テスト前日の夜になって、お子さんが焦りながら教科書を読んだりドリルを解いたりする姿を見かけたことはありませんか。まだ小学生なのに、テスト前日の勉強だけでテストを乗り切ろうとする姿に、不安を覚える保護者の方もいるでしょう。
RISUの30億件の学習データの分析によると、短時間の学習をコツコツと継続するほうが明らかに学習効果が高いことが分かっています。
今回は、テスト前日に焦って勉強することが非効率である理由や、効果的に学力を身につけるために大切なポイントをご紹介します。
テスト直前に焦って勉強するのは逆効果!
なんとか明日のテストで良い点を取ろうと、一夜漬けで頑張る子もいるでしょう。しかし、その勉強法は効率が悪く、長期的に見ると成績アップのためには逆効果ともいえます。その理由を具体的に見ていきましょう。
一度に長時間の勉強は身に付きにくい
タブレット型教材のRISU算数では、子どもの勉強開始時間や1回あたりの勉強時間などの詳細な記録をもとに、30億件以上のデータを分析しています。
その結果、「1回に長時間勉強するタイプ」と、「短時間の勉強を何度もするタイプ」とでは、長時間勉強するタイプのほうが学習スピードが10%も遅いことが分かりました。
つまり、長時間勉強するタイプは効率が悪いため、トータルの勉強時間が同じ場合でも、短時間勉強タイプより勉強内容が身に付きにくい傾向があるのです。
夜更かし勉強は効率が悪い
夜遅くまで勉強するのも効率性を下げる一因となります。RISUのデータでは、午前10時までに勉強する「朝型」を100とすると、20時以降に勉強する「夜更かし型」の学習スピードは73%、勉強の継続力は48%でした。
20時以降というと、起床してから12時間ほど経過しており、脳も身体も疲れが溜まっている時間帯です。疲労が蓄積している状態で勉強しても、効率が上がらないのは当然だといえるでしょう。
睡眠不足が記憶の定着を妨げる
テスト前に寝る間を惜しんで勉強する弊害は、科学的にも明らかです。
人間は寝ている時、記憶を整理する「レム睡眠」と脳が休息する「ノンレム睡眠」のセットを3~5回ほど繰り返しています。特に、記憶の整理や定着が行われるレム睡眠は、勉強と密接に関連しています。しかし、睡眠時間が少ないと、その分レム睡眠を迎える回数が減り、記憶の処理を行う時間が減ってしまうのです。
つまり、寝る時間を削って勉強したとしても、睡眠不足では十分に記憶の定着が行われない可能性があります。
勉強はコツコツと計画的に進めることが大切
ピアノやサッカーなどの習い事は、毎日の練習やトレーニングが上達するために必要不可欠ですが、勉強も同様にコツコツと計画的に進めることがとても大切です。
RISUで集計したデータを分析すると、勉強した分だけ成績が伸びている子どもの勉強スタイルには、ある特徴が見えてきました。
効率の良い学習時間は「1回20分程度」がおすすめ
効率良く勉強するには、「短時間の学習を積み上げる」ことをぜひ意識しましょう。人間の集中力はそれほど長くはありません。大人でも、1時間集中し続けるのは意外と難しいものです。小学生であればなおさら、1回の勉強は短時間のほうが集中して勉強に取り組みやすくなります。
ただし、いくら短時間のほうが良いとはいえ、短すぎても効率が落ちてしまいます。同じ学習量であっても、1回の勉強時間が10分未満の子どもは、そうでない子どもと比べて学習スピードが遅いということがRISUのデータから分かっています。10分未満の「すきま学習」の効果は限定的なため、1回の勉強は20分程度は確保することをおすすめします。
できるだけ毎日勉強を継続しよう
勉強は週に5~6日、できるだけ毎日行うのが理想です。その理由は「前の勉強から時間が空かない」ほうが勉強効率が高まるためです。
1週間に2日60分の勉強を計120分する場合と、1週間に6日20分の勉強を計120分する場合を比べてみましょう。前者は勉強間隔が2~3日空きますが、後者はほぼ間隔が空きません。3日前のことを思い出すのと、前日のことを思い出すのとでは、前日のほうが簡単ですよね。
