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幼稚園児に習い事は本当に必要?
幼稚園児と言えば、3~5歳の子どもになります。3~5歳の子どもとは、一般的にどういった成長を示すのでしょうか。『0~4歳 わが子の発達に合わせた1日30分間 「語りかけ」育児』(小学館)を読むと、例えば4歳の子どもは、基本的な言葉を獲得し、
<ブランコやすべり台といった大きな遊具もとても上手に使います>(上述の書籍より引用 P397)
<協同的な学びを通じ、十分な自己の発揮と他者の受容を経験していく。こうした体験を通じ、道徳性や社会性の基盤がはぐくまれていく>(文部科学省のホームページより引用)
といったように、体も大きく成長すると言います。5歳までに踊りが上手になったり、ボールの扱いが機敏になったりと、成長はどんどん続いていきます。
習い事は本当に必要? 幼稚園児に習い事をしない(させない)派は3割
子どもが幼稚園に通っているうちは、習い事をさせず、のびのびと遊ばせたいという声も耳にします。では、実際に習い事をしない・させない派の人は、どの程度いるのでしょうか?
小学館『HugKum』が首都圏に暮らす男女100人に行った独自調査によれば、子どもに習い事をさせている家庭の割合は70%。その7割の人たち(70人)が習い事を始めさせた時期を年齢別で見ると、次の通りでした。
「小学館『HugKum』」の調査より
・0歳・・・3%(2人)
・1歳・・・4%(3人)
・2歳・・・9%(6人)
・3歳・・・20%(14人)
・4歳・・・21%(15人)
・5歳・・・14%(10人)
・6歳・・・13%(9人)
・7歳以上・・・16%(11人)
幼稚園児の習い事は週にいくつ&何時間させるとベスト?
習い事をさせ始めると、親としては「あれもこれも」となってしまいがちです。先ほど紹介したHugKum独自の調査でも、「現在習い事を幾つさせていますか?」との問いに対する結果は、以下のように示されています。
「小学館『HugKum』」の調査より
・1つ・・・37%
・2つ・・・36%
・3つ・・・20%
・4つ・・・6%
・5つ以上・・・1%
2つ以上という世帯を合計すると、6割を超えています。複数の方が主流だと分かりますよね。しかも、4つ、5つ以上の世帯も多くはないですが存在しています。そうなると、ほぼ毎日何らかの習い事がある形になり、子どもも疲れてしまう気がしますが、一体習い事は幾つさせると正解なのでしょうか?
習い事の理想的な日数や時間とは
理想的な習い事の日数について、参考になる論文があります。稲嶋修一郎、堀尾良弘著『幼少時期における習い事に対する青年の評価』。国内の国立大学に通う学生757人に対して、子どものころの習い事が今の自分にどのような影響を与えていると感じるかを、2015年に調べています。
その中には「習い事の1回の時間は?」「週にどのぐらいの頻度で通っていた?」という質問があります。結果を見ると、1回の習い事が長くなるほど、または1週間の頻度が多くなるほど、友達ができる、体力がつく、集中力がつく、礼儀正しくなるなど、プラスの効果を実感している大学生が多かったと分かります。
しかし、時間が長すぎる、頻度が多すぎても駄目な様子。1週間で習い事の頻度が多くなりすぎると、忙しくなった、期待が重くてプレッシャーを感じたという本音も、一方で子どもに出てくるようです。
何曜日がいい?幼稚園児の理想的な習い事の曜日とは
習い事で子どもが疲れてしまうとなれば、本末転倒です。この疲れは、何か習い事の曜日を工夫して、軽減できないのでしょうか。
ヒントとして、先ほども紹介した情報サイト『いこーよ』の『2018年習い事調査』が役立ちます。この調査は、必ずしも幼稚園児の保護者ばかりが回答者になっているわけではありません。しかし、調査の中には「子どもの習い事を何曜日にさせている?」という質問があり、この数字が1つの判断材料になってくれます。
『いこーよ』の『2018年習い事調査』をもとに作成
・月曜・・・35%
・火曜・・・34%
・水曜・・・38%
・木曜・・・33%
・金曜・・・33%
・土曜・・・38%
・日曜・・・14%
平日の場合、分かりやすい違いは見られませんでした。しかし、日曜日だけは圧倒的に割合が少ないと分かります。翌日から幼稚園や学校があるため、日曜日はゆっくり休ませたいという家が多いみたいですね。
幼稚園児の習い事にかける費用はどのくらい?
