中東地域にある「イラク」はどんな国なのか、特徴や観光スポットなどをこれから説明していきます。
イラク基本情報
まずはイラクの正式な国名や首都、場所などの基本情報を見ていきましょう。
国名
正式な国名は、「イラク共和国」といいます。
首都
首都は、バグダッドです。
場所
イラクの場所は、中東にあります。イランやクウェート、サウジアラビア、ヨルダン、シリア、トルコと国境を接しています。
日本との時差
日本とイラクとの時差は6時間で、日本のほうが6時間進んでいます。たとえば日本が午前6時だとすると、イラクは午前0時となります
面積
イラクの面積は、43.83万平方キロメートルです。これは、日本の約1.2倍の大きさとなります。
エリア
イラクは18の県に分かれています。18の県は次のとおりです。
・バグダード県
・サラーフッディーン県
・ディヤーラー県
・ワーシト県
・マイサーン県
・バスラ県
・ジーカール県
・ムサンナー県
・カーディーシーヤ県
・バービル県
・カルバラー県
・ナジャフ県
・アンバール県
・ニーナワー県
・ドホーク県
・アルビール県
・キルクーク県
・スレイマニヤ県
人口
イラクの人口は約3,965万人(2021年:CIA)です。日本の人口が約1億2,000万人ですから、イラクの人口は日本のおよそ1/3となります。
言語・公用語
イラクの公用語は、アラビア語とクルド語です。
通貨
イラクの通貨単位はイラク・ディナールです。日本円にすると、1イラク・ディナールは0.11円です(2024年2月24日現在)。
宗教
イラクの人々が信仰する宗教は、イスラム教(スンニ派、シーア派)、キリスト教などです。
歴史
イラクの歴史の主な出来事は次のとおりです。
紀元前6000年頃 シュメール人が世界で最初の都市文明を興す
766年 アッバース朝がバグダッドを首都に定める
1920年 イギリスの委任統治を受ける
1932年 ファイサルを王とする王国として独立する
1958年 共和国革命が起き、イラク共和国が成立
天気・気候
イラクの気候は砂漠気候に分類され、快晴の日が多いのが特徴です。また、1日の気温差が激しいという特徴もあります。
イラクは北緯33度で、日本の大分市とほぼ同じ緯度です。しかし7〜8月には50℃を超える日があり、雨の日がほとんどない月もあります。
イラクの治安・住みやすさ
イラクの治安や住みやすさはどうでしょうか。
治安は安定していない
治安はあまりよいとはいえません。外務省の危険度情報を見ると、全土で危険情報が出ています。これは「イラクのイスラム抵抗」と称する民兵組織による攻撃が頻繁に発生しているためです。
住みやすさはよいとはいえない
イラク全土の治安が悪いこともあり、住みやすいとはいえないでしょう。
イラクの見どころ・観光
イラクの世界遺産や観光名所などをご紹介しましょう。
都市遺跡サーマッラー
都市遺跡サーマッラーは、836~892年にアッバース朝の首都として栄えた場所で、メソポタミア文明から続く歴史があります。ここには、当時世界最大だったモスクや宮殿などが建造されました。
都市遺跡サーマッラーの見どころは、イラクの至宝と評される「マルウィヤ・ミナレット」というらせん式の尖塔です。らせん式の尖塔は非常に珍しく、世界に3つしか存在しないといわれています。
都市遺跡サーマッラーは2007年に世界遺産に登録されましたが、同時に危機遺産リストにも登録されています。
アルビール(エルビル)の城塞
アルビール(エルビル)の城塞は、イラク北部にある都市・アルビール(エルビル)にあります。この都市のシンボルが、19世紀の後期オスマン帝国時代に建設された丘の上に残る城塞都市です。
城内は砦を中心に、放射状に路地が広がっています。迷路のような街のつくりになっており、オスマン帝国時代を表す特徴的な都市構造を見ることができます。
バビロン遺跡
バビロンは、世界最古の文明発祥地メソポタミアで、紀元前6〜7世紀にかけて新バビロニア帝国の首都だった都市です。巨大城壁や空中庭園があったとされ、世界7不思議のひとつにも数えられています。遺跡群の広さは10平方キロもありますが、まだ18%程度しか発掘されていません。
ここでは青い彩釉煉瓦でつくられたイシュタル門(レプリカ)、動物の浮き絵が彫られた壁、城跡などを見ることができます。
イラクの特徴・有名なもの
観光スポット以外の、イラクで特徴的なものや有名なものを紹介していきましょう。
『アラビアン・ナイト』の舞台はバグダッド
『アラビアン・ナイト』は、中東やイスラム文化圏に古くから伝わる話を集めた物語。
代表的な話に「アラジンと魔法のランプ」「シンドバッド航海記」「アリババと40人の盗賊」などがあります。『アラビアン・ナイト』の舞台は、アッバース朝のバグダッド(現在のイラクの首都)といわれています。
石油と天然ガス
1927年にキルクークで石油が発見されて以来、イラクでは石油と天然ガスが最大の産業となっています。イラクの財政の9割以上を、石油の輸出が占めているほどです。
2021年の石油生産量は4,102(1,000バレル/日量)で、世界で5位。近年は原油生産量がアップしています。
国旗の意味
イラクの国旗は赤、白、黒の3色が使われ、中央に緑色のアラビア文字が書かれています。
国旗に使われているそれぞれの色には意味があり、赤は勇気、白は寛大さ、黒は過去におけるイスラムの勝利を表しています。また緑色で書かれたアラビア文字は「神は偉大なり」という聖句です。
イラクを代表する料理
イラクを代表する料理に「クーズィー」と「マスグーフ」があります。
イラク全土で食べられている「クーズィー」は、子羊に米や玉ねぎ、香辛料などを詰めて焼いた料理です。大きなお皿に盛り付けて、レーズンやアーモンドをトッピングするのも特徴的。家族などが大勢で集まったときなどに食べられています。
「マスグーフ」は、チグリス川やユーフラテス川で獲れた大きな鯉を使った料理です。魚を背開きにしてスパイスをたっぷり使い、釜などで丸焼きにします。焼き上がった鯉は丸い形をしているため「鯉の円盤焼き」とも呼ばれているそうです。
サッカーが国民的スポーツ
イラクでポピュラーなスポーツはサッカーです。1974年にプロサッカーリーグ「イラク・プレミアリーグ」が創設され、イラク代表はAFCアジアカップで優勝経験もあります。また、サッカーをしている子どもたちも多いそうです。
イラク代表といえば、日本のサッカーファンであれば忘れられない「ドーハの悲劇」の対戦相手としても知られています。
「ドーハの悲劇」は、1993年に行われたFIFA ワールドカップ・アメリカ大会への出場国を決めるアジア地区最終予選で起きたできごとです。終了間際にイラクに得点を許し、あと一歩のところで日本代表がワールドカップ出場を逃しました。
遺跡や文明が魅力的なイラク
イラクには、世界遺産に登録されている遺跡や、なぞの多いメソポタミア文明など、魅力的なスポットや見どころがたくさんあります。紀元前から続く壮大な歴史を秘めたイラクでは、遺跡などを通じて古代の人々の生活、信仰、芸術に触れることができます。イラクについて親子でさらに深掘りし、その文化への認識を深めてみてはいかがでしょうか。
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文・構成/HugKum編集部