなどをわかりやすくまとめています。
【抱っこひもで疲れたときは、緩めず外して休憩を】
抱っこひもは、抱っこをサポートしてくれる製品ですが、長時間付けていると抱っこをする側もされる側も疲れます。そのような場合には、抱っこひもを緩めるのではなく、抱っこひもを外して、適度に休憩しましょう。
やってしまいがちなNGな使い方
つづいて、抱っこひもでよくやってしまっているNGな使い方をご紹介します。落下事故につながる恐れがありますので、どのように使えば良いかもあわせてチェックしてみてください。
抱っこひもの使用の際には姿勢や体勢にも注意
既に抱っこひもを使用されている方も、今一度使い方をみなおしてみてもよいかもしれません。
<NG行為>
- 自転車では使用しない
- 使用中の前かがみや無理な姿勢はしない
- 高い位置での赤ちゃんの乗せ降ろしはしない
- 両手を荷物などでふさがない
前にかがんだりする際や、赤ちゃんを乗せ降ろしする際は腰を落として低い位置で。また、赤ちゃんを支えられるように手は必ずあけておくように。姿勢や体勢には注意しましょう。
参考:抱っこひも安全協議会「大切な赤ちゃんに安全で快適な抱っこを」
製品選びや使い方にも注意して!
「抱っこひも安全協議会」では、抱っこひもは使用開始時から、各メーカーが定めた対象月齢期間までが目安といわれています。必ず取扱説明書を読んで、正しく安全に使いましょう。
消費者庁では、中古品の場合には、製品状態をよく確認することや、リコール対象製品でないこと 、製品の修理・改造、不具合の有無、製造年などの情報、付属品や消耗品も含めて見定めるようにと呼びかけています。
落ち始めてから事故になるまでは一瞬の出来事です。重大事故にならないためにも、本記事をぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
参考:抱っこひも安全協議会「大切な赤ちゃんに安全で快適な抱っこを」/消費者庁「子どもの転落事故に注意! – 落ちるまではあっという間です。事前の対策で事故防止を –」
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文・構成/HugKum編集部