エシカル視点がチョコレート選びの新基準に
2022年1月、株式会社クリーマが行ったバレンタインに関するアンケートでは、チョコレートを自分用に購入する人が前年比140%という調査結果が出たとのこと。
長引くコロナ禍により、自分を労わりたいという「ご自愛ブーム」が影響しているようです。
また、自分用に購入する際に注目するポイントは「食材・素材にこだわったもの」「お家時間を楽しめるもの」など様々な理由が挙げられている中で、「エシカルなもの(フェアトレードや環境への配慮)」と答えた方が12.7%いるのだそう。SDGsへの注目が高まる中で、チョコレートの購入にも環境や人権に関する視点を持つ人が増え始めていることがわかります。
自分用にチョコレートを購入するなら、どんなものがいいですか?
「エシカル」って?
エシカルとは「倫理的」と言う意味。消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うことを「エシカル消費(倫理的消費)」と言います。(参考:消費者庁)
チョコレート業界でエシカルの先駆けは「Dari K」
2011年、京都で創業したチョコレートブランド「Dari K(ダリケー)」は、従業員数が20名(※2021年3月現在)ながらも、インドネシアの生産者とともにカカオ豆を栽培。チョコレートの製造・販売まで一貫して手掛ける、知る人ぞ知るエシカルチョコレート先駆けの企業です。2015年からパリのサロン・デュ・ショコラに毎年出展。国際的なチョコレートの品評会C.C.Cでは2015年から4年連続で受賞しており、味にも妥協しないチョコレートブランドです。
バレンタイン期間中セブンイレブンとコラボも
昨年に引き続き、バレンタイン期間中はセブンイレブンでもDari Kの商品を買うことができます。「カカオ農家の収入の安定と向上を図る」というDari Kのミッションに共感したセブン-イレブンとコラボレーション。
今年は、まろやかな甘みのいミルクトリュフと、Dari K初のピスタチオフレーバーをアソートにした「ピスタチオ&ミルクトリュフ」。ミルクに加え、ストロベリーの酸味が引き立つストロベリーフレーバーの「ストロベリー&ミルクトリュフ」の2種類。売り切れ次第終了ですので、見つけたら買い!です。
そんな「Dari K」は、さらなるSDGs(持続可能な開発目標)の実現を目指し、2022年1月14日をもって大手菓子メーカー「ロッテ」の子会社となりました。
安くておいしいチョコレートの裏側を見てみると…
開発途上国の生産者と、先進国の消費者が対等な立場で行う貿易のことを「フェアトレード」といいます。生産者が適正な支払いを受け、労働環境を整備することで、生活の向上を図ることが目的です。
しかし、チョコレートとフェアトレードがどう関係するのでしょうか。そこで、生産者の努力が報われる社会の実現を目指すチョコレートメーカー「Dari K」さんに、お話を伺いました。
児童労働で成り立つカカオ農園
―チョコレートとフェアトレードは、どのような関係があるのでしょうか
Dari K「カカオ農場では、児童労働がしばしば問題となります。“生産者のモラルが低いから”と言う人もいますが、そこには理由があります。
カカオ豆の価格は、カカオを育てた生産者ではなく、買い取るバイヤーでもなく、ニューヨークやロンドンの国際相場で決まります。どんなに頑張って質の良いカカオを作っても、適当にカカオを作っても同じ値段で取引されてしまうのです。
昨今は気候変動の影響で開花のタイミングが遅れ、収穫量が減少する年もありますが、そこに対する補償もありません。そのため、働いても生活していけないレベルの収入になってしまい、子どもに労働をさせなければ生活していけないのです。
立場の弱い生産者が作るカカオを、フェアトレードにより正当な価格で購入することは、彼らの労働条件や所得を向上させ、児童労働の防止にもつながるのです。」
不公平な貿易の仕組みも
―Dari Kさんはどのような取り組みをしているのでしょうか。
Dari K「フェアトレードの取り組みは広がってきていますが、品質を問わず一律でフェアトレードの価格を払うことは単なる寄付にすぎません。Dari Kは、たとえば本来1袋100円の価値のカカオ豆を125円で買い取ることはせず“高品質なカカオ豆を生産したら125円で買い取ります”と条件付きで提案します。そして、おいしいカカオ豆に必須となる発酵作業の技術を指導し、品質に応じて買取価格を設定しています。この仕組みにより、“がんばれば質の高いカカオを生産して所得があがる”というモチベーションを与え、生産者・チョコレート加工者・消費者の3者全てが、Win-Win-Winの体制を構築しています」
フェアトレードマークはいらない?
フェアトレードのチョコレートを見分ける方法は、国際フェアトレード基準が守られていることを証明する「フェアトレードマーク」を目印にするのが1つの方法です。ただ、Dari Kさんが展開するチョコレートには、フェアトレードのマークをつけていないのだそうです。
Dari K「私達は、フェアトレード認証をつけて、“エシカル商品だから”という理由だけでお客様に買っていただきたいとは考えていません。それは付加価値ではなく当たり前だからです。“おいしいから、好きだから買った。そしたら社会にも貢献していた”。そんな世界になることを祈っています」
Dari Kさんのように、フェアトレードマークをあえてつけていないチョコレートメーカーもあるかと思います。購入の際にホームページなどを見て、ポリシーや取り組みをチェックしてみると良いかもしれないですね!
子どもと一緒にチョコの背景を考えたい
Dari Kさんのお話をお聞きし、普段何気なく食べているチョコレートの背景に、児童労働の問題があることを知りました。
Dari Kさんのように、行動に移しているチョコレートメーカーは他にもあります。私達消費者側も、正しい情報を取り入れ、意識と行動を変えていくことが、世の中を変える一歩につながるのではと感じました。チョコレートを目にする機会が多くなるバレンタイン。お子さんと一緒に、世界の子どもにも想いを巡らせてみませんか。
お話を伺ったのは…
「生産者、消費者、環境。みんなが笑顔になれるAll-win Chocolateを作りたい」という想いのもと、生産者とともに質の高いカカオ栽培に取り組み、自ら輸入し、香り高いチョコレートを送り出す。
Dari K【公式】サイトはこちら≫
構成/HugKum編集部 文/寒河江尚子