ビニールクロスならかなり落とせる
家の壁に、お子さんが落書きしてしまった経験はありませんか? 賃貸住宅ではもちろん大問題ですし、自分のマンションや持ち家でも「高い買い物なんだぞー!」と心の中で叫びたくなるかもしれません。
そこで今回は、ハウスクリーニングを全国で展開するおそうじ革命の櫻井恵さんに、クレヨン・ペン・絵具・鉛筆など文房具ごとの落書き対処法をオンライン取材で教えてもらいました。
大前提として、今回紹介する落とし方は、ご自宅の壁紙がビニールクロスだった場合。
「ビニールクロスとは、戸建ての一軒家だとか、賃貸住宅だとか、日本の一般家庭に広く普及している壁紙です」(櫻井さん)
調べてみると、日本の壁紙はそれこそ、9割近くがビニールクロスだとの情報もあります。
一方で、紙のクロス、織物クロス、木製クロスなどは、今から紹介する方法を使うと壁紙に水が染み込んで跡が残ることも。障子やふすまもNG。くれぐれも注意してください。
クレヨン・ペンの落とし方
まずは、クレヨンから。クレヨンには水性と油性があり、どちらのクレヨンで落書きしたかによって対応が変わってくるといいます。
「水性であれば、水でぬらしたスポンジで優しくこすってあげれば落ちます。
壁紙の凹凸に入り込んでしまったクレヨンは、先細の歯磨きで優しくこすってください。
強くこすってしまうと毛先が寝てしまうので歯磨きと同じく毛先を立ててこすります」(櫻井さん)
一方、油性クレヨンの落書きは対処法が変わる様子。
「油性の落書きの場合は、除光液、クレンジングオイル、漂白剤のいずれかをタオルに染み込ませ、優しくこすってください。
クレヨンが落ちたら、水ぶき・からぶきの順番で仕上げてください」(櫻井さん)
この落し方は、油性と水性の違いがあるペン(ボールペンを含む)も同じ対応になるそう。
ただ、クレヨンにせよペンにせよボールペンにせよ、油性の文房具の落書きだと、完全に落ち切らないケースもあるそうです。
その意味で、わが子の落書きが心配な数年間は、ビニールクロスの上から、落書き用のクロス(落書きを簡単に落とせるタイプ)を張ってしまうと安心みたいですね。落書き用のクロスは当然、不要になった際に簡単にはがせるそうですよ。
クレヨン・ペンの落とし方まとめ
■水性ペン・クレヨン:水でぬらしたスポンジで優しくこする
■油性ペン・クレヨン:除光液、クレンジングオイル、漂白剤などをタオルに染み込ませ優しくこする。仕上げは、水ぶきとからぶき。
絵の具の落とし方
家の壁に、子どもが油絵の落書きを描いてしまうケースはなかなか考えられないと思います。そこで、水性絵の具で落書きしてしまったケースを教えてもらいました。
「水性の絵の具に関してはすぐに、水ぶきをしてください。
壁紙の穴だとか凹凸に絵の具が入ってしまったらクレヨンの時と同じく、先細の歯ブラシの毛先をあてて、凹凸に毛先を入れるようなイメージで優しく動かしてください」(櫻井さん)
ただ、水性の絵の具に限らずいずれの文房具の場合でも、長い時間 放置した落書きについては対応が変わってきます。
「水性の絵の具をしばらく放置すると絵の具が固まってしまいます。
時間が経過し、絵の具が固まってしまった場合は、台所用の中性洗剤をタオルなどに染み込ませ軽くこすってください。
ただし、洗剤には薬剤が入っていますので、落書きを落とした後は水ぶき、からぶきを忘れずにしてください」(櫻井さん)
落書きを発見したら「すぐ動く」が基本的な姿勢になってくるのですね。
絵の具の落とし方まとめ
とにかくすぐ水ぶき。時間が経過してしまった落書きは中性洗剤で落とし、水ぶき・からぶきを忘れない。
鉛筆・色鉛筆の落とし方
次は、鉛筆・色鉛筆の落書きの落とし方です。
との話。凹凸に入り込んでしまった鉛筆の落書きは、消しゴムの角を穴に入れるようなイメージでこするといいみたいです。
ただ、油性クレヨンやペンのように、鉛筆にも油分の入った潤滑剤が含まれているため、落ちにくい場合もあるそうです。
その時は、クレヨン・ペンと同じく、クレンジングオイル、除光液、漂白剤のいずれかをタオルに染み込ませて優しくこすり、落書きが落ちた後に、水ぶきとからぶきをすればいいのですね。
鉛筆・色鉛筆の落とし方まとめ
とにかく消しゴム。落ちない場合は、クレンジングオイル、除光液、漂白剤のいずれかをタオルに染み込ませて優しくこすり、水ぶきとからぶきで仕上げる。
自然派素材で落書きを落としたい場合
油性の文房具で描かれた落書きを落とす場合は、クレンジングオイル、除光液、漂白剤のいずれかをタオルに染み込ませて優しくこするという話を紹介しました。
しかし、わが家の壁紙に、除光液や漂白剤を使えと言われると、ちょっとためらう人もいるのではないでしょうか。特に、賃貸住宅に暮らしていたり、買ったばかりの持ち家に暮らしていたりすると、ちょっとためらってしまうと思います。
何か、もっと優しい方法で、落書きを落とす方法はないのでしょうか。その点を聞くと、次のような回答がありました。
「さすがに、洗浄力は落ちますが、レモンやミカンの皮をしぼった汁をふきんに染み込ませ優しくふいてください。ミカンやレモンに含まれるリモネンという成分が、油汚れに強いという特徴があるからです。
他には、お湯とぞうきんも使えます。特に、時間が経過して固まってしまった落書きには、お湯を染み込ませたぞうきんでいったんふくと効果的です。
落書きが柔らかい状態になるので落ちやすくなります」(櫻井さん)
以上、プロに聞いた、壁紙の落書きの落とし方になりますが、いかがでしたか?
繰り返しますが、ビニールクロスに描かれた落書きの落とし方です。紙のクロス・織物クロス・紙製クロスの場合、固くしぼったタオルで軽くたたいて目立たなくする程度の対処しかできないと言います。
ちなみに、頼りになるビニールクロスでも、メラミンスポンジでこすったり、ドライヤーで温めて汚れを浮かせようとしたりすると、壁紙そのものが傷付いたり溶けたりするのでNGだと言います。あわせて、頭に入れておいてください。
[取材協力]
おそうじ革命・・・日本全国に展開するハウスクリーニング会社。家庭・オフィス・店舗・公共施設などのクリーニングに豊富な実績を持つ。再作業制度、物損保証、固定料金制など各種の制度が安心と利用者から好評。
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取材・文/坂本正敬