1週間のうち習い事に何回通わせている家が多いのか、何曜日に通わせている家が多いのかなどを見てきました。費用についてはどうなのでしょう。
幼稚園児の習い事の費用は「月収の2~3%」
習い事の費用に関しては、HugKumの独自調査の結果を見てみましょう。HugKumでは、子どもに習い事をさせている70人に対して、月々の費用を聞いています。その結果は、次の通りでした。
HugKumの独自調査より作成
~5,000円・・・18.6%
~10,000円・・・18.6%
~15,000円・・・21.4%
~20,000円・・・17.1%
~25,000円・・・8.6%
~30,000円以上・・・15.7%
注目は、5,000円以下と15,000円~20,000円の価格帯が、同じくらい存在するという点です。確かな二極化が見て取れます。
ベネッセ教育総合研究所『学校外教育活動に関する調査2017』を見ても、同じような結果が出ています。こちらは幼稚園児だけでなく小学生の子どもを持つ世帯が入り混じった結果になっていますが、子どもの学校外教育活動の費用を年収別(世帯収入別)で見ると、次のようになっていました。
「ベネッセ教育総合研究所『学校外教育活動に関する調査2017』」より年収400万を単純に月収に直すと33万3333円です。その約2%が6,666円になります。上の6,500円という数字に近いですね。年収600万を月収に直すと50万円。その2%が1万円。やはり上の11,100円に近いです。年収900万を月収に直すと750,000円。その3%が22,500円。先ほどの21,300円に近い数字です。
高所得者は月収の3%という数字になっています。わずか1%の違いかもしれませんが、そもそも月収の額が違いますから、学校外教育活動の費用は大きく違ってきますよね。仮に所得が一般的であっても、高所得者並みの習い事を子どもにさせたいと思ったら、この3%という数字を参考にしてみるといいかもしれません。
例えば世帯年収400万円の家が、1カ月の習い事で800万円以上の家並みに21,300円という金額を払おうと思ったら大変です。しかし、世帯年収400万円の家が月収の3%という数字をまねてみると、月に9,999円。これなら十分まねできそうですね。
読者アンケートで判明!幼稚園児に人気の習い事
今までは習い事の回数、習い事の曜日、習い事の費用などを見てきました。では、幼稚園児に習い事をさせようと思ったら、何をどのように選べばいいのでしょうか?
習い事に何を求めるかは、家庭によって異なると思います。例えばHugKumの調査でも、習い事をさせた理由を聞いています。習い事別で挙がってきた理由は、次の通りでした。
水泳
「体力づくりのため」(30代前半・神奈川県・子ども2人)
「集中力を高める為」(30代前半・神奈川県・子ども2人)
「楽しんでほしいから」(30代前半・東京都・子ども2人)
「将来のため」(40代前半・東京都・子ども1人)
サッカー
「友達を作るのと、体を動かす」(40代前半・千葉県・子ども1人)
「運動が得意なので、伸ばしてあげたいから」(20代後半・神奈川県・子ども2人)
ピアノなどの楽器
「将来のため」(30代前半・東京都・子ども1人)
「子どもがやりたいと意欲を燃やすので」(40代前半・埼玉県・子ども2人)
「得意分野を伸ばすため」(40代前半・神奈川県・子ども2人)
「将来のため」(30代前半・東京都・子ども1人)
英語
「子どもに興味があるため」(40代後半以上・千葉県・子ども2人)
「将来のため」(40代前半・東京都・子ども1人)
「興味を持たせる」(40代前半・埼玉県・子ども2人)
塾
「将来のため」(40代前半・東京都・子ども1人)
「じを習わせたい」(40代前半・神奈川県・子ども1人)
「勉強してほしいため。」(40代後半以上・神奈川県・子ども2人)
「必要」(40代前半・埼玉県・子ども1人)
「受験のため」(40代前半・東京都・子ども1人)
「知識習得のため」(40代前半・千葉県・子ども1人)
「知育」(40代後半以上・東京都・子ども1人)
「将来のため」(40代前半・東京都・子ども1人)
「学力向上のため」(40代後半以上・東京都・子ども2人)
「興味を持たせる」(40代前半・埼玉県・子ども2人)
「中学受験をするから」(40代前半・東京都・子ども2人)
習い事と言えば、大まかに言ってスポーツ系、芸術系、学習系といった分類ができます。習い事ををさせる理由は上に並べた通り。やはり学習系を選ぶ親の中には、「受験のため」、「将来の(受験の)ため」という理由が多いと分かります。
「東大生」が幼児期にしていた習い事は?
