今さら聞けない「阿吽の呼吸」って? 壮大な意味をもつ語源、使い方、関連語までを一挙におさらい!

誰かと誰かの息がぴったりであることを意味する『阿吽の呼吸』という慣用句。今回は、この言葉の意味や語源、使い方から類語、対義語、 英語表現までをご紹介していきます。

「阿吽の呼吸」とは?

まずは、『阿吽の呼吸』の読み方と意味、語源をチェックしていきましょう。

読み方と意味

この言葉は、『阿吽の呼吸』と書いて「あうんのこきゅう」と読みます。2人以上の人が言葉を交わさなくても息ぴったりに、行動を起こすタイミングや判断が一致することを表した言葉です。

由来・語源

『阿吽の呼吸』という言葉は、サンスクリット語に由来していると言われます。サンスクリット語とは、古代のインドで生まれ、中国を経由して仏教とともに日本に伝わった古代語。

そんなサンスクリット語では、「阿」が1文字目、「吽」が最後の文字であったため、「阿吽」は物事の始まりと終わりや、対比、対立などを象徴します。

さらに、口を開けて発声する「あ(阿)」と、口を閉じて発声する「うん(吽)」が組み合わされていることから、「呼気」と「吸気」を表すこともできます。これらのことから、対立した存在が息を合わせることを『阿吽の呼吸』と言うようになったと考えられています。

知ってた? 狛犬の口も「阿吽」の形に

神社や寺院の入口に佇む狛犬。狛犬の口の形をよく見てみたことはありますか?  一度観察してみると、片方は口を開いていて、もう一方は口を閉じていることに気づくはず。実はこれ、一方が「阿」、もう一方が「吽」の形になっているのです。

神社や寺院のような神聖な祭祀施設の入り口に設けられている狛犬は、「始まりと終わり=この宇宙のすべて」を意味する「阿吽」をふまえて作られています。寺院等の入り口にある金剛力士像も、同様の理由から口が「阿吽」になっているので、ぜひ注目してみましょう。

使い方を例文でチェック!

では、『阿吽の呼吸』はどのように使うのが正しいのでしょうか。ここでは、例文を通して『阿吽の呼吸』の使い方を押さえておきましょう。

1:なにかを探している父に、言葉を交わさずとも母がリモコンを差し出していた。これぞ【阿吽の呼吸】だと感心した。

このように、言葉を交わさなくても意思の疎通ができ、抜群のタイミングで行動を起こせるほど息がぴったりである状態を『阿吽の呼吸』と言うことができます。お互いの考えや行動を、二人が理解し合っている関係であることがうかがえますね。

2:あの部署のスタッフたちは、【阿吽の呼吸】でプロジェクトを成功させた。

『阿吽の呼吸』は日常会話だけでなく、ビジネスシーンでも使うことができます。また、この例文のように、二人に限らず二人以上の息ぴったりな複数人に対して使ってもOKです。

3:わたしが咄嗟に出したパスを、彼女は【阿吽の呼吸】でキャッチしてくれた。

『阿吽の呼吸』は、息が合った人たちの行動や判断を第三者が言い表すために使われる場合が多い言葉です。しかしながら、この例文のように、相手が自分に対して息ぴったりに行動してくれた場合もにも、『阿吽の呼吸』を使うことができます。

類語や言い換え表現は?

『阿吽の呼吸』はどのような言葉に言い換えることができるのでしょうか? ここでは、『阿吽の呼吸』の言い換え表現・類語をご紹介していきます。

1:以心伝心(いしんでんしん)

言葉を交わさなくても心を通わせていることを意味する『以心伝心』。言葉なしに意思疎通ができることを言い表している点において、『阿吽の呼吸』の言い換えに使うことができます。

ただし、あくまでもそのような状態に焦点をあてた表現であるため、『阿吽の呼吸』が持つ、「息ぴったりの行動」については言い表すことができません。

2:シンクロ

『シンクロ』とは、『シンクロナイズ(synchronize)』を省略した言葉で、「同期する」「同時に起こる」という意味で用いられます。主に、複数人がぴったりと息の合った動きをする際に使うため、『阿吽の呼吸』に似た表現と言えます。日本語では「シンクロする」といった使い方がされる場合が多いです。

3:息がぴったり/息が合っている

互いの行動や判断がよく調和している様子を『息がぴったり』『息が合っている』と言うことがあります。『阿吽の呼吸』が持つ「言葉を交わさなくても」のニュアンスは薄まってしまう点に注意しましょう。

4:つうと言えばかあ

『ツーカー』『つうかあの仲』とも言い換えられる『つうといえばかあ』という言葉。「こう言ったらこう返せる、というほど、お互いの次の行動を理解している仲」を表した言葉です。『阿吽の呼吸』同様、お互いの息がぴったりである様子を言い表せる表現ですが、こちらには「言葉を交わさなくても」といったニュアンスはありません。

対義語は?

では、『阿吽の呼吸』の反対の意味を言い表したい場合、どのような言葉を使うことができるのでしょうか。明確に対となる「対義語」は存在しないため、反対の意味にあたりそうな言葉を探してみました。

1:同床異夢(どうしょういむ)

『同床異夢』とは、「同じ床で寝ていながらも、異なる夢を見ていること=おなじ境遇にありながら、別の考えや意図を持つこと」を意味した四字熟語です。判断や行動が一致する状態を表した『阿吽の呼吸』とは、反対に近い言葉と言えるのではないでしょうか。

2:蛙のつらに水(かえるのつらにみず)

『蛙のつらに水』とは、「相手から思ったようなリアクションが得られないこと」を、蛙に水をかけても反応がない様子に喩えたことわざです。『阿吽の呼吸』は、言葉も必要ないほどお互いが求める反応を息ぴったりに返しあえる様子を指すため、反対の言葉として使うことができます。

英語表現は?

『阿吽の呼吸』は英語ではどのように表現できるのでしょうか。最後に、『阿吽の呼吸』に近い意味を持つ英語表現をご紹介します。

1: have a great chemistry

“great chemistry”は、「とても良い相性」「息ぴったり」を意味する英語表現です。“They have a great chemistry”と言えば、「彼らは息ぴったりだ」という意味になるため、『阿吽の呼吸』に似た英語表現として挙げられます。

2:on the same wavelength

“on the same wavelength”は、「波長が同じ」「気が合う」という意味の言葉です。be動詞と組み合わせて“They are on the same wavelength.”と言えば、「彼らは息ぴったりだ」といった意味を言い表すことができます。『阿吽の呼吸』に似た英語表現として覚えておきましょう。

家族、友人、仕事仲間等々… 息ぴったりな様々な人たちに使える言葉

今回は、『阿吽の呼吸』の意味や語源、使い方、関連語までをご紹介してきました。『阿吽の言葉』は、家族や友人、恋人、仕事仲間、チームメイト等々、息がぴったりな様子であれば、さまざまな対人関係に対して使うことができる慣用句です。正しい使い方を把握して、ここぞという時に使ってみてくださいね。

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文・構成/羽吹理美

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