悩みやストレスを抱えているところに震災が引き金となり、心身の不調が
被災地に暮らしていなくても、震災をきっかけに心身に不調をきたす子どもがいます。
- ●眠れない
- ●イライラしている・怒りっぽい
- ●食欲がない
- ●おなかが痛いなど体の不調を訴える
- ●ママ・パパから離れられない、ひとりで眠れないなど、これまでできていたことができなくなった
など、気になる様子があるときは、子どもへのかかわり方を見直しましょう。
上記のような様子は、震災が直接の原因になっているわけではなく、日ごろから何か悩みやストレスを抱えていて、心の中のコップの水があふれそうなときに、震災のショックが加わって、コップの水があふれ出てしまった状態です。比較的、頑張り屋さんや真面目な子に見られる傾向があります。そのため震災への不安を払しょくするのと併せて、ストレスケアを意識して行うことが大切です。
子どもの好きなことをしてストレス解消
子どもが「ひとりで眠れない。ママ、一緒に寝よう」と言ってきたときは、「いいよ」と、子どものSOSサインを受け入れてください。また「一緒に寝ようって、よく言ってくれたね。怖いと思うのは、命を守ることにつながる大切な気持ちだよ」と伝えましょう。なかには「恥ずかしい」と思いながらも頑張ってママ・パパにSOSサインを出している子もいます。
「おなかが痛い」など体の不調を訴えたときは、「大変なことがあったから、体が頑張り過ぎているのかもね」と言って、ゆっくり休ませましょう。
そして
- ●好きな音楽を聴く
- ●ゆっくりお風呂に入る
- ●親子で一緒に散歩をする
- ●スポーツをする
- ●自然を楽しむ
など、子どもが好きなことをしてストレス解消をしましょう。ストレスが解消されると、子どもの様子も変わっていきます。
ただし、子どもが好きだからといっても長時間のゲームや動画の視聴は勧めません。疲れから、かえってストレスが溜まりやすくなります。
親子で防災対策を見直して、震災の不安を軽減
またストレス解消をする一方で、震災への不安を軽減すことも大切です。「最近は、地震に強いおうちが建てられるようになったんだよ」と耐震の話をしたり、親子で家庭内の防災を見直すといいでしょう。親子で家具が転倒しないように対策をしたり、防災リュックの中身を確認して、必要なものは買い足したりすることで、震災への不安がやわらでいきます。
登園・登校を渋るときは、I(アイ)メッセージで親の気持ちを伝える
なかには震災後、「小学校に行きたくない」「幼稚園(保育園)に行きたくない」と言い出す子もいます。そうしたときは「なぜ?」と理由を聞いてあげてください。子どもの意見を頭ごなしに否定するのはNGですが、「行かなくてもいいよ」と、すぐに受け入れるのはやめましょう。
「〇〇ちゃん、これまでそういうこと言わなかったよね…。ちょっと疲れているのかな? でも、また小学校に行って、友だちと遊べるようになるといいなとママ(パパ)は思うよ」と、I(アイ)メッセージで「登校(登園)できるようになるといいね」という思いを伝えましょう。
Iメッセージとは、相手に配慮しながらも、I=(自分・私は)を主語にして思いを伝えることです。不安なときは、かかりつけの小児科医や担任の先生、スクールカウンセラーなどに相談してください。ママ・パパだけで解決しようと思わないことが大切です。
幼児は、スキンシップや遊びを通して心の安定を
震災後、幼児で「夜泣きをするようになった」「ママ・パパから離れなくなった」「ちょっとしたことで泣くようになった」など、いつもと違う様子が見られたときは、親子のスキンシップを大切にしましょう。
ボール遊びや追いかけっこをするなど、体を使う遊びの時間も十分にとってください。言葉が未発達な幼児は、ママ・パパのぬくもりを感じたり、親子で楽しく過ごすことで心の安定を取り戻していきます。
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記事監修
取材・構成/麻生珠恵 写真/繁延あづさ