保育園や幼稚園では「年少」「年中」「年長」という呼び名が使われていますが、それぞれ何歳のクラスなのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
今回は「年中さん」について、その年齢、発達や成長の目安、年中クラスの特徴や学習目的などを解説します。また年中さんにおすすめの習い事も紹介します。
年中さんの年齢
保育園や幼稚園での年齢別の分け方といえば、「年少さん」「年中さん」「年長さん」です。保育園や幼稚園に通いはじめるタイミングは人それぞれで、3年保育なら年少から、2年保育なら年中から通わせることになります。
では「年中」とは何歳のことをいうのでしょうか。初めてお子さんを通わせようとしているママ・パパの中には、戸惑ってしまう人もおられると思います。
ここでは何歳から何歳を年中と呼ぶのか、年齢を区切るタイミングについて解説します。
年中さん:4月1日時点の年齢が4歳
保育園でも幼稚園でも、4月1日時点での年齢が判断の基準になります。年中さんは4月1日時点で年齢が4歳の子どものことをいいます。ちなみに年少は3歳、年長は5歳の子どもをいいます。
別の言い方をすると、「満年齢」が4月1日の時点で、4歳の子どもが年中さんとなります。
満年齢:生まれた日を0歳とし、誕生日を迎えるごとに1歳ずつ年齢を加算していく数え方。
早生まれの子はどうなる?
法律では満年齢で1つ年を加算するタイミングを「誕生日の前日の午後12時」と定められています。
年中さんの基準は、4月1日時点での年齢ですから、毎年、4月2日から次の年の4月1日の1年間に生まれた子どもたちが同じ学年になります。
つまり、1月1日〜4月1日に生まれた、いわゆる「早生まれ」の子どもたちは、同じ年に生まれても、4月2日〜12月31日に生まれた子どもたちよりも学年が1つ上になります。
年中さんの発達や成長の目安
年中さんになると、赤ちゃんっぽさはかなりなくなり、しっかりしてきます。
この年齢の子どもたちはどのように成長していくのか、どんなことを覚えていくのか。ここでは年中さんの発達や成長についてまとめました。この時期の子どもたちの特徴を把握して、子育てに生かしてください。
運動機能の発達
年中さんは、運動能力が格段に伸びる時期です。心肺機能が高まり、みんなで活発に身体を動かして遊ぶようになったり、バランス感覚が発達して、スキップや片足ケンケンができるようになったりします。
手先も器用になってきて、ボタンのかけ外しや、紐を結んだり、小さい物をつまんだりといった行動もできるようになります。
友だちと遊べるようになる
幼稚園や保育園などでの生活を通して、集団生活を認識していきます。
自分の気持ちを表現することも徐々に上手になっていき、おしゃべりをする機会もふえます。お友だちとのコミュニケーションもとれるようになるので、グループ遊びができるようになります。
思考力の発達
幼稚園や保育園での集団生活を経験していくなかで、徐々に、自分なりに考え、物事を判断する思考力が発達していきます。
自分の考えが伝わらなくて悔しい思いをしたり、相手のいうことに納得がいかずに反発したりということを繰り返しながら、いろいろなことを判断する力を培っていきます。
身の回りのことができるようになる
食事や着替えといった自分の身のまわりのことができるようになっていきます。
年少さんではママ・パパがやってあげていたことを、徐々に自分でやるようになります。うまくできていないと、つい手を出したくなってしまいますが、そこはぐっと我慢して見守ってあげてください。
いろいろなことに興味をもつようになる
年中さんぐらいの年になると、自分の好みが生まれてきます。ある特定の物事に関心や興味をもつようになり、やっていて楽しい、好きと感じたものを「もっとやりたい」「もっと知りたい」と感じ、学びの欲求へと移っていきます。
運動、工作、文字、数字、いろいろなことに触れさせて、お子さんが興味や関心を示したものは、どんどんやらせてあげてください。
年中クラスの特徴や目的
できることが増え始め、心身ともに成長を大きく感じる年中さん。年中さんクラスでは、どんな遊びをして、どんな生活をおくるのでしょうか。年中クラスの特徴や、成長に合わせたどのような教育が行われているのか、見ていきましょう。
運動機能を伸ばす
運動機能が急速に発達するこの時期、年中さんでは運動機能を伸ばすような遊びを取り入れています。
体を思う存分動かすような楽しい遊びを数多く取り入れると同時に、ルールのある遊びも取り入れて、ルールを守りながら遊ぶことも学ばせていきます。
