3男1女が全員東大から医師に !「佐藤ママ」のきょうだい育てのポリシーは「全員が一人っ子」と考えること

3男1女が全員、東京大学理科Ⅲ類(医学部)に合格、4人の子どもたち全員が東大卒医師となった「佐藤ママ」こと佐藤亮子さん。子どもたち一人ひとりの個性に合わせた、細かな学習サポート法が評判です。今回は4人のお子さんを育てた佐藤さんに、きょうだい関係をうまくする工夫をうかがいました。

4人きょうだいですが、「全員が一人っ子」と考え子育てをしました

私には長男、次男、三男、長女の4人の子どもがいます。長男と次男が1歳違い、次男と三男の年齢差は2歳、三男と長女は3歳差と年齢が近かったので、子どもたちが小さいころは家の中は大変な騒ぎでした。

4人を育てるにあたって私が決めていたルールがあります。それは次の2つです。

 ・役割を背負わせない

・誰にも嫉妬させない

弟たちに「お兄ちゃん」とは呼ばせなかった、そのワケは

 「役割を背負わせない」ためには、下の子が生まれても名前に「ちゃん」をつけて「○○ちゃん」と呼び、決して「お兄ちゃん」とは呼ばないし、呼ばせないことにしていました。下の子が生まれると親にとって上の子はかなり年上に見えますが、まだまだ小さくて親に甘えたい時期です。下の子が生まれただけで「お兄ちゃん」という役割を押しつけられたら上の子は釈然としないのでは?と思ったからです。

おやつの分け方は、等分かじゃんけん。年齢で差を付けない

 「誰にも嫉妬させない」についても徹底していました。たとえば、おやつを配るときは年齢にかかわらず同じ数と量を分けます。配った後で小さい子が食べきれない場合は上の子に譲ります。希望者が複数人いるときは、等分するかじゃんけんで決めます。

 ときどき、大人になってからきょうだい間がギクシャクして連絡を取り合うこともないという家庭の話を見聞きします。それは「いつも自分だけが我慢させられていた」「お母さんは下の子ばかりかわいがっていた」「お兄ちゃんはいつも多くもらっていた」という小さな不満や嫉妬が積もり積もった結果かもしれません。そうなったら悲しいですね。

 子ども一人ひとりを独立した人間として見る大事さ

やはり、「きょうだいは平等に」が基本ルールなのは間違いありません。そのためには子どもを兄弟姉妹という関係性で見るのではなく、一人ひとりを独立した人間として見ることが大事です。

私が「子どもは全員、一人っ子」と思って育ててきた大きな理由です。

 どの子の誕生日でも、プレゼントは全員に買っていました

保護者の方からよく、「うちの子たちはケンカばかりしています。どうしたらいいでしょう」という相談を受けます。わが家は小さな小競り合いはありましたが、子どもたちが毎日毎日ケンカばかりしていて、ほとほと困ったという記憶はありません。

ケンカの原因は何でしょう。1つには物の取り合いからケンカになるのではないかと思います。おもちゃが1つあって2人が同時にそれで遊びたくなって取り合いになり、どうしても力の強い上の子が有利になって下の子が取り返そうとして争うことが多いと思います。

確かに、小さい子どもは「このおもちゃで遊びたい!」という欲望を抑えて譲るということができないので当然だと思います。特に新しいおもちゃは子どもにとっては限りなく魅力的で独り占めして遊びたいに決まっています。でも1つしかない場合、順番を待つという気持ちを抑えることができません。それは当然のことなので、そこを叱ってしまうと、子どもには不満が残り心の中に溜め込まれ、いつか爆発することがあるかもしれません。

 そう思った私は、子どもの数だけおもちゃを買うことにしました。特に、誕生日にもらえるおもちゃは一番新しい流行のおもちゃで、子どもたちが心待ちにしています。1人だけもらえてあとは自分の誕生日まで指をくわえて待つのはかわいそう。そこで人数分を買ったのです。

長男が5歳の誕生日には4歳の次男、2歳の三男にも当時流行していた合体するロボットのおもちゃをプレゼントしました。3個となるとかなりの金額になり、「おもちゃにこの出費かあ」と思った記憶があります(笑)。

でも、せっかくの誕生日におもちゃの取り合いになって悲しい思い出が残るより、みんなで新しいおもちゃで遊んだいい思い出になるほうがいいと思い泣く泣く(笑)決断しました。

自分の誕生日でなくてもプレゼントがもらえれば、きょうだいの誕生日を楽しみに待つことができます。それが、きょうだい関係を良好にすることにもつながるとも思ったからです。

 ケンカになったら親の都合で判断しない。双方の言い分を聞きましょう

 もしケンカになったときはどうしたらいいでしょうか。

まず、親の都合で判断しないことです。たとえば、夜遅くにケンカが勃発したという場合。

「こんな夜中に大声出したらご近所迷惑でしょ」と叱ってケンカを強制終了させても子どもには理解できません。親にとっては「ご近所に迷惑」は大きな問題ですが、子どもにとっては関係なく、今、ケンカしている状況で頭がいっぱいです。現実とは無関係の論点で判断されても根本的な解決になっていなく、不満が残り親への不信感になります。

