習い事に関する調査が、いろいろと出ています。その手の調査結果を見ると、習い事を始める(始めさせる)時期として、4歳という年齢が、1つの分岐点になっていると分かります。そこで今回は4歳の習い事について、各種の資料を基に現状をまとめてみました。
4歳の習い事で大切なこと
筆者も2人の娘を育てています。上の子はまさに4歳。
言葉もすっかり達者になって、小学生が遊ぶような遊具も負けじと立派に使いこなすことができるようになりました。お友達との集団生活も上手にできるようになり、4歳になるとダンスやサッカーなど集団で行うものへ興味関心が広がる子どもが多いように思います。
気を付けたいのは、4歳は個人差が大きい年齢なので、親は周りのお友達と比較したり、口出しをしたりしないことが大切です。
4歳で習い事をしている子はどのくらい?
4歳で習い事をさせている家庭の割合はどの程度なのでしょうか? ベネッセ教育総合研究所(東京都)の『第5回 幼児の生活アンケート レポート[2016年]』では、東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏で、小学校に入る前の子どもを育てている保護者4,034人から回答を集めたリサーチ結果があります。
その中に「(お子さんは)習い事をしているか?」という質問があり、子どもの年齢別に結果が出ています。
- 1歳半児・・・17.0%
- 2歳児・・・25.7%
- 3歳児・・・29.8%
- 4歳児・・・47.9%
- 5歳児・・・71.4%
- 6歳児・・・82.7%
4歳児になると、一気に半数近くになり、5歳児では7割を超えている様子が分かります。
わが家でも、通園中の認定こども園で習える園内の習い事を「年中」に上がってからスタートさせました。実際に4歳から習い事を始めた家庭にその理由を聞いてみると、
「子どもがやりたいと意欲を燃やすので」(40代前半・埼玉県・子ども2人)
「楽しめることを増やしてほしいから」(40代前半・神奈川県・子ども2人)
など、親も子どもの意欲を重視し、子どもの能力を伸ばしてあげられる習い事をスタートさせたいと思う時期のようです。
習い事の必要性とは?
習い事に対して「そんな小さいうちから習い事ばかりさせて、子どもが疲れてしまう」といった意見もあります。しかし、習い事を通して、何かを成し遂げる努力や達成感を得ることは、子どもにとって自信につながるのではないでしょうか。
また、習い事で頑張っている姿を親や指導者に認めてもらうことは、子どもにとっても嬉しいことでしょう。ひとつの目標にむかって努力することは、小さいころから行うと「成功体験」として、どんなことにも努力を惜しまない子になるのではないでしょうか。
4歳の女の子に人気の習い事ランキング
今まで、4歳で習い事をする子どもの割合、親の意識などを取り上げてきました。では、4歳で習い事をする子どもは、具体的に何をしているのでしょうか? 始めに女の子の習い事をチェックしてみます。
習い事の人気ランキングについては、さまざまな調査が取り上げています。例えば『保険クリニック』を運営する株式会社アイリックコーポレーション(東京都)が行った調査があります。小学校に入る前の男の子250人、女の子250人の保護者から答えをもらった調査。女の子が通っている人気の習い事が文科系、運動系で出ています。最初は運動系から見てみましょう。
運動系で人気の習い事
- 水泳・・・34人
- 体操・・・10人
- バレエ・・・8人
- ダンス・・・7人
- 格闘技(レスリングや空手、柔道など)・・・5人
水泳や体操は常に人気ですから、納得の順位ですね。ダンスは学校の授業で必修化されるようになりました。そのころから、人気の習い事として注目されています。文科系では、次の習い事が人気となっていました。
文科系で人気の習い事
- 英会話・外国語・・・27人
- ピアノ・・・25人
- 学習塾・幼稚教室・・・18人
- 音楽教室・リトミック14人
ピアノは昔から、女の子に人気の習い事ですよね。語学の人気も引き続き高いようです。
4歳の男の子に人気の習い事ランキング
一方で、男の子に人気の習い事は、どうなのでしょうか。女の子と同じく、小学校に入る前の男の子が、どのような習い事をしているのかチェックしてみます。
運動系で人気の習い事
- 水泳・・・27人
- 体操・・・12人
- 球技・・・7人
- 格闘技(レスリング、空手、柔道など)5人
水泳、体操は男女ともに、小学校に入る前の子どもに人気だと分かります。4歳はまだ、特定の競技に強い興味が向かいにくい年齢なのかもしれません。また、全身運動を通じて、バランスよく体が育ってほしいと願う親の気持ちもあるのかもしれませんね。
もちろん、多くはありませんが、球技もランクインしています。世の中に出回っている類似の調査も参考にしてみると、どの結果を見ても今ではサッカー人気が野球を圧倒しています。その意味で、球技の習い事は幼児向けのサッカー教室と考えられます。一方で男子に人気の文科系の習い事は、次の通りになりました。
文科系で人気の習い事
- 学習塾・幼児教室・・・20人
- 英会話・外国語・・・17人
- ピアノ・・・9人
- 音楽教室・リトミック・・・6人
英会話や外国語、学習塾などは、女子と変わらず人気だと分かります。しかし、女子と比べて、ピアノを習っている男の子の数は、ぐっと減っている様子があります。別にピアノが女性的な楽器とは言えないはず。しかし、何となくピアノ=女の子という印象が親の側にもあるのかもしれませんね。
「行きたくない」と嫌がる理由と対処法
4歳の子どもの習い事について、まとめてきました。では、皆さん、子どもの習い事を辞めるときはどうしているのでしょうか?