自立心や自発性を育てる
さまざまなことに興味を持ち始める年中さん。なんでも自分でやろうとする自立心や好奇心を大切にしています。
何か作業中に子どもが悩んでいるときは、やり方をすぐに教えるのではなく、なぜそうなったのか、どうやったらうまくいくのかを一緒になって考えていきます。
自分で考え、試行錯誤しながら、さまざまなことができるように促していきます。
社会性を育てる
自分と他人という意識がめばえ、徐々にまわりの状況にも目が向くようになります。友だちという存在が気になるがゆえに、ちょっとしたけんかに発展する場面も出てくるでしょう。
けんかやトラブルを通して、相手の気持ちを理解したり、譲りあうことの大切さを学び、社会性を育んでいきます。
想像力を伸ばす
年中さんは想像力も豊かになっていきます。
頭の中で空想の物語を作り出せるようになり、ときに空想と現実の境がわからなくなり、嘘のようなことを言うこともあります。
想像力を豊かに伸ばすために、たとえば、絵本の読み聞かせを取り入れていきます。絵本は、現実の世界のことを学ぶとともに、空想の世界を思い描くこともできる最高の教材です。内容を振り返りながらお話をして、子どもの想像力を育てていきます。
協調性を育てる
友だちと遊んだり、工作を一緒に作ったりすることで、一体感を感じ、みんなで活動する楽しさを味わえるようにしていきます。
ルールのある集団遊びを取り入れ、一緒に遊ぶと楽しいと感じさせるとともに、集団生活におけるルールやマナーを守ることの大切さも教えていきます。
遊び道具の貸し借りなどもできるようになり、お友だち同士で一緒に成長していく環境を作っていきます。
年中さんの習い事のおすすめ
年中さんとなる4歳から習い事をはじめるというご家庭が多いようです。年中さんになると、3年保育のお子さんは園にも慣れ、文字も書けるようになってきます。
ここでは、年中さんにおすすめの習い事をいくつかピックアップしました。お子さんが楽しく続けられそうなものを選んであげてください。
水泳
昔から人気ナンバーワンの習い事です。身体全体を使い、体力、心肺機能を鍛えることができます。
年中さんは、まず水に慣れることから始めますので、水が怖いお子さんでも大丈夫です。親子で参加できる教室も数多くありますので、運動不足を感じているママ・パパも一緒に始めてみてください。月謝の目安は6000円程度です。
英会話
中学、高校の6年間授業を受けてきても、英語に抵抗感のあるママ・パパもいらっしゃるのではないでしょうか。グローバル化が進み、英語の重要性は高まるばかりです。
自分たちの経験から、子どもには早くから英語を学ばせたいという方が多く、また小学校で必修化されたこともあって、英会話教室は大変人気の習い事になっています。月謝の目安は6000円〜8000円程度です。
体操
身体を思いきり動かして、運動機能を発達させる体操教室も男女問わず人気の習い事です。
マット運動や跳び箱、鉄棒、トランポリン、縄跳びなど、いろいろな種目を体験することで全身が鍛えられ、運動の基礎能力を身につけることができます。月謝の目安は4000円〜6000円程度です。
ピアノ
昔から特に女の子の習い事として人気のピアノ。最近では男の子にも人気の習い事です。
音感やリズム感が鍛えられることはもちろん、ピアノは両手を別々に動かしながら、足でペダルを踏み、楽譜を見るというふうに、いろいろなことを同時に行うので、脳が刺激されるといわれています。月謝の目安は5000円〜8000円程度です。
幼児教室
学力アップを目的とした幼児教室も人気です。今、導入が進んでいるタブレットなどを使った教育にもいち早くふれることができます。
ひらがな、カタカナなどの文字の勉強、数字の勉強、パズルや迷路など、子どもたちの成長に合わせた教材やカリキュラムを使い、効果的に学習を進めていきます。
年中さんから楽しく学習する経験をしていけば、その後、抵抗感なく学習習慣を身につけることができるでしょう。月謝の目安は7000円〜15000円程度です。
不安定さは成長の証
赤ちゃんっぽさがなくなり、精神的にも肉体的にも成長が見られる年中さん。ママ・パパには「こんなことができるようになったんだ」という発見も多く、子どもの成長に喜びを感じると同時に、なんとなく寂しさも感じてしまう時期です。
ぐんぐん成長するがゆえに、不安定な時期で、大変なこともありますが、しっかりと成長している証。一度しかない時期を楽しく過ごしてください。
文・構成/HugKum編集部