やんちゃすぎる息子が苦手。娘のほうがかわいいと感じるのは、私に男のきょうだいがいないから?【識者が回答・子育て相談室】

月刊誌『小学一年生』(小学館発行)が、日常の子育てや発達・健康上の心配など、読者のママ・パパのお悩みを大募集。今回は「同じわが子なのに、きょうだいを平等に愛せない」という相談に、現役教諭と校医がアドバイスします。

Q:わが子を同じように愛せません。母親失格でしょうか…。

小1の長女と2歳下の長男のふたり姉弟です。2人ともかわいいわが子ですが、同じように愛せていない自分を感じています。
やんちゃな長男をもて余すことが多く、時々疎ましく感じることがあるのです。といっても、手をあげたり怒鳴ったりすることはもちろんありません。私は3姉妹で育ったので、男の子と接するのは、息子が初めてなのです。それも関係しているのでしょうか。
娘のほうがかわいいと思ってしまう私は母親失格ではないかと悩んでいます。(YK さん)

A:この子のために手伝えることは何かを考えましょう。

例えばわが子が3人いたとしたら、みんな平等に愛したい、ほとんどの親御さんはそう思うのではないでしょうか。YK さんも下の息子さんを全く愛していないわけではないと思うのです。ただ、女の子ばかりの環境で育ってきたために、パワフルな男の子をもて余してしまっているのかなと感じました。

YK さんには男の子のママ友はいらっしゃいますか?  男の子のママに、YK さんの気持ちを相談してみてはどうでしょう。同じように男の子のパワフルさをもて余していたら気持ちを共有できますし、「男の子はかわいい」というママなら、その魅力について聞いてみてもよいでしょう。

また、親だから子どもを平等に愛するのは当たり前ということはありません。兄弟でもそれぞれ個性がありますし、別々の人間です。裏を返せば、同じように愛せなくても大丈夫ということも言えるかと思います。それよりも、「この子のために親として手伝えることは何か」を考えましょう。

息子さんのパワーがあり余っているようなら、お休みの日に公園で思う存分遊ばせたり、電車が好きなら電車を見に出かけたり。楽しいと思えば、笑顔もあふれることでしょう。そんなわが子の姿に触れるうちに、あなたの気持ちも変わってくるかもしれません。

大切なのは、子どもがどう思っているかです。お母さんが「娘と同じように愛せない」と思っていても、息子さんはお母さんが大好きで、愛情を十分に感じていればそれでいいのではないかなと思います。

愛情は測るものではありません。それよりも今、目の前のわが子に何をしてあげられるのか、その気持ちを大切にしてくださいね。

A:スクールカウンセラーは保護者でも相談可能です。

やんちゃで手に負えない子がクラスにいたとしたら、先生は正しく導こうとします。そして、その子の特性をどう伸ばしてあげられるかを考えます。パワーが有り余っているのだなと思えば、休み時間に校庭で鬼ごっこに誘い、思う存分走らせたり。よくしゃべる子だなと思えば、「お笑い係やってみる?」と勧めてみたり。その子の持つ力をうまく生かせることはないかなと考えるのです。

ご家庭でも同じように考えてみてはどうでしょう。やんちゃな息子さんに対して、お母さんが何をしてあげられるのか。考えて行動していくなかで、息子さんに対する見方が変わってくるかもしれません。

「わが子を愛せない」といったお悩みは、身近な人に相談しにくいこともあるでしょう。あるいは相談できる相手がいないといった場合、スクールカウンセラーに相談することができます。じつは、学校に常駐するスクールカウンセラーは、子どもだけでなく、保護者の相談にも応じているんですよ。

子どもは親に愛されていないなと感じると、学校で必ず態度に出ます。何より大切なのは、子どもの心です。愛せないと悩むより、わが子に何をしてあげられるのかを大切に考えてみてくださいね。

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私たちがお答えしました

川上一恵先生 | かずえキッズクリニック院長・医学博士
診療の傍ら、地域の小学校、幼稚園、保育園の校医、園医も務める。日本小児科学会認定専門医。日本小児科医会「子どもの心相談医」。
佐々木陽子先生 | 公立小学校教諭
低学年の担任経験が豊富で、現在は主幹教諭として教鞭をとる傍ら、先生が読む教育情報サイト『みんなの教育技術』に執筆も行う。
『小学一年生』2023年12月号別冊『HugKum』
イラスト/かまたいくよ
構成/天辰陽子

1925年創刊の児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターとともに、子ども達各々が自身の無限の可能性を伸ばす誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載し、HugKumの監修もつとめています。

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