習い事を嫌がる理由
まず、子どもが4歳で習い事を始めて、すぐ「辞めたい」と言い始めたら、どうすればいいのでしょうか? “4歳では習い事など早い”と考えている人たちからは「ほら、見たことか。すぐに辞めさせてあげなさい」という声が聞こえてきそうです。しかし、“4歳では早くない”と考える親からすれば「簡単には辞めさせるわけにはいかない」と悩んでしまいますよね。
親として適切な対応とは何なのでしょうか。答えを考える前に、まずは子どもがどのようなときに「辞めたい」と感じるのか、調べてみましょう。
サンケイリビング新聞社(東京都、大阪府)が運営する『あんふぁん』というウェブサイトがあります。『あんふぁん』では「習い事を辞めたい」と子どもが言い始めたときの子どもが言い分が、明らかにされていました。
- 1位・・・うまくできない、難しい(45%)
- 2位・・・楽しくない(24%)
- 3位・・・その習い事が好きではない(10%)
やはりうまくできない、難しいとなれば、子どもは楽しくありません。楽しくなければ、習い事が好きではなくなってしまうはずです。逆に最初から好きでもない習い事を親が無理に始めさせたとしたら、はなから子どもも楽しくはありません。楽しくなければ、うまくできるようにもならないはず。全てはリンクしているとも考えられるかもしれませんね。
その意味で、親が無理やり始めさせたような習い事については、単純に子どもの言い分を尊重してあげればいいのかもしれません。しかし、4歳でも子どもが「やりたい」と強く望んで始めた習い事もあるはずです。そんな習い事を「辞めたい」と子どもが言い出したら、どうすればいいのでしょうか。「いいよ」と簡単に認めてしまっては、子どもを甘やかす結果になりそうですよね。
「辞めたい」と言われたときの対処法
先ほどの『あんふぁん』の調査をもう一度見てみます。その調査の中には参考になる情報があって、例えば「話す機会を持ち、子どもの気持ちに寄り添いつつ、ポジティブな声掛けで様子を見る」だとか、「辞めるにせよ続けるにせよ、何らかの目標を設定して、その目標を区切りに決断をする」といった保護者の事例が語られています。
似たような『ベネッセのアンケート調査』でも、子どもが習い事を辞めたいと言い出したときの親の対処法が紹介されています。ベネッセの調査によれば、子どもから「習い事を辞めたい」と言われた経験のある人は42.1%と半数近くに上ると言います。このときの対処法として、
- 相談・説得をしてそのまま続けさせる
- 指導内容を変更したりして様子を見る
- 少し休ませる
- 希望通り辞めさせた
という4つのリアクションが明らかにされていました。2つの調査を併せて考えてみると、親として求められる態度は、
- まず、子どもの気持ちを理解する
- その上で、親の気持ちを理解してもらう
- 子どもと親、どちらかが一方的に我慢する(我慢させる)のではなく、どちらにも納得のいく道を探し抜く
という真剣で粘り強い姿勢が求められるようですね。子どもの育つ家庭環境も、子どもが習い事を始めた理由も、嫌になった理由も、全て事情が違います。どんな場面にも適用できる便利な処方箋があるわけではありません。わが子にとって最高の決断は、自分たちで見つけるしかないと腹をくくって、本気で問題に立ち向かう姿勢が親にも求められているみたいですね。
文/坂本正敬
【参考】
※ 第5回幼児の生活アンケート レポート[2016年] – ベネッセ教育総合研究所
※ 子どもの将来への希望は・・・?安定志向!! – 保険クリニック
※ 第3回子育て生活基本調査(幼児版) [2008年] – ベネッセ教育総合研究所
※ 「習い事、やめたいと言われたら?」子どもの習い事調査&アドバイス – ベネッセ
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