受験となると、その頂点に位置する学校が、日本では東京大学になります。各種のテレビ番組でも、「東大生」の活躍が取り上げられていますよね。ある種ブランド化している東大生は、「東大生の〇〇人に1人が子どものころ、これを習っていた!」といった習い事の宣伝文句にも利用されています。
では、実際に東京大学に通う・通った人たちは幼いころ、どのような習い事をしていたのでしょうか。参考になる資料は東大家庭教師友の会著『頭のいい子が育つ習い事』(KADOKAWA角川書店)になります。こちらは現役の東大生7000人近くに調査を行い、「過去にしていた習い事は?」と聞いています。その結果は次の通りでした。
『頭のいい子が育つ習い事』(KADOKAWA角川書店)をもとに作成
1位・・・水泳(65.8%)
2位・・・ピアノ(56.4%)
3位・・・英会話(32.2%)
4位・・・習字(25.7%)
5位・・・サッカー(19.3%)
何か耳寄りの情報を期待していた保護者には、周囲と同じ習い事が並び、拍子抜けした結果かもしれません。例えばHugKumの独自調査で「わが子にさせている習い事は?」と聞いた結果も、以下の通りでした。
「小学館『HugKum』」の調査より
水泳・・・28人(40.0%)
塾・・・25人(35.7%)
ピアノ等の楽器・・・18人(25.7%)
英語もしくは英会話・・・15人(21.4%)
習字・・・8人(11.4%)
サッカー・・・6人(8.6%)
そろばん・・・5人(7.1%)
野球・・・4人(5.7%)
通信講座・・・4人(5.7%)
テニス・・・1人(1.4%)
剣道や空手などの武道・・・1人(1.4%)
プログラミング・・・0人(0.0%)
その他・・・25人(35.7%)
水泳もピアノも英語も習字もサッカーも、上位の顔触れは、順位もほぼ変わりません。むしろ、HugKumの独自調査で第2位に入った塾という答えが、東大生の習い事に見当たらないくらいです。特定の習い事が子どもを賢くするという因果関係は、この調査結果を見る限り、全く存在しないのですね。
ちなみに、何の習い事をさせるかではなく、いつから始めさせるかが重要だと指摘する専門家も存在しています。ソニー生命保険のホームページには、東北大学教授のコメントが掲載されていて、子どもの脳の発達に合わせて、スキンシップ(0歳~)、読み聞かせ(1歳~)、楽器や運動(3~5歳)、語学(8~10歳)、コミュニケーション能力の育成(10歳~思春期)を始めると好ましいと書かれています。
何かの習い事をさせれば、うちの子は天才になるなどといった考え方をするのではなく、子どもが興味を持つ範囲内で、時期が適している習い事を始めさせてあげれば、子どもの育ちに大きく影響してくれる可能性があるようです。習い事を通じて、わが子の人生を充実させてあげられるといいですね。
文/坂本正敬 写真/繁延あづさ
【参考】
※ 第3回子育て生活基本調査(幼児版) [2008年] – ベネッセ教育総合研究所
※ 第5回幼児の生活アンケート レポート[2016年] – ベネッセ教育総合研究所
※ 特集「子ども脳も大人脳も「好奇心」で成長する 脳に効く習い事」 – ソニーライフ生命
※ 学校外教育活動に関する調査2017 – ベネッセ教育総合研究所
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