「エシカル」ってどんな意味?末吉理花さんに聞く「地球の未来を変える暮らし方」【親子で学ぶSDGs】

SDGsとは、Sustainable Development Goals の略で、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」。これは、国連で採択された、2030年までに達成を目指す17の目標と具体的な行動計画のことです。最近、よく耳にする(目にする)SDGs を「キーワード」を通して学びながら、暮らしの中でできることを実践! 子どもと一緒に「生きたい未来」をクリエイションしましょう。

 

今月のキーワード : エシカル

エシカルとは、自分と他の人々、地球環境、動植物すべてに心を寄せて生きること

ファッション業界でよく耳にするエシカル。直訳すると「倫理的な」という形容詞ですが、一体どんな考え方なのでしょうか。世界80か国を旅した経験から一般社団法人エシカル協会を設立した末吉里花さんにお話を伺いました。

写真提供/©一般社団法人エシカル協会

末吉さんの人生を変えることになったキリマンジャロ登頂。この頂上で、現在の活動をすることを決意。

 

──エシカルとは、どんな意味なのでしょうか?

末吉里花さん(以下、末吉)人や地球環境、社会や地域に対して思いやりのある行動や考え方のこと。見えないところでさまざまな人や自然と繫がって、私たちはこの地球上で生きることができます。その繫がりがどうなっているのかを意識することが、エシカルな暮らしだと思います。

──具体的には、どんな繫がりを意識すればいいのでしょうか?

末吉 協会では、エシカルな視点を取り入れた暮らしの中で、消費を通じて社会を変えていきましょうとお伝えしています。食べ物、洋服、エネルギーなど、何気なく消費しているものは、どこから来ているのか、まずはその背景に意識を向けることから始めることをお勧めしています。知らないうちに、児童労働によって作られたものを食べているかもしれませんし、環境に負荷をかけて生産された服を身につけているかもしれません。自分が買おうとしている商品は、どんな点に配慮をしたものなのかを知ることが大切。世界を変えるなんて無理と思いがちですが、消費を変えるだけで、誰もが社会解決のアクションを起こすことができるのです。

──末吉さんは、どうしてエシカルに興味を持ったのですか?

末吉 仕事で世界の秘境を訪ねることが多く、その旅を通じて、たった一握りの権力のために、自然や人が犠牲になっていることを知り、胸が痛くなりました。ターニングポイントになったのは、2004年に取材のために訪れたキリマンジャロの登頂です。地元の子どもたちの切なる祈りもむなしく温暖化の影響で溶解が進んでしまっている氷河の様子を目の当たりにしショックを受け、地球の問題を解決する活動をしていきたいと心に決めました。

 

──エシカル協会では、どのような取り組みをしているのですか?

末吉 エシカルという考え方を知っていただくために、講座などを開催しています。エシカル・コンシェルジュ講座には、中学生からご年配の方まで幅広い年代の方に参加いただき、現在約1700名のコンシェルジュが誕生しています(2021年2月時点)。小中高などの教育現場や、行政、企業に呼ばれて講演をしたり、エシカル消費を体感しながら学べるワークショップなども行っています。

写真提供/©一般社団法人エシカル協会

 

エシカル消費をテーマにワークショップを開催

子どもたちに向けた講演会も行っている末吉さん。消費者庁主催のイベントで行ったワークショップも大好評。消費者庁のサイトには、エシカル消費に関する詳細がアップされています。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/ethical/

 

──子どもたちの反応は?

末吉 洋服やおやつ、サッカーボールなど、身近にあるものがどこから来ているのかを知り、自分たちができることを考えようという授業をしたときのこと。サッカーボールは生産背景に児童労働の問題が潜んでいる場合があり、同じ年頃の子が学校にも行けずに働かされていることに衝撃を受けたようです。「なぜ大人は、そのことを知っているのに解決しようとしないのか?」「エシカルという大切な言葉を、今まで誰も教えてくれなかった」という感想が印象に残っています。

──親子でできるエシカルな暮らしのアドバイスをお願いします。

末吉 たとえば、毎日の生ゴミを堆肥に変えるコンポストを導入したり、プラスチック製品をなるべく使わないようにしたり、買い物のときに「本当に必要かどうか」を確認したり、近所のお店にエシカルな商品を置いてほしいとリクエストを出したり。完璧を目指さずに、小さな一歩を踏み出せば、誰もが解決の一部になれます。ぜひ、どんなことができるのかを話し合って、エシカルな暮らしを楽しんでみてください。

写真提供/©一般社団法人エシカル協会

末吉さんが暮らしの中で実践しているエシカルなこと

a.自分でオーガニックコットンを育て始めた末吉さん。「コットンを作るのがいかに大変かを実感できました」。

b.ミツロウラップ&シリコンカバー。「できるだけプラゴミを減らしたくて切り替えました」。

c.アルミ缶のプルタブで作ったポーチ。「ブラジルの貧困層の女性たちが作っています。リパーパスのプロダクトです」

 

 

文/末吉里花 絵/中川 学山川出版社1500円+税

エシカルという深遠なテーマを、楽しくわかりやすく伝えてくれる絵本。親子で一緒にページをめくることが、エシカルな暮らしへの第一歩となるでしょう。

親子で体験! 6R のルールで家の中をチェックしよう

暮らしの中で「エシカル」を体験できる、簡単な方法を末吉さんから教えてもらいました。自由研究のテーマにもピッタリです!

上述した6つのR に照らし合わせながら、親子で家の中にあるものをチェックしてみましょう。たとえば我が家では、ゴミをどれだけ出していて、どんなゴミがあるのかを書き出し、重さを量り、どうやったら減らせるかアイデアを出し合って実践。その後にゴミの重さを量って、どれだけ減ったのかを数字で見える化をしました。コンポストを導入したり、プラスチックの代替品を選んだり、子どもと一緒に、暮らしの中でいろいろと学ぶことができます。

 

記事監修

一般社団法人エシカル協会代表理事
末吉 里花

一般社団法人エシカル協会代表理事。日本ユネスコ国内委員会広報大使。慶應義塾大学総合政策学部卒業。TBS系『世界ふしぎ発見!』のミステリーハンターとして世界各地を旅した経験を持つ。持続可能な社会を実現させるため、日本全国の自治体や企業、教育機関で、エシカル消費の普及を目指している。2021年から使用される中学1年生の国語の教科書(教育出版)に執筆。著書に『はじめてのエシカル』(山川出版社)ほか。東京都消費生活対策審議会委員、日本エシカル推進協議会理事、日本サステナブル・ラベル協会理事、地域循環共生社会連携協会理事、ピープルツリー・アンバサダーほか。 https://ethicaljapan.org

『小学一年生』2021年5・6月号別冊 構成・文/神﨑典子 写真/©一般社団法人エシカル協会

 

1925年創刊の児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターとともに、子ども達各々が自身の無限の可能性を伸ばす誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載し、HugKumの監修もつとめています。

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