兄は一生「兄」、弟は一生「弟」

「お兄ちゃんだから我慢しなさい」とか「お兄ちゃんの言うことを聞きなさい」も絶対に言わないようにしてください。兄は一生兄で弟は一生弟なのでずっと我慢しないといけないことになります。あくまでも争っている内容で判断して仲裁しましょう。

 ケンカになったらまず双方の言い分を聞きましょう。子どもはケンカになった理由を親に聞いてほしいと思っています。

まず、「なぜケンカになったの」と聞きます。ケンカしているということは怒っている理由があるのでそれを聞いた上で解決策を示して納得させます。

「~~したら○○がこう言った」

「それは◎◎がこうだったから」

「だって~~だったから」

「そしたら◎◎がこうした」

というように細かくケンカに至るまでの経過を聴き取り調査します。その上で

「◎◎ちゃんの言い方が悪かったのかもしれないね」

「だからといっていきなり横取りしたら○○ちゃんも怒るよね」

などと問題点をあぶりだし、

「先に遊んでいたのは◎◎ちゃんだから、今は譲ろうか。ご飯食べ終わったら○○ちゃんが遊ぼうか。それでいいかな?」

と双方を納得させ、片方に我慢を強いることなく解決していきましょう。

お母さんも忙しいので、つい、「またやってる。静かにしなさい!」と大声を上げたり、適当にあしらいたくなる気持ちも重々わかりますが(笑)、ぐっとこらえて(笑)お互いが納得いくように仲裁してあげてください。

 下の子が上の子の勉強の邪魔をする問題

 保護者の方からのきょうだいケンカの相談で一番多いのが、「上の子どもが勉強しているときに、下の子が邪魔をしてケンカになるのはどうしたらいいでしょうか」ということです。

下の子はお兄ちゃんやお姉ちゃんに遊んでほしくて、勉強中の机の上の文房具を触ったり、ときにはお兄ちゃんお姉ちゃんに抱きついたりして、「うるさい」と怒られケンカになるようです。

対策としては上のお子さんと同時に下のお子さんもプリントなど年齢に合わせた勉強を始めたらいいと思います。どうしても下のお子さんの方が先に終わるのでそのときは別の部屋で遊んでいてもらえばいいと思います。条件が許せば外遊びに連れ出してもしてもいいでしょう。

 もし上のお子さんが受験を控えているなら、上のお子さんが勉強しやすい環境を整えてあげましょう。同じ部屋で下の子が遊んでいたらお兄さんお姉さんも気が散ったり一緒に遊んだりしてしまうことになるので、そこは家の中、部屋の中の雰囲気を〝勉強〟モードに変えてください。

下のお子さんには「○○ちゃんは受験だから協力してね。あなたが受験生になったら協力してほしいと思うでしょう?」と話して邪魔しないように伝えてください。

 実は、この相談をあまりにも多くの方からいただくので、わが家の一番下の長女に、「お兄ちゃんたちが受験勉強している間、邪魔したいと思ったこと、ある?」と聞いてみたことがあります。すると長女は言いました。「とんでもない。お兄ちゃんが勉強しているときは、まるで勉強のオーラに包まれているような感じだったから、とてもじゃないけれど邪魔できる雰囲気ではなかったわ」と。

高校卒業まで続いた、きょうだい全員「リビング学習」

わが家では、リビングルームに机を4つ置いてそれぞれが勉強するリビング学習のスタイルをとっていました。誰かがどうしても集中したいときだけ、2階の部屋を使って1人で勉強することもありましたが、小学校時代から高校卒業まで受験期を含めずっと4人が同じ部屋で勉強していました。

長女は小さいときから勉強する兄たちの姿を見て育っていました。普段は家でのんびりしている兄たちですが、いったん机に向かって勉強を始めると集中するのでその気迫に押されて邪魔しようとは思わなかったということでしょう。

私は子どもたちにはたとえ易しい計算プリントを解くときでも、疎かにしないで一生懸命にやりなさいと言いきかせていました。ですから勉強するときは集中していたのだと思います。

下のお子さんに邪魔しないようにいい聞かせるとともに、勉強の環境を整え、どんな勉強でも一生懸命にすることを上のお子さんに伝えるのも、この問題を解決するヒントになるかもしれません。

 わが家の4人の子どもたちは仲がよく、小さいころは一緒に遊び、上の子が下の子に勉強を教えたりして協力し合って育ってきました。長女の大学受験のときは模試の度に兄たちにメールで結果を報告して、アドバイスをもらったりもしていました。

志望校に合格できたのはもちろん本人の努力の賜物ですが、きょうだいのサポートがあったからだと思います。きょうだいがいるのは素敵なことだと思います。現在はそれぞれの道で頑張っていますが、今後もときどきは集まって食事したり近況報告したりして仲良くしてほしいというのが私の願いです。

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教えてくれたのは

佐藤亮子さん|教育アドバイザー

大分県生まれ。津田塾大学英文科卒業後、高校で英語教師に。結婚後、3男1女を育て、全員が東京大学理科Ⅲ類から医学部医学科を卒業する。母親ならではのきめ細かい学習サポート法が注目されている。進学塾「浜学園」でアドバイザーとして活動するほか、様々なメディアで発信している。著書に『3男1女東大理Ⅲ合格百発百中 算数 国語 絶対やるべき勉強法』『3男1女全員東大卒医師に!一点集中ムダ取り勉強法』(幻冬舎)などがある。

構成/今津朋子 写真/岡本尚樹(佐藤さん)

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