グリーンのあるお部屋がステキ!エシカルライフ研究家RIRIKOさんに聞く「ムリなく心地よく暮らすコツ」

SDGsという言葉はよく聞きますが、実際に私たちにはどんなことができるのでしょうか。環境や社会問題に配慮した「エシカルな暮らし」のアイデアを発信されているエシカル研究家の梨田莉利子さんに、すぐにでもできる暮らしのコツを伺いました。

お話を伺ったのは…

エシカルライフ研究家の梨田莉利子(RIRIKO)さん(撮影/石川 奈緒子(『今すぐマネできる エシカルライフ118のアイデア図鑑』梨田莉利子(日東書院本社)より)

「今日も”ゆるっと”エシカルに」をテーマにSNSで発信を続ける、エシカルライフ研究家の梨田莉利子(RIRIKO)さん。書籍『暮らしは楽しくエシカルに。』(時事通信社)につづき、9月には『今すぐマネできる エシカルライフ118のアイデア図鑑』(日東書院本社)を発売したばかりです。

子どもの離乳食がきっかけで「エシカルライフ」を意識するように

部屋にいながら「木陰で読書」もできるというRIRIKOさんのお部屋。

―RIRIKOさんのグリーンのあるお部屋がとても素敵ですね。

RIRIKOさん:ありがとうございます。幼い頃から「森の中に住みたい」という憧れがあって。コロナ禍の頃から少しずつ部屋の中に観葉植物を増やしてきました。カーテンレールにポトスのつるや葉っぱを絡ませたり、エバーフレッシュやウンベラータなど大きめな木を育てたりしているうちに今の状態になりました。インスタグラムで我が家のインテリアの雰囲気を気に入ってフォローしてくださる方も多いです。

―RIRIKOさんがエシカルな暮らしを始めたきっかけは何ですか?

RIRIKOさん:実は結婚するまでは外資系の化粧品会社で働いていて、エシカルや環境問題なんて考えたこともありませんでした。転機になったのは長男が離乳食を始めた頃のことです。彼はすごく味覚に敏感で、同じ料理でも食べるものと、食べないものがあったんです。たとえば、出汁をちゃんととったお味噌汁は喜んで食べるのに、顆粒だしやインスタントのお味噌汁だと全然食べてくれない。野菜やお肉も、同じ料理なのに食べるものと食べないものがあったんです。

そこから私も「食」に興味が出てきて、オーガニックとか、自然な美味しさのものを選ぶようになってきました。そういうことに興味がでると、次第に環境や社会問題のことなども耳に入ってくるようになり、普段の暮らしから「エシカル」を意識するようになりました。

―RIRIKOさんにとってのエシカルとは何ですか?

RIRIKOさん:エシカルって「倫理的な」とか「道徳的な」という意味なんです。最近は環境問題に関することが注目されがちですが、それだけではなく、生き方や働き方、自分自身の心のあり方が常に倫理的、道徳的であることが大切だと思っています。

私の暮らしで基本にしていることは

「プラスチックごみを減らすこと」
「ものを増やさず、大切に使うこと」
「なるべく環境・社会にやさしいものを選ぶこと」

の3つです。

ただ、いくら環境のためによいことをしていても、他の人の暮らし方に対して「それはダメ!」「間違っている!」と強く言うことは、エシカルな考え方には反すると考えています。ですから私は「こういう生き方もあるよ」という一つの案として発信することを心がけています。

「消耗品」や「使い捨て」を見直すと、暮らしが快適に

フローリングシートの代わりに、繰り返し使える「さらし」を活用。

―エシカルライフをされていて、快適だと思う点はどこにありますか?

RIRIKOさん:大きいのは 「ゴミが出にくい」ということですね。例えば、ドラッグストアに行くとトイレ用の洗剤だけでもとてもたくさんの種類のものが売られていますよね。洗濯洗剤にいても「○○専用」のようなものが本当にたくさんあります。でもそれらをあれこれ買いはじめると物も増えるし、ゴミもどんどん増えていきます。

我が家では掃除や洗濯に使う洗剤は、石けん(粉・固形)と重曹、クエン酸と酸素系漂白剤だけ。これだけで家中をきれいにすることができます。娘も含め子どもが3人とも野球をやっているのですが、ユニフォームの泥汚れも石けんが一番よく落ちます。ユニフォームに粉石けんを振りかけて、たわしでゴシゴシこするだけなのですが、泥用洗剤よりもよく落ちるので本当におすすめです!