前回の勉強から間が空くと、覚えたことを忘れてしまったり、思い出すのに時間がかかったりするため、なるべく時間が空かないような勉強スケジュールを組むようにしましょう。
継続するためにできる工夫とは
子どもが毎日勉強するにはどうしたら良いのか、頭を悩ませる保護者の方も多いことでしょう。ここでは、毎日のように「勉強しなさい!」と言わずとも、子どもに勉強習慣を身につけさせるためにできる工夫を2つご紹介します。
1つ目はご褒美作戦です。上手に活用することで子どものモチベーションを保つことができます。
たとえば、「算数ドリル2ページ分がすべてマルになったらおやつの時間」のように、具体的に何ができたらご褒美がもらえるのかを明確にしましょう。「宿題が終わったらおやつ」としてしまうと、終わらせることが目的となり答えを書き写すことも考えられるため、声掛けの内容に注意しましょう。
2つ目は、日常生活と勉強時間を関連付けて習慣化する方法です。
たとえば、「夕飯を食べる前に宿題をする」や「お風呂の後に塾の課題をする」など、日々の生活で必ず行うことと勉強をセットにします。行動パターンに勉強が組み込まれると、自然と机に向かいやすくなるため、勉強習慣を身につけるきっかけになるでしょう。
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勉強は朝型がおすすめ! 夜はしっかり休もう
「朝はギリギリまで寝ていて時間がない!」という場合もあるかもしれませんが、効率面を考えると、勉強は夜より朝のほうがおすすめです。ここでは、朝に勉強するメリットや、夜の過ごし方などをお伝えします。
朝型学習のメリットとは
朝型のメリットにはおもに次の3つがあります。
・短時間で集中しやすい
・夜よりも誘惑が少ない
・朝からしっかり頭を動かせるようになる
朝型は「朝食後から学校に行くまで」のように限られた短い時間を学習に充てるため、自然と集中しやすくなります。また、朝の時間帯はアニメやバラエティ番組などの誘惑が少ない傾向にあり、気が散ることなく勉強に取り組む環境が整えられるのもメリットです。
さらに、テストは朝から開始されることも多くあります。日頃から朝にしっかり頭を動かす習慣ができていると、本番当日も落ち着いて試験に臨めるでしょう。
とはいえ、朝型勉強はある程度朝の時間に余裕がないとできません。子どもに朝型習慣を身につけさせるには、まずは早寝早起きを意識しましょう。
テスト前はしっかり睡眠を取る
記憶の定着や心身の疲労回復のためにも、夜はしっかり睡眠を取ることが重要です。特にテスト前日の夜は、翌日のテストに向けて十分睡眠を取って体調を整えましょう。日頃からコツコツと勉強し、学習の土台ができていれば、テスト前日の夜に焦って勉強する必要はなくなります。
また、前日はできるだけリラックスして過ごすのも意識したいポイントです。私(RISU:今木代表)は将棋が好きなのですが、ある棋士は対局前日、あえて趣味の時間を過ごして気分転換をし、将棋のことを考えないそうです。将棋の本番で冷静な判断をするためにも、休養が重要というわけです。
同じように、テスト当日に実力を発揮できるよう、前日は気分が安らぐような過ごし方ができると良いですね。
【まとめ】夜更かし勉強はNG! 効率の良い勉強習慣を身につけよう
テスト準備がしっかりできていないと、前日に焦って勉強しがちです。しかし、RISUのデータを見ると、夜遅くまでの勉強や長時間の学習は、非効率であると分かりました。
より効果的に学力を伸ばすには、計画的にコツコツと学習を積み重ね、朝型の学習スタイルを取り入れることがポイントです。テスト前日の夜はしっかり休息を取り、脳がクリアな状態でテストを受けられるようにしましょう。
参考:知っていますか?「勉強に効果てきめんな睡眠」の手に入れ方|甲南大学
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記事執筆
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構成/HugKum編集部