ちこ?ちき?「知己」を正しく読める?「親友」との違いは? 意味や使い方、類語、対義語、英語表現までを一挙に解説!

「自分のことをよく知っている知人」を指す『知己』という言葉をご存じですか? 簡単な漢字が組み合わされたものですが、正しい読み方や使い方を知らない人は意外と多いようです。今回は、そんな『知己』の読み方や意味、使い方、関連語を解説していきます。

「知己」とは?

まずは、『知己』の読み方と意味、語源を押さえておきましょう。

読み方と意味

この言葉は、『知己』と書いて「ちき」と読みます。「自分のことをよく知っている知人」や「単なる知人」を意味しますが、一般的には前者のニュアンスで使われる言葉です。

由来・語源

この言葉は、中国の歴史書「史記」に由来していると考えられています。

「史記」の中には、春秋時代末期の晋の刺客・豫譲(よじょう)という人物が、伯爵・智伯(ちはく)によってその才能が見抜かれ、国士として登用されたことが記されています。智伯が戦場で死を遂げると、豫譲は「士は、自分を知ってくれる人(知己)のためになら自分の命を投げ出す」と、智伯の命を奪った人物への復讐を誓いました。

この、豫譲による、自分を認めてくれた智伯への感謝と親しみを込めた言葉が語源となって、「自分をよく知ってくれている知人」をあらわす言葉として『知己』が使われるようになったと言われています。

微妙なニュアンスの差に注意!「親友」や「知人」「知り合い」との違いは?

『知り合い』や『知人』『親友』と近い意味を持つ『知己』という言葉。

『知り合い』や『知人』は、「顔や名前を知っているだけでなく、ある程度の親交のある人」を指す一方で、『知己』は一般的に「自分の気持ちや考え方、人柄に理解がある人・気心の知れた人」を指します。

また、『親友』は「“お互いに”心をよく理解し合った友人」を意味する点が、『知己』=「“自分のことを”よく知ってくれている友人」と少々異なります。

さらに『知り合い』や『知人』『親友』とは異なり、『知己』を話し言葉で用いることはあまりありません。会話で使えそうな言い換え表現は、下の「類語・言い換え表現」の章でご紹介しているので、あわせてご確認ください。

使い方を例文でチェック!

ここからは、『知己』の具体的な使い方を例文を通してチェックしておきましょう。

1:大学生活での最大の収穫は、この世に2人といない【知己】を得たことだ。

「自分を理解してくれる知人」のような敬愛を込めた意味合いで『知己』を用いた例文です。「知己を得る」も一般的な言い回しで、「親友を得た」「かけがえのない知人を得た」といったニュアンスで使われます。

2:学会に入会したことで、有名な研究者とも【知己】を得ることができた。

「知己を得る」は、「面識を得る」「お近づきになれる」と似た使い方をすることもあります。ただし、「知己を得る」の場合は、これらよりもより親しいニュアンスが込められる点に注意しましょう。

3:来月京都に赴く際は、【知己】の家を訪れるつもりだ。

こちらは『知己』を「気心の知れた人」といった意味合いで用いた例です。『知人』『知り合い』と同じように使うことができますが、『知己』にはより親しみのあるニュアンスが込められています。

類語や言い換え表現は?

では、『知己』を別の言葉に言い換えたい場合はどのような言葉を使えばよいのでしょうか。『知己』の言い換えに使える類語をご紹介します。

1:知友(ちゆう)

『知友』とは、「お互いに深く知り合っている友人」を指す言葉です。

「“自分のことを”よく知っている知人」を表す『知己』とは「“お互いに”知り合っている」点が少々異なりますが、深い付き合いの知人を指す点に注目すれば、似た言葉と言えるのではないでしょうか。会話表現ではあまり使われません。

2:盟友(めいゆう)

『盟友』とは、「かたい約束を結んだ友人」や「同志」を意味する言葉です。『知己』=「自分をよく知ってくれている知人」よりも、「志を同じくする仲間」のニュアンスが強くなります。

自分の志を理解する友と捉えれば、『知己』の類語と言えるのではないでしょうか。こちらは比較的、話し言葉でも使いやすい言葉です。

3:馴染み(なじみ)

『馴染み(なじみ)』とは、「親密な関係になった人やもの」を指す言葉です。「学生時代からの【馴染み】に会う」といった使い方ができます。

こちらもまた、『知己』を「自分をよく知る相手」というニュアンスで使いたい際に用いることができる言い換え表現です。話し言葉でも使われます。

対義語は?

『知己』とは反対の意味を言い表したい場合は、どのような表現が使えるのでしょうか。『知己』の反対にあたる言葉を集めてみました。

1:他人(たにん)

『他人』という言葉は、「自分と繋がりのない人」を意味します。「自分をよく知る人」を意味する『知己』とは正反対の言葉と言えるのではないでしょうか。

2:第三者(だいさんしゃ)

『第三者』は、「関係者以外の人」を指す言葉です。自分と深い関係を持つ人を指す『知己』とは反対に近い言葉と言えそうです。

ただし、『第三者』は、特定の事象や行為の存在が前提にあり、その「関係者以外の人」を指します。『知己』が漠然としたシチュエーションでも使えるのに対して、『第三者』はシチュエーションが限定的になる点に注意しましょう。

3:縁もゆかりもない(えんもゆかりもない)

『縁もゆかりもない』とは、「なんのつながりも関係もない」という意味の言葉です。自分との深いつながりや関係がある人を指す『知己』の反対の言葉として覚えておきましょう。

英語表現は?

最後に、『知己』を英語で伝えたいときに使える英語表現をご紹介します。

1:be acquainted with〜

「〜の知識がある、精通している」といった意味を持つ“be acquainted with〜”は、「〜と知り合う、知り合いである」ことも言い表すことができる英語表現です。『知己を得る』を英語で言い表したい場合に、“be acquainted with〜”を用いてみましょう。

2:a close friend

“a close friend”は、『親しい友人、親友』を意味する英語表現です。「自分のことをよく知っている知人」といった深い関係の知人を表す『知己』の英語表現に適しているのではないでしょうか。

微妙なニュアンスの違いを把握して、正しく使おう

今回は、『知己』の読み方や意味、使い方、語源、類語、対義語、英語表現までを一挙にご紹介してきました。『知り合い』や『知人』など、近い意味を持つ言葉も複数存在しますが、『知己』とは少々ニュアンスが異なることがよくわかりましたね。微妙な違いをしっかり把握して、他の表現とは正しく使い分けてくださいね。

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文・構成/羽吹理美

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