トイレットペーパーは無包装で芯なし・再生紙使用のものをダンボール入りでどんと買っています。使い切るたびにゴミも出ず、捨てる手間もないので快適です。

「エシカルライフ」「オーガニックライフ」というと、「意識高そう」「お金がかかりそう」と思われることが多いのですが、繰り返し使ったり、工夫して使い回したりすることで節約になっている面が多いです。

便利という名のもとにあれこれ購入して使いきれていなかったときの方が無駄が多かったと思います。あるものでやりくりしようとするので工夫が必要ですし、頭も使いますが、「あのストックが切れてる!」「これも買わなきゃ」というストレスからは解放されましたね。

それに、自分の行動がほんの少しでもどこかで誰かの役に立っている、何かのためになっていると感じられると、生きている上で心地がよいと感じます。

―RIRIKOさんのようなエシカルライフに興味を持ったら、まずはじめにどんなことから取り組むのがおすすめですか?

「お皿ップ」 ならば、ゴミが出ません。

RIRIKOさん:すぐにできることとしては、「消耗品の見直し」だと思います。便利だと思って買っているものも、視点を変えると、実はなくてもなんとかなるものって多かったりしますよね。例えば、お掃除に使うフローリングシートや、食品用ラップやキッチンペーパーは一度使えばゴミになります。それを少し見直して、例えばラップの代わりに蓋つきの保存容器を使ったり、上の写真のようにお皿をかぶせて「お皿ップ」にすれば、ゴミは出ません。

食器洗いやお掃除などさまざまな用途で使える「へちまたわし」。

もうひとつは「食器洗いスポンジの見直し」です。一般的なスポンジはプラスチックでできているので、ボロボロになると破片がマイクロプラスチックとして流れて、最終的に海に流れてしまうんです。ですから、それを自然素材のセルロースやヘチマのスポンジやたわしに替えるだけでも、環境にやさしい生活にできると思います。

「そういうものって高いのでは?」と思われるかもしれませんが、私が使っているへちまたわしは、100円ショップなどで体洗い用として売られているもの。使いやすいサイズに切れば、手にもなじみやすいです。

「さらし」も大活躍!ペットボトルやプラスチックゴミも無理なく減らしてみよう!

ペットボトルのゴミを減らすコツ

マイボトルを持ち歩くことが、ペットボトルを減らす第一歩に。

―子育てをしていると特に、ペットボトルやプラスチックごみが多くなってしまうのですが、何か対策はありますか?

RIRIKOさん:ペットボトルやパッケージなどのプラスチックごみをゼロにするのは無理ですよね。そこを目指してしまうとすごくしんどくなってしまうのでおすすめしません。

まずペットボトルを買わずに済むのは、やはりマイボトルを持ち歩くことですね。カフェに行く時もタンブラーやマイボトルを持っていくとゴミを減らせます。

もしボトル入りの飲み物を買うなら、ペットボトルではなくアルミ缶入りのものを選ぶのもおすすめです。アルミは再生率100%といわれていてリサイクル率の高い素材なので、そういったものを選んでみてはいかがでしょうか。無印良品でもペットボトルの代わりにアルミ缶入りのいろいろな飲み物が販売されています。

我が家も子どもたちがスポーツをやっているのでわかるのですが、スポーツドリンクが必要なときってありますよね。そういう時は500mlのペットボトルを人数分買うのではなくて、2リットル入りなど大容量のものを買って、それぞれの水筒に入れるようにすればゴミの数を減らすことができると思います。

パッケージなどのプラスチックごみに関してはなかなか難しいのですが、お野菜だったらできるだけばら売りのものを購入したり、道の駅のような農家さんがそのままお野菜を持ってきて売っているようなところを探すというのも一つの手です。

それでもどうしてもゴミは出てしまうので、使い終わったパッケージの袋を家で再利用するというのもよいと思います。我が家は犬を買っているので、お散歩のときに再利用の袋を持っていくようにしています。

生ゴミの処理には植木鉢が活躍

生ごみをコンポストに入れたら、スコップでざくざくと切り混ぜます。

―生ごみはどのようにされていますか?

