読み聞かせを続けながら、ひとり読みができるサポートを
もうある程度大きくなったからといって、読み聞かせを卒業しなければいけないと焦る必要はありません!
本の読み聞かせには、感受性を育て心を豊かにする効果があり、親子のコミュニケーションを深めるだけでなく想像力や記憶力をも育むことができます。幼少期のみならず、小学高学年になっても読み聞かせは語彙習得に効果的であるという研究結果の報告がされています。また、中高生になってもその効果がみられるという実例があり、中等教育機関においても授業で読み聞かせを実施している学校もあるほどです。このように読み聞かせには多くのメリットがあり、なるべく読み聞かせを続けることをおすすめしています。
しかし、読書を読み聞かせだけに頼ってしまい、なかなか自分で本を読もうとしないお子さんも少なくありません。そんな時は、読み聞かせを続けながら、ひとり読みができるようになるサポートをしてあげましょう。自分で読むことができる本を選んで、3つのステップを繰り返し実践することでスムーズにひとり読みができるようになるでしょう。
本の難易度に注意!
読み聞かせの本より少し簡単な本でスタート
ひとり読みに挑戦する前に、まずは本の選び方のポイントを確認。この時に使用する本は、読み聞かせで使っていた本より、少し簡単な本を選ぶことを覚えておきましょう。
その理由は、本を読み聞かせで読んだ場合と自分で読んだ場合では、本の内容の理解度が違うからです。自分で本を読むには、「文字を読んで意味を理解する」、「文字の意味をつなげて物語の流れを理解する」といった2つの作業を同時にする必要があります。そのため、読み聞かせよりもひとり読みをしたほうが内容が理解しにくくなり、より難しく感じる傾向があります。
まだ自分で本を読むことに慣れていないときは、すでに物語の内容を知っている本やお子さんがスラスラ読める本を選んであげると、読むときに行う2つの作業のハードルを下げてあげることができます。自分で本を読むことができるという達成感や楽しさを知るためにも、ひとり読みを始めるときは、まずは易しい本から挑戦してみましょう。
ひとり読みができるようになる3ステップを実践してみよう!
本を選んだら、いよいよ実践!以下の3つのステップを繰り返すことで、少しずつひとり読みに慣れてくるでしょう。
「読み聞かせ→交代読み→読み聞かせのお返し」
ステップ①:読み聞かせ
読み聞かせはひとり読みへのファーストステップです。まずは選んだ1冊の本を読み聞かせで読み始めましょう。この時、読み聞かせをしながら、読み手が考えていることを伝えながら読むのもおすすめです。どんなことを思い浮かべながら読んでいるのか子どもと共有することで、本の読み方を教えてあげることにつながります。
ステップ②:交代読み
次に、1行ずつ、もしくはページごとにお子さんと交代しながら読んでいきましょう。交代して読んでいくことで一緒に本を読む楽しさを共感することもできます。
ステップ③:読み聞かせのお返し
交代読みができるようになったら、次はお子さんに読み聞かせのお返しをしてもらいましょう。このように読み聞かせからゆっくりステップアップしていくことで、ひとりで物語を読むことに慣れていきます。
文字を読むのが苦手。そんな場合はどうしたらいい?
ヨンデミーではディスレクシア(読み書き困難)のお子さんの利用事例も多くあります。文字を読むことが苦手な小学4年生のお子さんが、小学1年生が読む簡単な本から挑戦してみたら、自分で本を読む楽しさを実感するようになり、徐々にたくさんの本が読めるようになりました。そのうち同じ学年の子が読むような本も読めるようになり、症状が緩和されていくケースがみられました。
お子さんが物語の楽しさを感じるには、読み聞かせやオーディオブックも効果的です。それぞれのお子さんの症状にもよりますが、まずは文字の大きい簡単な絵本を手に取って、本を読むことが楽しいと思えるきっかけづくりをしてみるのもひとつの方法だと思います。
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◆お話を伺ったのは…
教育に読書を取り入れる分野で第一人者の澤田英輔氏の指導を受ける。英語多読講師の経験も活かし、大学在学中の2020年4月に中学以来の友人と「Yondemy」を起業。「子どもの読書離れ」という課題の解決に向けて、同年12月にオンライン読書教育「ヨンデミーオンライン」のサービス提供を開始。2年間で累計3500人以上の会員登録者数を誇る。
文・構成/HugKum編集部
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