RIRIKOさん:私は木のりんご箱で作ったコンポスト(生ごみなどから堆肥を作るもの)を使っていますが、虫やにおいなどが心配でなかなかコンポストにチャレンジできないというお話を聞くことも多いです。でも、100%コンポストを使おうと思わなくても、植木鉢などに黒土を入れてお皿でふたをするだけでも簡単なコンポストができます。野菜のへたや皮だけを入れれば失敗も少ないと思います。

また、オーガニックなど無農薬の野菜を皮ごと食べるようにしています。調理の手間も省ける上に、栄養もとれますし、ごみも減らすことができます。

台所の万能選手「さらし」の活用法

さらしは、使いかけの野菜を保存するのにもぴったりです。

―RIRIKOさんの著書でも使い方が紹介されている「さらし」についても教えてください。

RIRIKOさん:さらしって今はほとんど台所から消えてしまっていますが、キッチンペーパーのない時代には、お出汁をこしたり、水を切ったりとか日常生活でたくさん使われていたものです。私は葉物野菜の水切りや、使いかけ野菜の保存に使ったり、コーヒーフィルターがわりにしたり、固く絞っておむすびをむすぶときに使ったりと、本当に色々な場面で使っています。

「どこで売っているんですか?」とよく聞かれますが、和装店や手芸品売り場を探すと見つけられるはず。私は無漂白でオーガニックコットンのものを選んでいますが何メートルか入っていて2000円もあれば購入できるので、使いやすいサイズに切って何度も繰り返し使い続けることを考えればお財布に優しいです。

お手入れは、1日の終わりに(夏場は使い終わったらすぐ)軽くゆすいでからお鍋で煮洗いします。においや色が気になる時は重曹(食品基準のもの)を入れて洗い、干しておくだけです。はじめは食品に使い、くたびれてきたらフローリングシートの代わりにしたり、鏡を拭くのに使ったりとお掃除に使っています。

脱完璧!ストレスなく「エシカルな暮らし」を続ける方法

RIRIKOさんのキッチン。瓶やさらしなど繰り返し使えるものがたくさん。

―自分は「エシカルな暮らし」をしたいのに、家族や周りの人の理解を得られないときはどうしたらよいでしょうか?

RIRIKOさん:私もはじめは 完璧にしなきゃいけないという気持ちが強く、家族にも理解してほしいと思っていました。でも子どもが大きくなるにつれて、やはり自分の思い通りにはいかない部分がたくさん出てきますし、子どもどうしでも付き合いはあるので私の考えを押しつけるのは違うなと思うようになりました。

著書『暮らしは楽しくエシカルに』にも書いたのですが、私と家族はあくまで別の人なので、「ゆずり愛」の精神で、家族の行動には口出ししないようにしています。以前はいただきもののプラスチック製品やペットボトルにモヤっとすることもありましたが、今は「いただきものは大切にする」ことを心がけています。

ただ、たとえばキッチンにラップやキッチンペーパーはないので、それには慣れてもらうしかなく(笑)、主人からは最初は「何で?」といわれていましたが、今は何も言われなくなりました(笑)。

また、先ほども言いましたが我が家は子どもたちがみんな野球をやっているので、チームの方から例えば「ビニール袋を持ってきてほしい」となどと頼まれることもあるんですね。そういう場合は、チームの方針に応じています。関係性を壊したり、子どもに無理なことをさせたりしてまでのエシカルライフというのはないと思っていて、その分、私は他のところで工夫しようとか、頑張ろうという気持ちを切り替えています。

―「エシカルライフ」というとハードルが高く感じる方も多いかもしれませんが、RIRIKOさんのアイデアは無理なく、楽しみながらできることばかり。できそうなものがあれば、ぜひ今日からでも試してみてください!

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お話をうかがったのは

梨田莉利子|エシカルライフ研究家
大阪の郊外で、夫+3人の子ども+保護犬1匹の6人家族でエシカルな暮らしを実践している。2022年6月に開設したインスタグラムアカウント「エシカルなまいにち」は、その年のインフルエンサーアワードジャパン・WELL-BEING部門で優秀賞を受賞。現在は15.4万人のフォロワーがいる。2023年には書籍『暮らしは楽しくエシカルに。』(時事通信社)、2024年9月には『今すぐマネできる エシカルライフ118のアイデア図鑑』(日東書院本社)も出版。エシカルな暮らし方のコツや工夫を紹介する講座やセミナーも人気。ラジオでは、これからの生き方やエシカルな働き方など、違った角度からの発信もしている。本業はライター。
Instagram :@ethical_ririko
YouTube :エシカルな暮らしのノオト

取材・文/平丸真梨子

写真/トップ画像『今すぐマネできる エシカルライフ118のアイデア図鑑』より(著者/梨田 莉利子 出版社/日東書院本社 カメラマン/石川 奈都子)
その他
写真提供/ 梨田 莉利子

今回の記事で取り組んだのはコレ!

  • 12 つくる責任つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を

SDGsとは?

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